ナタリー PowerPush - 矢沢洋子

バンドサウンド全開!最新アルバム「ROUTE 405」

もう全部取っ払ってやったらいいんじゃない?

──カバー曲「THE WILD ONE」以外で全曲担当している作詞も、少なからず今までと違うモチベーションで書かれたんじゃないですか?

今までは結構ストーリーをしっかり決めてから作ってたんですが、今回はサビから直感的に作ったものが多いですね。「ROSY」を始め、ライブで聴いてすぐ覚えられるっていうところを意識して。

──ソロになってから自分の素を吐き出す歌詞も増えたと思うんですけど、その感じは2枚のアルバムを経て今回さらに強くなってる気がします。

そうですね。昔は何をするにしても「こうじゃなきゃいけない」みたいなものがあったんですけど、それがだんだん「もう全部取っ払ってやったらいいんじゃない?」って。例えば「バイバイBOY」はこのアルバムの歌詞で一番気に入ってるんですけど、いろんな登場人物がバンバン出てきて、いい意味で遊んでる曲。「なによ なに きどっちゃって」っていう歌詞なんかは、好きすぎて次のツアータイトルにまでなったんですけど(笑)。

──実は私もこの歌詞が一番好きでした。ドラマ仕立てのPVにしたら絶対面白そう。

ああ、そうかも! 今のところ予定はないけど作ってみたいですね。ちなみにこの歌詞の登場人物は全員私じゃなくて、彼らの目線や気持ちを私がツラツラ話をしてるようなイメージ。だから最後の英語のところも、ナレーションっぽい感じで聴いてもらえるといいのかなって思います。

──ああ、なるほど。この曲は既にライブでもやられているそうですね。

はい。間奏でギターとベースに真ん中へ来てもらうんですけど、それもTHE PLASMARSになる前にはなかった“遊び”なのかなって。この曲を筆頭に、今後はライブパフォーマンスでも遊んでいけたらなって思います。

「405」が小さい頃からのラッキーナンバー

──スージー・クアトロのカバー曲「THE WILD ONE」は、なぜ収録されることになったんですか?

この曲はライブでも2年以上やってるんです。最初はスージー・クアトロが単純に好きでやり始めたんですけど、いまや勝手に「自分の曲よ!」くらいに思ってるほど大切な曲ですね。

──この曲だけ突出して「ライブアルバム?」って錯覚するくらい臨場感のある仕上がりでした。

ありがとうございます。レコーディングもすごくすんなり入れたし、ライブでもずっとやってるからもう間違えようがないって感じで(笑)。メンバーも楽しんでやってましたね。

──じゃあ満を持してのレコーディングということで。

そうですね。お客さんにもこれは前々から音原化してほしいって言われてて。多分いつも来てくれてる人は「ようやく音源になった」って喜んでくれてると思います。それくらい私のライブには欠かせない曲だったりするので。

──これがアルバムの最後に来るとすごく締まる感じがあるんですが、今回は曲順も結構考えました?

ちょっと悩みましたね。でも全5曲だし、最初「ROSY」からアゲアゲで始まって、途中で一回落ちるんだけど、最後は「THE WILD ONE」でまたアガるっていう。最初と最後がドンってアガってたらなんとかなる!みたいな(笑)。曲数は少ないんですけど、バラエティに富みつつ、しっかりした内容になったんじゃないかなと思ってます。

──タイトル「ROUTE 405」の意味は?

「405」はヨウコにかかってるんですけど、子供の頃からそれが自分のラッキーナンバーというか。靴のロッカーでも45番があると必ずそこに入れたり(笑)、結構こだわりの数字なんですよね。あとロサンゼルスに住んでるときルート405っていう道が実際にあったんですよ。そこをずっと通ってたのもあったし、今までの自分の道のりっていうような思いを込めてこのタイトルにしました。

CD収録曲
  1. ROSY
  2. バイバイBOY
  3. メリーゴーランド
  4. moon lightshadow
  5. THE WILD ONE
矢沢洋子(やざわようこ)

東京出身の女性ボーカリスト。12歳のときに家族とともに米ロサンゼルスに移り住み、高校卒業後帰国。2008年10月にポップミュージック路線のユニットを結成しメジャーデビュー。その後アーティスト名を本名に戻し、2010年8月にロック色を強めた1stアルバム「YOKO YAZAWA」をリリースする。精力的なライブ活動を行いつつ、2011年8月に2ndアルバム「Give Me!!!」、2012年10月に3rdアルバム「ROUTE 405」を発表した。