DE DE MOUSEと一緒になんかやろう!
——カバーアルバムにするという方向性が決まってから、DE DE MOUSEさんと一緒に、というアイデアを思いついたんでしょうか。
DE DE:いや、それも違うんですね。ディレクターの「スプリットにすれば売れるだろう」みたいな発想で(一同爆笑)。「ヴィレッジ・ヴァンガードで売れてる同士をくっつければ買いだろう!」っていう単純な考えだと思うんですけど。僕としては、1+1が2になるかどうかわからないけど。
栗原:でもね、提案はディレクターからされたんですけど、実際仲もいいし、曲も好きだから「DE DE君とやるのはいいねー」ってノリノリで始めたんです。
除村:そうそう。どういう戦略があるかはともかく、うちらは面白いからいいやと。
DE DE:僕、あんまり作るの早いほうじゃないから、いつ新譜が出るのかわからないし、とりあえずこういうので消化しておけば、来年の契約もだいじょうぶかなと(一同笑)。いや、真面目にやります(笑)。僕も前から何かのカバーはしたいな、っていう気持ちがあったんです。こういう企画がないと、自分からカバーしようとは思わないんで。
栗原:それはありますね。私たちもこういうふうにカバー曲を1枚のアルバムにして出す気はなかった。
本当はマイケル・ジャクソンのカバーがしたかった
——「DOWN TOWN」の選曲や曲順はどうやって決められたんですか?
除村:選曲は各自でしたね。
DE DE:僕は、最初はシティポップっていうテーマを聞いてなくて、とにかく「カバーやろうぜ」っていうことだと思ってた。それで、僕は昔からマイケル・ジャクソンの曲でカバーしたいのがあるんですよ。アルバム「Thriller」1曲目の「Start Something」ってファンキーなプリンスっぽい感じの曲をどうしてもやりたいという気持ちがずっとある。そういう経緯からこれはどうしてもやりたかったんだけど、ほかがちょっと思い浮かばなくて。マドンナをやろうか、Deep Forestをやろうかとか迷ったりした。「でもとにかくマイケル・ジャクソンだけはやろう!」って言ったら「わかった、じゃあとりあえず作ってきてよ」ってディレクターに言われちゃって。でも「作って没にされたら作り損になる可能性もあるよなぁ」と思っちゃって、ずっと放っておいたら「シティポップにしよう」って企画が上がってきたんですよ。あー、やっぱり作らなくてよかった(笑)。
——でも「Start Something」を作っていたら、面白いことになっていたかもしれないですよね。
DE DE:その後に何かあった“かも”しれないけど、「『Start Something』用に作ったアレンジを変えて、こっちの曲のアレンジにしてくれ」とか言われた可能性も十分ありますね。
中村:わかんないよ。YMCKがマイケル・ジャクソンのカバーをしてたかもしれない。マイケル・トリビュート。
DE DE:マイケル・トリビュートはものすごいやりたいですね。「Bad」とか「Thriller」とか、いい曲めちゃくちゃあるよね。
中村:あのPVをドットで作ったら面白いかなーとは思うね。
DE DE:それ自分で自分の首絞めてるよね!(笑)
除村:「Thriller」とか踊らせてみたいよね。ドットの中でムーンウォークしてる感じをどうやって出すか、とかさ。
——アルバムでは共に「DOWN TOWN」をカバーされていますが、これは偶然なんですか?
DE DE:偶然じゃないです。シティポップっていうテーマで3曲選曲するのに、最後の1曲が全く上がらなくて、ディレクターと2人で「どうしよう」って悩んでたんです。で、「『DOWN TOWN』でもいいんじゃないっすか?」って僕が言ったら「うーん……いいねぇ、それ」って(一同爆笑)。一瞬すっごい嫌そうな顔したの!「なんだよそれは」みたいな。でも「それだったら統一感出て、シングル3枚のスプリットみたいになるんじゃないですか」って提案したら「いいじゃん、じゃあそうしようよ」って(笑)。
除村:YMCKの「DOWN TOWN」は最初に決まったけど、DE DE君の「DOWN TOWN」は最後に決まったんだ。まさにアルバムの並びのとおりで。
CD収録曲
- 夢の中へ(井上陽水)
- ぼくたちの失敗(森田童子)
- 人間なんて(吉田拓郎)
- 傘がない(井上陽水)
- 春夏秋冬(泉谷しげる)
- 満足できるかな(遠藤賢司)
- 言葉にできない(小田和正)
- 人生を語らず(吉田拓郎)
- まるで正直者のように(友部正人)
※全曲ミュゥモで着うた・着うたフル配信中
プロフィール
YMCK(わいえむしーけー)
除村武志(作曲・編曲・作詞・サウンドプロデュース・映像)、栗原みどり(ボーカル・作曲)、中村智之(映像・作曲)の男女3人から成る8bitポップユニット。2004年に発売した1stアルバム「ファミリーミュージック」がヴィレッジヴァンガードを中心に大ヒットを記録。レトロゲームさながらの8bitサウンドで、幅広い世代の支持を受ける。2008年1月エイベックスに移籍、3rdアルバム「ファミリージェネシス」でメジャーデビュー。国内のみならず、スウェーデン、オランダ、米国、台湾、タイ、韓国など多数の国で国際的なフェスやイベントに出演。映像と完全にリンクしたユニークなパフォーマンスは、世界的にも高い評価を獲得している。チップチューン・シーンの枠を超え、J-POP界に新風を巻き起こす存在として最も注目されているアーティストの1組。
DE DE MOUSE(ででまうす)
遠藤大介によるソロユニット。緻密に重なり合うメロディはオリエンタルな響きを感じさせ、ドリーミーで聴きやすいサウンドは、耳の肥えたリスナーから一般の音楽ファンに至るまで幅広い層から人気を獲得している。自主制作で発売したCD-R「baby's star jam」が各方面で話題になり、2007年1月にExt Recordingから1stアルバム「tide of stars」を発表。異例の好セールスを記録し、同年7月には早くもリイシュー盤「tide of stars SPECIAL EDITION」がリリースされた。2008年3月にavex traxへのメジャー移籍を発表、5月7日にメジャー第1弾となるアルバム「sunset girls」をリリースした。音源とは一線を画する、勢いのあるライブパフォーマンスも魅力のひとつ。