ナタリー PowerPush - 矢沢洋子

バンドサウンド全開!最新アルバム「ROUTE 405」

ライブをやる以外に突破口はない

──先程からライブに対する思いもすごく強く感じるんですけど、今回のリリースツアーはどんなものになりそうですか?

とりあえずドキドキしてるのはツアーファイナルですね。人生で初といってもいいくらいのワンマンを控えてるんですが、ちょっとプレッシャーです。私、40分のセットリストでも結構死にそうになるのに、1時間半とかどうするんだろう?って(笑)。でもここを乗り越えないと今年は越せないくらいの勢いでやりたいと思ってますね。あと今回は、THE PLASMARSのテーマも作りたいし……。

──それはバンドのテーマソング的な?

はい(笑)。いつもライブでやる、短い自己紹介的な歌を作りたいんですよ。多分ずっと「THE PLASMARS」って言ってるだけだと思うんですけど。

──(笑)なんだか、ソロになってどんどん発想の自由度が広がってますよね。

やっぱり面白いことをやってるのっていいじゃないですか? 楽しいし、新しいことをやると自分たちの気持ちもマンネリにならないし。しばらく同じセットリストでやってるとどこかこなしちゃってる感が出るというか、ライブ前も緊張してないときはあまりいいライブにならないことが多いので。曲もそうだけど、ライブも何かしら新しいことや面白いことをやっていきたいですね。

──ちなみに、そういうモチベーションで続けている矢沢洋子としての活動は現在どのくらい世間に浸透してると自分で思いますか? 私個人の感覚でいうと「こんなに面白いことやってるんだ」っていうのが、もっと広く知られてもいいのかなって思うんですよ。

そうですねえ……。正直ライブの集客はまだまだだなって思います。でも対バンとかで偶然ステージを観てくれた人たちはたいていストレートに「カッコいいね」って言ってくれるんですよ。最近、そこがすごくうれしいなって。

──そうなんですね。

でももちろん、私のライブを観に行くことに抵抗がある人もまだまだたくさんいると思います。そこで「じゃあどうしたらいいの?」ってなるんですけど、それでもやっぱりライブを続けていくしかないなって。それ以外に突破口はないですから。

──では今後も今まで以上に精力的なライブをしていく?

はい。常に休み返上でやらないといけないなーってくらいに思ってます(笑)。

ライブハウスでは基本飲んでます(笑)

──ところで、ソロになってから出ているのはユニット時代のイメージにはなかったようなライブハウスですよね。いわゆる世間のバンドマンたちがイチから這い上がっていくハコというか。

そうですね。でも、そういうハコの中でのつながりというか、ライブハウスの本来の楽しみ方みたいなものが私もお客さんたちもできてきたような気がして、今すごく楽しいんですよ。

──ライブハウス本来の楽しみ方とは?

今年2月から4月まで、Gacharic Spinというバンドと20本のカップリングツアーをやったんですね。最初は全然スタイルの違うバンドだから少し心配だったんですけど、その出会いは後々めちゃめちゃ大きな収穫になって。ステージに立つことへの意識というか、取り組み方が大きく変化したんですよね。

──というのは?

今まではイベントに出させてもらうとき「自分がカッコいいステージをすればいいや」って感覚が少なからずあって。でも彼女たちと一緒にやったとき、お客さんが私だけを観て帰るとか、その逆っていうのも全然なかったんですよ。そのイベント自体を最初から最後まで楽しんで、それぞれのバンドのお客さん同士が勝手に交流して仲良くなってて。

──それってすごいことですよね。

はい。私もそれを見てすごくうれしかったし、自分自身も「今日は最初から最後まで全てを楽しんで帰ってください」っていうスタンスでライブをやるようになって。そこは自分の中で感覚が大きく変わった部分かなって思います。

──共演したバンドマンとの交流や、打ち上げなんかも楽しんでますか?

やっぱり打ち上げでいろんなバンドと仲良くなって、例えば次の自分たちの企画に出てもらったり、今回のセイジさんやKATARUさんみたいに先輩の力を貸してもらったり。そういうのがあるから多分音楽って楽しいんだなって思うんです。もちろん音を楽しむのが音楽だけど、人と人とがつながって協力して……っていうのがないと。1人でがんばろうと思っても絶対つまづくときってあると思うし、そういう輪がどんどん広がっていく感じが私も好きなんですよ。

──洋子さんにとって、ライブハウスはどんな空間?

交流の場だなって思いますね。基本的に飲んでるんですけど(笑)、男の子がいて女の子もいて、たまにオカマもいて(笑)。先輩や後輩ができたり、ふらっとハコの前を通って打ち上げだけ参加することもよくあります。ライブを観てないのに(笑)。

──あはははは(笑)。

あと、いい店長さんがいるライブハウスは、いつまでも打ち上げに人が残ってるなって。今度初めてワンマンをやる、ずっとお世話になってる渋谷Milkywayもそういう大切な場所のひとつですね。

矢沢洋子& THE PLASMARS 「ROSY」 full ver.

CD収録曲
  1. ROSY
  2. バイバイBOY
  3. メリーゴーランド
  4. moon lightshadow
  5. THE WILD ONE
矢沢洋子(やざわようこ)

東京出身の女性ボーカリスト。12歳のときに家族とともに米ロサンゼルスに移り住み、高校卒業後帰国。2008年10月にポップミュージック路線のユニットを結成しメジャーデビュー。その後アーティスト名を本名に戻し、2010年8月にロック色を強めた1stアルバム「YOKO YAZAWA」をリリースする。精力的なライブ活動を行いつつ、2011年8月に2ndアルバム「Give Me!!!」、2012年10月に3rdアルバム「ROUTE 405」を発表した。