ナタリー PowerPush - 吉木りさ
このポテンシャルを知らしめたい ヒャダインが語る「歌手・吉木りさ」
誰とも似ていないキャッチーな声質
──ヒャダインさんはそういったプロデュースワークを通して、吉木さんを歌手としてどのように評価されていますか？
ヒャダイン 声質について言うと、もともと地声が高めで低音成分が少なめで、耳通りがよくてツーンと突き刺さる。歌声としてキャッチーなんですよね。どのアーティストとも似ていない声をしていて「あ、吉木りさだ」って一発でわかる。すごく得な声質だと思います。
吉木 ありがとうございます！
ヒャダイン 民謡で鍛えただけあって発声も完璧。基礎がしっかりしてるので、かわいくしたり、パワフルにしたり、力を抜いたり、いろんな表現ができる。「ペントミノ」にはそういった振り幅があるし、もっともっといろんな曲に挑戦できると思います。
──歌声のほかに、お仕事を一緒にされる中で「吉木さんという人ならでは」という発見はありましたか？
ヒャダイン 吉木さんはプロ中のプロなんですよ。僕のワンマンライブでも一緒に歌わせてもらったのですが（参照：勇者ヒャダイン、高音の出しすぎで絶命するも無事生還）、リハの段階から歌詞が完璧に入っていて、音程もバッチリだし、逆に引っ張られました。
吉木 とんでもないです！
ヒャダイン あとは歌に込める気持ち、言霊ですかね。人生経験を積んできたからこそ出せる表現。僕は普段、歌を歌うことを生業としてこなかった人達に歌を教えながら歌っていただく、というお仕事が多いんです。そういう人にしか出せない魅力は当然あるんですが、吉木さんの場合はもともと歌える方なので、僕はアドバイス程度に言って軌道修正する、というくらいですね。例えるなら高速道路で走ってる車のハンドルにはククッと少し触るだけ、という感じです。
──まるで高級スポーツカーみたいに乗りこなすのは大変だと。
ヒャダイン あ、それはいいですね。
吉木 急にハードル上がった気がします（笑）。
ヒャダイン 音楽通じゃない人にも確実に伝わる。本物志向の方も、アイドル好きの方も楽しめるハイブリッドなアーティストさん、というイメージがありますね。
バラード、ジャズ、ロック、ヒャダイン
──「ペントミノ」というタイトルは吉木さんご自身が考えられたんですよね。
吉木 そうですね。12個にまつわる何かがないかなー、と思って調べて「これにしてください！」ってお願いしました。曲のジャンルが全部バラバラなんです。バラード、ジャズ、ロック……あとヒャダイン（笑）。
──「ヒャダイン」も1つのジャンルなんですね。
吉木 ですね！ このアルバムは曲順も私が決めさせていただいて、「吉木りさ」名義でスタートを切った「ボカロがライバル☆」と、一番メッセージ性の強い「世界は教室だけじゃない」は絶対に最初と最後にしたい！というのは最初から考えていました。ヒャダインさんの曲を通して私の成長過程が見られると思います。
──ご自身の思いが反映された曲順だと。
吉木 はい！ ただ3曲目の「シフトと時給と、ついでに愛をとりもどせ!!」は、あまりにもトリッキーな曲なので、これが浮くんですよー！（笑） どこに入れても際立つんですー！
ヒャダイン 僕だったらボーナストラックという名前にして、最後に入れますね（笑）。
──そんなヒャダインさん以外の9曲はすべて新曲です。吉木さんがヒャダインさんにオススメするとすれば、どの曲でしょうか？
吉木 佐伯youthKさんに作っていただいたリードトラックが「わたし、もっと」という失恋ソングの素敵なバラードで、これがもちろん一番のおすすめなんですが……ひねくれ者同士の私達的には（笑）、奥村愛子さん作詞作曲の「どれどれスパイス」っていう曲もオススメします。
ヒャダイン あらら、奥村愛子さん！ はいはい！
