音楽ナタリー PowerPush - 吉田凜音×西寺郷太
14歳の大器&敏腕プロデューサー 最強タッグが作り出す極上ポップス
点数バージョンの声で歌ってた
──歌のレッスンは順調でしたか?
凜音 いや、最初は音程も取れないし難しくて、嫌になりかけてた時期もあって。だから全然歌うまいキャラじゃなかったんです。去年の頭とかは本当にヘタクソでした。
郷太 そんな最近まで?
──でも2014年2月に「関ジャニの仕分け∞」のカラオケ対決企画に“歌うまキッズ”として出演していますよね。
凜音 あの番組に出てからうまくなりました。そのときにコツをつかんだと思う。
郷太 コツってどういうこと?
凜音 なんだろう、とりあえず2週間ぐらい毎日2時間以上カラオケ行ってたんですよ。点数を取れるように毎日練習して、あとは過去の“歌うまキッズ”のYouTubeを観たりして。
郷太 研究したんだ。
凜音 それでいろいろ試してみて、本番は一番点数がよかった声で歌ったんです。だからあれはもともとのウチの声じゃなかった。
郷太 番組で勝つために歌い方を変えてたってこと?
凜音 そうです。そのあとに出たイベントも「関ジャニの仕分け∞」に出た吉田凜音ですって紹介されるやつだったので、点数バージョンの声で歌ってました。それを徐々に変えてって自分なりの声を手に入れたんです。
郷太 へー! その話初めて聞いた。俺がプロデュースの話をもらって最初に観たのがその番組の映像だったから、この子はこういう歌い方の子なんだって思ってたの。でもそれは凜音ちゃんが勝つために選択したスタイルだったわけだ。
──アニソン的に力強く歌い上げる感じの歌い方でしたよね。
郷太 そうそう、でもその歌い方はあんまり俺の好みじゃなかったの。そういう歌い方を好きな人は多いし、凜音ちゃんも好きなんだろうなって思って悩んでた(笑)。もっと違う歌い方のほうがかわいいのになって俺は思ってたから。
──自分の歌い方が見えた今、歌は楽しいですか?
凜音 楽しいです。昨日も友達とカラオケ行きましたし。歌が好きになりました。
パーフェクトなアルバムにならないように
──その後2人が出会ってアルバム制作に入るわけですね。制作にあたって心がけたことはありますか?
郷太 やっぱり1stアルバムだし、瞬発力を大事にしようと思ってましたね。彼女はすごく上手で経験も積んでるけど、完全にできあがってるものにはしたくなかったんです。パーフェクトなものになっちゃうのが怖かった。だから曲を渡してすぐにレコーディングして、ちょっと慌てながら一生懸命やる、みたいなことも試してみたり。
──あえてそういうやり方を?
郷太 そのほうが聴く人にとっての“余地”みたいなものが残るのかなって。凜音ちゃん自身も初めて歌ってみて「あ、こんな声出ちゃった」みたいな面白みもあるだろうし。自分自身、最終局面でどんどん彼女の歌の魅力の響かせ方がわかったので、トータルアルバム感を出すためいろんなタイプの曲を作ってみました。彼女の成長もすごいし。13歳から14歳の変化は大きいですよね。
──そして今回凜音さんはラップにも初挑戦しています。
凜音 はい、ラップは全然知らなくて、レコーディングもぶっつけ本番的な感じだったので、もうノリで歌いました。
郷太 俺が1回歌ったの聴いて、それで全然できちゃうの。天才ですよ。
凜音 えへへ(笑)。意外とできました。
──いろんなタイプの曲を歌いこなしていますよね。
郷太 でもまだ出してない面もあるんですよ。例えばもっとしっとりしたバラードなんかもいいと思うし。どう? いわゆる美しいバラードみたいの歌いたい?
凜音 うーん、1、2曲欲しいです。
郷太 あはは(笑)。わかりました。がんばります(笑)。
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収録曲
- Fantaskie OVERTURE
- 真夏のBeeeeeeaM.
- テンセイリンネ ~ GONG! GONG! GONG! ~
- M.I.R.A.C.L.E ~アイシタイキミガクル~(Fantaskie Re-Edit)
- ふぁんたすきー
- ポジティビティ feat. 西寺郷太
- SCHOOL DAYS
- ふぁんたすきーII
- 忘れないPlace
- 恋のサンクチュアリ!
- Fantaskie REWIND
- フェイバリット・ランド
- 吉田凜音 2ndシングル「忘れないPlace / テンセイリンネ~GONG!GONG!GONG!~」2015年2月25日発売 / ビクターエンタテインメント
- 初回限定記憶盤 [CD] 1200円 / VICL-37024
- 初回限定転生盤 [CD] 1200円 / VICL-37025
- 通常盤 [CD] 1000円 / VICL-37023
吉田凜音(ヨシダリンネ)
2000年生まれ。北海道札幌市出身。2013年からソロシンガーとしての活動をスタートし、数々のライブでその高い歌唱力を披露して話題を集める。2014年11月に西寺郷太プロデュースによる1stシングル「恋のサンクチュアリ!」でVERSIONMUSICよりメジャーデビュー。2015年2月には2ndシングル「忘れないPlace / テンセイリンネ~GONG!GONG!GONG!~」をリリースし、同年3月には1stフルアルバム「Fantaskie」を発表。
西寺郷太(ニシデラゴウタ)
1973年東京生まれ。1996年からNONA REEVESのボーカリスト兼メインコンポーザーとして活躍するほか、他アーティストへの楽曲提供やプロデュースも行う。日本屈指のマイケル・ジャクソン研究家としても知られ、2009年に著書「新しい『マイケル・ジャクソン』の教科書」(新潮文庫)、2010年に「マイケル・ジャクソン」(講談社現代新書)を上梓。2014年3月にティト・ジャクソンが参加した初めてのソロアルバム「Temple St.」、同年6月にNONA REEVESのオリジナルアルバム「FOREVER FOREVER」をリリースした。近著にノンフィクション風音楽小説「噂のメロディ・メイカー」(扶桑社)がある。