yonawoが11月11日に1stフルアルバム「明日は当然来ないでしょ」をリリースする。

今年4月に初の全国流通盤となるミニアルバム「LOBSTER」をリリースしたyonawo。5月からはレコ発ライブの開催を予定していたが、コロナ禍の影響により公演の延期を決断した。そんな状況下においても歩みを止めず、制作に打ち込んで完成したアルバム「明日は当然来ないでしょ」には、前作以上にメンバーそれぞれの“やりたいこと”が反映された全14曲が収められている。今回のインタビューでは、その制作秘話や各楽曲の魅力、印象的なアルバムタイトルについて語ってもらった。

取材・文 / 渡辺裕也　撮影 / トヤマタクロウ　スタイリスト / 市野沢祐大（TEN10）

制作に打ち込んだ自粛期間

──この半年間はなかなか予定通りにいかないことが多かったと思うのですが、皆さんはどう過ごしていましたか？

荒谷翔大（Vo）　ミニアルバム「LOBSTER」のリリースライブが延期になったり、3月に出演予定だった「SXSW」も中止になってしまって。それでちょっと落ち込んだっていうのは正直なところありますね。ただライブができない分、その時間を制作に回せたのはよかったです。家にこもって作業するのはまったく苦じゃなかったし。

斉藤雄哉（G）　制作そのものの何かがコロナ禍云々で変わったということは特になくて。そこに費やせる時間が増えたおかげで今回のアルバムができたので、そこはよかったですね。

荒谷　そうだね。ただ自粛期間が明けるまでは1人でずっとデモを用意していたので、メンバーで集まることができない時期はきつかったですね。

──自粛期間中に荒谷さんが自宅で用意したデモが、今作のとっかかりになったと。

荒谷　そうですね。今回は僕が一旦枠組みを作って、それを元にみんなでアレンジを練っていったんです。で、ようやく集まれる状況になったら、生音に差し替えるところを決めていくという。「LOBSTER」はその場で楽器を鳴らしてアレンジを考えることが多かったんですけど、今回はしっかり構想を固めてからスタジオに入ったので、そこは大きな違いですね。

──今作は打ち込みも多用されているし、リズムアプローチも「LOBSTER」とは大きく異なりますよね。

野元喬文（Dr）　そうですね。ドラムの音作りでいうと、例えばスネアとリムにリズムマシンを重ねてみたり、曲ごとの音色にもかなりこだわることができたので、個人的に楽しい制作になりました。

田中慧（B）　ベースも前作以上にこだわることができました。例えば「cart pool」では、スプリングリバーブをかけたベースと中域のエレキベース、低いシンセベースを3つ重ねてみたり。そういう個人的な遊びから生まれた発想をバンドに持ち込むことができたので、僕もすごく楽しかったです。

言葉の組み合わせで違う世界を見せる

──サウンド面もさることながら、今作はまずアルバムタイトルにハッとさせられました。

荒谷　タイトルはすべて録り終わったあとに決めました。アルバムの全体像が見えてきた段階で思い付いた言葉がこれだったんです。

斉藤　僕は今回、荒ちゃんの歌詞が本当にすごいと思っていて。それで荒ちゃんに「短編小説とか書かないの？」と聞いてみたんです。そしたら「前に書いたやつならあるよ」と、その短編を読ませてくれたんですよ。その作品がめちゃくちゃよくて、アルバムのブックレットに載せることになりました。

──荒谷さんは小説も書いてらしたんですね。

荒谷　思い付きで書いたやつがあったんですよ。もちろん今回のアルバムとは関係なく書いていたんですけど、やっぱり小説も楽曲も自分が作っているわけだから、そこに宿る思想みたいなものは変わらないんですよね。だから今作のブックレットに載せても違和感はなかったです。

斉藤　実際、今回のアルバムはちょっと小説っぽい感じがしていて。だったらアルバムタイトルもその感じがいいんじゃないかなと思ったんです。

──そこで思いついたのが「明日は当然来ないでしょ」だったと。

荒谷　僕は詞を書くときに、普段みんなが使うような言葉を組み合わせてまったく違う景色を見せたいと思っていて。それこそ「明日」「当然」「来ない」って、1つひとつは簡単な言葉ですけど、組み合わさると「え？」となるような違和感がある。そういう感覚をタイトルで伝えられたらなと。

──コロナ禍の不安を表した言葉としても受け取れるかなと思ったのですが、そうではない？

荒谷　そこはあまり関係ないですね。確かにコロナ禍の中で書いた歌詞もあるけど、僕としては2020年だけではなくて、どの時代にも通じることを書いたつもりなので。もちろんそういう捉え方をしていただいても全然OKです。