吉木 私、高校生の頃からすごく大好きだったんですよ。なので今回「奥村愛子さんみたいな曲を1曲でもいいから入れてほしいです」って言ったら、ご本人に快く引き受けていただきました。
ヒャダイン いいレコード会社ですね！ コロムビア万歳！（笑）
- ニューアルバム「ペントミノ」 / 2014年3月5日発売 / 日本コロムビア
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3800円 / COZP-850～1
- 通常盤 [CD] 3150円 / COCP-38441
CD収録曲
- ボカロがライバル☆
［作詞・作曲・編曲：前山田健一］ - PERMANENT SUMMER
［作詞：只野菜摘 / 作曲・編曲：宮崎誠］ - シフトと時給と、ついでに愛をとりもどせ!!（吉木りさ＆ヒャダイン）
［作詞：中村公晴 / 作曲：山下三智夫 / 補作詞・編曲：前山田健一］ - カラフルな世界
［作詞：SUIMI / 作曲・編曲：板垣祐介］ - Dual
［作詞：大森祥子 / 作曲・編曲：宮崎誠］ - 色文
［作詞・作曲：渡辺翔 / 編曲：増田武史］ - 月は瞬いている
［作詞：只野菜摘 / 作曲・編曲：宮崎誠］ - どれどれスパイス
［作詞・作曲：奥村愛子 / 編曲：Pan Pacific Fiction］ - わたし、もっと
［作詞・作曲・編曲：佐伯youthK / 弦編曲：矢野小百合］ - ボクは風になる
［作詞・作曲・編曲：宮崎誠］ - ラブリィ♥ラブリィ♥ラブリィ
［作詞：大森祥子 / 作曲・編曲：橋本由香利］ - 世界は教室だけじゃない
［作詞・作曲：前山田健一 / 編曲：板垣祐介］
初回限定盤DVD収録内容
- わたし、もっと Music Video
- PERMANENT SUMMER Music Video
- わたし、もっと Music Video Making
吉木りさ（よしきりさ）
1987年千葉県生まれ。小学4年から高校3年まで日本民謡を習う。2009年よりフジテレビ系深夜番組「キャンパスナイトフジ」にレギュラー出演して注目を集める。以降、雑誌のグラビアやバラエティ番組、ドラマ、舞台などの分野でマルチに活躍。2011年3月に「yoshiki*lisa」名義でテレビ東京系アニメ「GOSICK-ゴシック-」のオープニングテーマ「Destin Histoire」をリリースし、2012年3月にはカバーを中心とした1stアルバム「Poche」を発表する。ヒャダインがプロデュースしたシングルは「ボカロがライバル☆」「世界は教室だけじゃない」。吉木りさ×ヒャダイン名義の替え歌カバー曲「シフトと時給と、ついでに愛をとりもどせ!!」も話題を呼んだ。この3曲が収録された初のオリジナルアルバム「ペントミノ」を2014年3月5日に発売。
ヒャダイン
1980年7月4日生まれの音楽クリエイター。3歳でピアノを始め、作詞・作曲・編曲を独学で身につける。京都大学を卒業後、2007年に本格的な音楽活動を開始。前山田健一として、倖田來未×misono「It's all Love!」、東方神起「Share The World」などのヒット曲を手がける一方、ニコニコ動画などの動画投稿サイトに匿名の「ヒャダイン」名義で作品を発表し大きな話題を集めた。2010年5月には自身のブログにてヒャダイン＝前山田健一であることを告白。その後もヒット曲を量産し、2011年4月にシングル「ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ-C」でヒャダインとしてメジャーデビューを果たした。2012年11月には初のソロアルバム「20112012」を、2013年1月には6枚目となるソロシングル「23時40分 feat. Base Ball Bear」を発表。2014年2月にテレビアニメ「ガンダムビルドファイターズ」のエンディングテーマ「半パン魂」をシングルとしてリリースした。
