安田レイ|ここで終わりじゃない 「君と世界が終わる日に」挿入歌がもたらした新たなステージ

めちゃくちゃ見てます!

──YouTube上で公開されている「Not the End」のMVはすでに380万回再生を突破していますね。コメントもたくさん寄せられていますが、全部見ています?

めちゃくちゃ見てます。昔で言うネット掲示板のように、ドラマを観終わったあとに感想を書きに行ける場所になっているのがすごくうれしいんです。「この曲はほんとに来美ちゃんのことを歌ってるよね」とドラマにつなげたコメントをしてくださってる方もいるし、ドラマの感想については「あー私と同じこと感じてる!」と思うコメントがあったりもして。

──楽曲の感想で印象に残っているコメントはありますか?

来美ちゃんの彼氏である主人公の名前が響くんって言うんですけど、この曲のDメロにはそれを意識して“響き合う”というワードを入れたんですよ。それに関しては大々的に公言してこなかったんですけど、ドラマを観ている方でそこに気付いてくださった方がけっこういて。よりドラマに寄り添うために自分なりに入れた言葉遊びみたいな部分に気付いてもらえたことへの喜びはすごく大きかったですね。

──コメントを見ていると新規ファンも多いですよね。

そうですね、安田レイのことを今まで知らなかったという方のコメントもたくさん届いていて。「Not the End」をきっかけに、ほかの楽曲を聴いてくれたりもしているんですよ。前回のシングル「through the dark」のMVには「ドラマきっかけで知りました」という書き込みもあったりするので。もちろん昔からのファンの方々も引き続き応援してくださっていて、今の状況を一緒に喜んでくれているのも私としてはすごくありがたいことだなって感じています。

──デビュー当初の安田さんは明るくてハッピーな楽曲を得意とするイメージがありましたけど、ここ最近は自身の中にあるダークな部分も恐れずに表現するようになっていて。ある意味、「Not the End」もそういった流れの中の1曲だと思うんです。それがたくさんの人たちに受け入れられたという事実は、ご自身にとって大きな自信にもなったんじゃないですか?

確かにそうかもしれないですね。自分のダークな部分や弱い部分を表現することがずっと怖かったんですけど、今はそういう安田レイがいることも知ってもらいたい気持ちが強くて。自分自身、「安田レイとは何なのか?」みたいなことに関してはよくわかってないところもあるんだけど(笑)、でも明るい自分も、ダークな自分も確実に存在しているものなので、どちらもビビらずに表現していきたいとは思っています。とにかく今は胸を張ってカッコいいと思えるものを作っていきたいと強く思っているところです。

緊張の「THE FIRST TAKE」撮影舞台裏

──今の好状況をさらに加速させるように、3月5日には「THE FIRST TAKE」も公開されましたね。H ZETTRIOをフィーチャーして「Brand New Day」を歌唱する動画は、わずか5日間で120万回再生を突破しました。

うれしいですねえ。「THE FIRST TAKE」っていうだけあって、「間違えてもそれ使うからね」って事前に伝えられていて。めちゃくちゃ緊張しました(笑)。ライブの感覚で臨んだんですけど、そもそも私はライブでもよく歌詞を間違えるんです。ライブとはまた違う緊張感がありました。ただ、あの瞬間に懸けるみんなの思いを感じたとき、心がちゃんとつながれている気持ちになってすごく安心したんです。緊張しすぎると寒くなって、でも汗が止まらなくなる謎の現象が起こるんですけど(笑)、本番が始まった瞬間に汗がピタッと止まったんです。不思議なゾーンに入った感じがしましたね。知らない島にいるみたいな感覚になったんですよ。

──島?

なんて言うんだろう? 自然がいっぱいの不思議な島にいる気持ちになって、すごくリラックスできたんです。すみません、わけわかんないこと言って(笑)。

──あははは(笑)。映像を観ると、ものすごく楽しそうに歌われていますもんね。

めちゃくちゃ楽しかったです! もっと落ち着いて歌う予定だったんですけど、楽しくなりすぎて体が勝手に動いてしまって。H ZETTRIOさんの奏でる音があまりにも素晴らしすぎたので、そのおかげですね。

──だから最後には思わず「Yes!」のひと言がこぼれ出てしまって。

あそこは使われると思ってなかったんですけどね。はい、思わず出ちゃいました(笑)。

安田レイ

──今回、H ZETTRIOと一緒にやろうと思ったのはどうしてだったんですか?

私は今まで基本的に1人で歌ってきたので、コラボをほとんどしたことがないんです。なので今回はコラボをしたいというアイデアからスタートして。「THE FIRST TAKE」ではボーカリスト同士がコラボするパターンもけっこうある中で、私はインストバンドの方と一緒にやりたかったんです。そうすることで新たな安田レイをお見せできるんじゃないかなって。

──最高のコラボレーションだったと思います。

自分では今まで気付いていなかったいろいろな引き出しを開けてもらえた気がします。リハもほとんどできなかったので言葉でのコミュニケーションも少ない状態だったんですけど、本番は本当に心がつながって、お互いの気持ちを読み取っていくことができたような気がしていて。そういう経験は本当に楽しいものでした。

──あえてリリース直後の「Not the End」からではなく「Brand New Day」からの公開だったんですか?

はい。季節的に新生活をスタートさせる方も多いと思うので、それを意識した選曲でした。コロナで卒業式が盛大にできなかった学生の方も多いと思うので、そういう人たちの背中をこの曲でしっかり押してあげることができたらいいなって。「新たなスタートだよ。行けー!」という気持ちを込めて歌いました。

今は肩の力がいい感じに抜けてきてる

──先ほどの話で言えば、「Brand New Day」は安田さんのサニーサイドと言えるものだと思います。今ここで、「こんな安田レイもいるんだよ」ということを伝えたい思いもあったのでは?

そうですね。「Not the End」で私のことを知ってくださった方は、こういうアッパーなハッピーバイブス全開の曲も歌うことを知ってビックリするかなとも思うんですけど、だからこそ聴いてほしかったんです。もう7年も前の曲ですけど、今の私が歌うことでまた新しい「Brand New Day」になっていると思います。

──ソロデビューから言えば約8年分の成長と進化を感じさせてくれる歌でもありますしね。それをたくさんの人たちに届けるのはすごく意味のあることだと思います。

歌い方はホントに変わったと思います。昔はAメロもBメロもサビも関係なく、常に全力で歌っていたけど、今はいい意味での引き算ができるようになったと思います。人間には感情的な浮き沈みが必ずあるものなので、それと同じように歌にも抑揚があるべき。そういう意味ではより人間らしい歌になってきたのかもしれないです。きっとデビュー当時の自分じゃ、「Not the End」は歌えてなかったでしょう(笑)。

──強い追い風が吹く中、ここから先の安田さんがどんな歌を届けてくれるのかがすごく楽しみです。

私もすごく楽しみです! 目標としては、支えてくれる方とのつながりを大切にしながら、ずっと歌い続けていくことです。昔はちょっと力みすぎてたところがあったけど、今は肩の力がいい感じに抜けてきている実感もあるので、安田レイとしてナチュラルにがんばっていこうと思います。

安田レイ