yonawo|新世代ネオソウルバンドが語る、音楽的ルーツと新作ミニアルバム

すべてが挑戦だったレコーディング

──「ミルクチョコ」の終盤で合唱が始まるところも驚きました。あれはどういう発想から生まれたのでしょう?

yonawo

荒谷 「ミルクチョコ」はもともと全編英語詞だったんですけど、そこから一部を日本語に差し替えたりしていくうちに、この日本語詞のフレーズをみんなで合唱したら面白いなと思って。で、ちょうどその時期に「矜羯羅がる / ijo」の7inchアナログのリリースパーティが決まってたんだよね?

斉藤 うん。それでリリースパーティに来てくれたお客さんに歌詞カードを配って。

荒谷 事前に僕らのInstagramでもそのことを伝えて、会場に集まってくれたみんなで歌って。それをそのままレコーディングしたんです。

──そうしたアナログな録音とDTMのエディトリアルな要素が混ざり合っているのも、yonawoが作る音楽の特徴ですよね。

斉藤 僕らにとってDTMはかなり大事なんです。「LOBSTER」のレコーディングは完全にスタジオだったけど、これまではずっと家に集まって、締め切りもなくメンバーだけで自由にやってきたので。

荒谷 そういう意味で「LOBSTER」のレコーディングはすべてが挑戦だった。

斉藤 うん。こういうレコーディングはこれが初めてだった。エンジニアさんと組むのもそうだし、すべてが手探りだったというか。

荒谷 最近はメンバー全員がGarageBandを使ってるんですよ。

斉藤 メンバー各々が持ち寄ったデータを僕が預かって、それをPC上で組み合わせたり。基本的に僕らはそういうやり方なんです。

──生音とエレクトロニクスが混在していて、複数のジャンルがブレンドされたサウンドになっているという点は、「LOBSTER」のリリースパーティにゲスト出演する君島大空さんや韻シストとの共通項とも言えるかもしれないですね。

田中 確かに! そこまで考えてなかったけど、客観的に見るとそういう組み合わせになったのかも。

荒谷 実際、ジャンルを越えた人たちと一緒にやりたいっていうのはあったよね?

田中 うん。なんか今、それが腑に落ちました(笑)。

yonawo

空っぽな状態から広げる歌詞世界

──歌詞にはおいてはいかがでしょう? yonawoの楽曲にはどことなく荒谷さんの中にある死生観が通底しているように感じたのですが。

荒谷 言われてみて初めて気付きましたけど、確かにそうかもしれません。生と死は対極のようで同じというか、生きているってことは、いつか死ぬってことでもあるわけで。僕の場合、歌詞を書いてると自然とそういう言葉に行き着くのかもしれないです。自分でもあまり分析できてないところですけど。

──「Mademoiselle」では都市生活者の虚構がつづられているし、「しあわせ」は死を意識しながらどう生きるか、というのが歌詞の題材なのかなと思いました。

荒谷 なるほど。こうしてインタビュアーさんに分析してもらって気付くことってあるんですね(笑)。でも、歌詞のテーマ自体は何も決めてなくて、本当にいつも空っぽな状態で書いてるんです。面白いワードから世界を広げていく中で、書き進めながら何かを見つけていくって感じです。

──意図せずして自分の内面にあるものが曲に浮かび上がってきたと。今作はyonawoにとってまさに名刺代わりの1枚になると思うのですが、すでに次回作の構想もあります?

斉藤 実はもう次の作品に取りかかってるんです。しかも、その作り方は先ほど話したような以前の僕らのスタイルに戻っていて。今回はすべてをバンドの生演奏で作ったけど、次は打ち込みのドラムやシンセベースも使うだろうし、アコギ1本の曲とかもやるかもしれないですね。

荒谷 うん。今作はいい意味で曲ごとにバラついた作品だと思っていて、それはそれで満足してるんですけど、次に出すアルバムはもっと1つの流れで聴けるようなものにしたいなと思ってます。エレクトロみたいなものもやりたいですね。

ライブ情報

yonawo 1st Mini Album「LOBSTER」release live
  • 2020年5月22日(金) 大阪府 Shangri-La <出演者> yonawo / 君島大空
  • 2020年6月13日(土) 東京都 LIQUIDROOM <出演者> yonawo / 韻シスト

※特集公開時、商品情報に誤りがございました。お詫びして訂正します。


2020年4月10日更新