YMCKとDE DE MOUSEが9月24日にスプリットアルバム「DOWN TOWN」をリリースした。この2組は2000年代に入ってからインディーズシーンで活動を開始し、独自の立ち位置を確立。今年2008年にエイベックス・エンタテインメントからメジャーデビューし、それぞれの1stアルバムは好調なセールスを記録している。
この2組にはどのような共通点があるのだろうか。今回のインタビューでは初めて出会ったときのことから、アルバム「DOWN TOWN」の制作について語ってもらった。
取材・文/野口理香
初対面は胡散臭いパーティで
——まず、YMCKの皆さんとDE DE MOUSEさんが知り合ったきっかけについて教えていただけますか?
DE DE MOUSE(以下DE DE):最初は、エイベックスの親睦会みたいなパーティで会ったんだよ。新宿にあるエイベックス専属バーみたいな胡散臭いところで(一同笑)、来てる人も胡散臭い人だらけで、「何だよ早く帰りてーなー」と思ってたときに紹介されたのが初めて。YMCKとは偶然担当ディレクターが一緒だったんですよ。
除村武志(以下除村):あと、そもそもヴィレッジ・ヴァンガードで「DE DE MOUSEがキテる」って話があって、YMCKも元々ヴィレッジ・ヴァンガードで人気が出たところがあるんで、それも共通点。
栗原みどり(以下栗原):元々お互い名前は知ってて、そのパーティで初めて会ったんですよ。
除村:「これがDE DE MOUSEというやつかー」と(笑)。
中村智之(以下中村):結構面白い挨拶してたよね、あのとき。
DE DE:そういえば全員の前で挨拶させられたんだ!ディレクターから「担当アーティストです」と紹介されて「このディレクターは悪い人だから、悪い金を持ってきてくれると思うんで、僕は楽して悪い金で金稼ぎしたいです」みたいなことを言ったんですよ(全員爆笑)。
たくさんのデモの中に「DOWN TOWN」があった
——今回は、友達同士でアルバムを一緒に作ってみようというのが始まりですか?
除村:いえ、カバーをやろうっていうのが先に企画としてあったんですよ。それも「さぁカバーやるぞ!」って言って始めたんじゃなくて、僕らがアイデアを練りながらデモをいっぱい作ってた中に、アルバムのタイトルトラックにもなっているシュガー・ベイブの「DOWN TOWN」があったんです。それを件のディレクターが「これはいいね」と言ってくれたんで、これを軸になにかカバーのアルバムを作ろうということになった。さらに「DOWN TOWN」という曲から“70年代近辺”というキーワードが浮かび上がって、そこから“シティポップ”と、もうひとつの路線として“フォーク”っていうのが出てきたんです。
DE DE:没になった曲にはどんなのがあったの?それ気になるよね(笑)。
栗原:すごいいっぱいあるよ。
DE DE:そんなにあるの?それは、70年代っていう設定に従ったもの?
除村:そうじゃないのもあったなぁ。海外の洋モノロックとかもあったし。
DE DE:マジで?Led Zeppelinとかやったの?
除村:あ、近い。
栗原:でもね、ディレクターからはスルーに近い感じで没になったの。あんまり触れられないままに(笑)。
DE DE:「俺も忙しいんだから変なもん聴かせんな」みたいな?
栗原:そうそうそう(爆笑)。
DE DE:ひどいねー(笑)。ひどいよー。
除村:Deep Purpleは作ったよ(笑)。
DE DE:マジで?それはひどいわ(笑)。そのひどいの聴きたかったなー。
栗原:そうやっていろいろデモを作ってる中で、昔の曲をやろうって案が採用になったんです。
除村:ちなみに、オリジナルのほうも結構たくさん作ったんですけど、そっちはこれから出す新作に使うつもりです。
CD収録曲
- 夢の中へ(井上陽水)
- ぼくたちの失敗(森田童子)
- 人間なんて(吉田拓郎)
- 傘がない(井上陽水)
- 春夏秋冬(泉谷しげる)
- 満足できるかな(遠藤賢司)
- 言葉にできない(小田和正)
- 人生を語らず(吉田拓郎)
- まるで正直者のように(友部正人)
※全曲ミュゥモで着うた・着うたフル配信中
プロフィール
YMCK(わいえむしーけー)
除村武志(作曲・編曲・作詞・サウンドプロデュース・映像)、栗原みどり(ボーカル・作曲)、中村智之(映像・作曲)の男女3人から成る8bitポップユニット。2004年に発売した1stアルバム「ファミリーミュージック」がヴィレッジヴァンガードを中心に大ヒットを記録。レトロゲームさながらの8bitサウンドで、幅広い世代の支持を受ける。2008年1月エイベックスに移籍、3rdアルバム「ファミリージェネシス」でメジャーデビュー。国内のみならず、スウェーデン、オランダ、米国、台湾、タイ、韓国など多数の国で国際的なフェスやイベントに出演。映像と完全にリンクしたユニークなパフォーマンスは、世界的にも高い評価を獲得している。チップチューン・シーンの枠を超え、J-POP界に新風を巻き起こす存在として最も注目されているアーティストの1組。
DE DE MOUSE(ででまうす)
遠藤大介によるソロユニット。緻密に重なり合うメロディはオリエンタルな響きを感じさせ、ドリーミーで聴きやすいサウンドは、耳の肥えたリスナーから一般の音楽ファンに至るまで幅広い層から人気を獲得している。自主制作で発売したCD-R「baby's star jam」が各方面で話題になり、2007年1月にExt Recordingから1stアルバム「tide of stars」を発表。異例の好セールスを記録し、同年7月には早くもリイシュー盤「tide of stars SPECIAL EDITION」がリリースされた。2008年3月にavex traxへのメジャー移籍を発表、5月7日にメジャー第1弾となるアルバム「sunset girls」をリリースした。音源とは一線を画する、勢いのあるライブパフォーマンスも魅力のひとつ。