音楽ナタリー PowerPush - 吉田凜音×西寺郷太

14歳の大器&敏腕プロデューサー 最強タッグが作り出す極上ポップス

吉田凜音の1stアルバム「Fantaskie」(ファンタスキー)がリリースされた。NONA REEVESの西寺郷太が全曲の全面プロデュースを手がけた本作は、高い音楽性とバラエティ豊かなサウンド、そして吉田凜音の歌唱力やキャラクターを存分に味わえる1枚となった。

ナタリーでは前回の西寺郷太単独インタビュー(参照:吉田凜音2ndシングル発売記念・西寺郷太インタビュー)に続いて、吉田凜音と西寺郷太の2人を直撃。14歳の若さながら、アイドルの枠を超えて幅広い層にアピールする彼女の魅力に迫った。

取材・文 / 大山卓也 撮影 / 古川朋久

「人間だな」って思った

左から吉田凜音、西寺郷太。

──お2人が初めて会ったのはいつ頃ですか?

西寺郷太 去年の4月だったかな。その日は凜音ちゃん全然元気なくて。

吉田凜音 ふふ(笑)。

郷太 「どうしたの?」って聞いたら、その前の日にディズニーランドで遊びすぎてくたびれてたんだって(笑)。

──凜音さんは郷太さんの第一印象はいかがでしたか?

凜音 んー、「人間だな」って思った。

──えっ?

郷太 あはは(笑)。そうだね、人間ですよ(笑)。

──最初はどんな話をしたんですか?

凜音 「何が好きなの?」ってけっこう聞かれましたよね。

郷太 そうだ、会うたびに何が好きなのか聞いてて、オレンジジュースとか苺のキャンディとか。そういうワードを5分後ぐらいに歌詞に入れたりしてた。ファンタが好きだって言ってたから「Fantaskie」になったりね。

左から吉田凜音、西寺郷太。

凜音 あはは(笑)。そうなんです。

郷太 俺、凜音ちゃんのお父さんより年上だし、何が好きとか流行ってるとかわかんないからまずはいろいろ聞いてみようと思って。でも実際凜音ちゃんと話してると、歳の差みたいの忘れるときがあるんだよね。子供だとかアイドルだとかっていうより人間がそこにいるって感じ。そう、だからまさに「人間だな」ってことですよ。なるほど(笑)。

──同じ人間同士、対等なパートナーということですよね。

郷太 うん、やっぱりアイドルのプロデュースとかするときって、先生と生徒みたいになりがちなんだよね。それが凜音ちゃんの場合はいい意味でさらっとしてるっていうか、媚びたところがない。そこが面白いですね。

5歳のときにダンスを始めた

──凜音さんは札幌のアクターズスタジオ出身ですよね。今は東京で仕事をする機会も増えたと思いますが、環境はだいぶ変わりましたか?

凜音 はい、去年とかは東京に来るの月イチとかだったのに、今は毎週来たりしててだいぶ忙しくなりました。アクターズに入った頃はアルバムとかメジャーデビューとかは全然考えてなかったんですけど。

──歌手デビューを目標にしていたわけではなかった?

凜音 もともとは5歳のときにダンスをやりたくてアクターズに入ったんです。だから最初は歌にはあまり興味がなくて。

──ダンスをやろうと思ったきっかけは?

凜音 なんかテレビを観てたら、歌番組で踊ってるバックダンサーの人たちがすごくカッコよくて。ダンスが踊れたらいいなあと思ったんです。

郷太 でも凜音ちゃん2000年生まれだから、それって2005年ぐらいのことだよね。俺らからしたらめっちゃ最近なんだけど(笑)。

吉田凜音

──そうですね(笑)。じゃあ歌手になろうと思ったのは?

凜音 小2の頃に中川翔子さんのライブを初めて観に行ったんです。ポケモンが大好きだったんで、朝の「ポケモン☆サンデー」っていう番組でしょこたんが歌手をやってるって知って連れてってもらって。そしたらそのライブで「しょこたんと一緒にステージで踊ろう」みたいなコーナーがあって10人くらい呼ばれて、ウチもステージに上がったんですよ。

──えっ? それはスクールに通ってた関係で?

凜音 いや、普通に一般人として。そんなコーナーとかあるの全然知らなかったんです。ライブ観てたらスタッフさんが隣に来て「このあとしょこたんと踊るコーナーがあるので一緒にどうですか」って言われて「えっ!」みたいな。

──それでステージに上がってお客さんの前で踊ったんですか?

凜音 はい、ニトリ文化ホールの大きいステージで、2階もあって。めっちゃまぶしかったです。そこで見たお客さんの笑顔がすごいキラキラしてて、それで私も歌をやってみようかなって。小2から歌い始めて、小4ぐらいでメジャーデビューしたいなって思うようになりました。

吉田凜音 1stアルバム「Fantaskie」2015年3月25日発売 / 2500円 / ビクターエンタテインメント / VICL-64327
吉田凜音 1stアルバム「Fantaskie」
収録曲
  1. Fantaskie OVERTURE
  2. 真夏のBeeeeeeaM.
  3. テンセイリンネ ~ GONG! GONG! GONG! ~
  4. M.I.R.A.C.L.E ~アイシタイキミガクル~(Fantaskie Re-Edit)
  5. ふぁんたすきー
  6. ポジティビティ feat. 西寺郷太
  7. SCHOOL DAYS
  8. ふぁんたすきーII
  9. 忘れないPlace
  10. 恋のサンクチュアリ!
  11. Fantaskie REWIND
  12. フェイバリット・ランド
吉田凜音 2ndシングル「忘れないPlace / テンセイリンネ~GONG!GONG!GONG!~」2015年2月25日発売 / ビクターエンタテインメント
初回限定記憶盤 [CD] 1200円 / VICL-37024
初回限定転生盤 [CD] 1200円 / VICL-37025
通常盤 [CD] 1000円 / VICL-37023
吉田凜音(ヨシダリンネ)
吉田凜音

2000年生まれ。北海道札幌市出身。2013年からソロシンガーとしての活動をスタートし、数々のライブでその高い歌唱力を披露して話題を集める。2014年11月に西寺郷太プロデュースによる1stシングル「恋のサンクチュアリ!」でVERSIONMUSICよりメジャーデビュー。2015年2月には2ndシングル「忘れないPlace / テンセイリンネ~GONG!GONG!GONG!~」をリリースし、同年3月には1stフルアルバム「Fantaskie」を発表。

西寺郷太(ニシデラゴウタ)
西寺郷太

1973年東京生まれ。1996年からNONA REEVESのボーカリスト兼メインコンポーザーとして活躍するほか、他アーティストへの楽曲提供やプロデュースも行う。日本屈指のマイケル・ジャクソン研究家としても知られ、2009年に著書「新しい『マイケル・ジャクソン』の教科書」(新潮文庫)、2010年に「マイケル・ジャクソン」(講談社現代新書)を上梓。2014年3月にティト・ジャクソンが参加した初めてのソロアルバム「Temple St.」、同年6月にNONA REEVESのオリジナルアルバム「FOREVER FOREVER」をリリースした。近著にノンフィクション風音楽小説「噂のメロディ・メイカー」(扶桑社)がある。