音楽ナタリー Power Push - 安田レイ
「Message」インタビュー
この曲を聴いてくれる人が前向きになれますように
──「Message」の作詞には安田さんが携わってますが、シングルの表題曲で歌詞を手がけられるのは初めてだそうで。
はい! アルバムの制作が終わってホッとしていたときに新しいチャレンジが待っていたというか。作詞は小さい頃からやりたいことではあったんですけど、いざやるとなると毎回難しくて。喉元までイメージは出てくるんですけど、それをどうやって言葉にすれば人に伝わるんだろうって考えると悩んでしまって。自己満足で終わっちゃいけないし、すごい考えて考えて考えて……。今回も完成するまでに時間がかかりましたね。
──アルバムやカップリングの曲を作詞するのとではどんな違いがありましたか?
どの曲も大変だったんですけど、シングルの表題曲は聴いていただけるチャンスが増える分、気持ちがより引き締まりましたね。歌詞を書き終えたときはホッとしました。
──どのように歌詞を書いていったんですか?
まず玉井さんと一緒に、「大切な人に贈るメッセージ」という大きなテーマを決めて。そこから話し合いながら作っていきました。この曲を書いていたときに思い浮かべていたのは、中学校のときにお世話になった先生。その先生がいなかったら、今の私はいないっていうくらい私の夢を後押ししてくれた先生で。私が通っていた学校の先生って校内での活動は応援してくれるけど、芸能活動はあまり応援してくれなかった。でもその先生は「レイちゃんがやりたいことをやったほうがいいよ。学校は何歳からでも行けるよ」って言ってくれたんです。当時は学校がすごく楽しくて、転校するかすごく悩んだんですけど、その先生のひと言で前に進めた。「Message」の歌詞は、その先生への感謝の思いと「お互い一緒にがんばっていきましょう」っていうメッセージを込めて書きました。
──「お互い一緒にがんばっていきましょう」という思いは、夢を実現した今だからこそ芽生えた感情かもしれませんね。
ホントそうですね。私、夢を持つことをすごく大事にしていて。夢って毎日を変えてくれる力を持ってると思うんです。私の場合、高校時代に芸能コースのある学校に通ってたんですけど、周りがすごく活躍している中で自分には仕事がなくて。毎日学校に行けちゃったんです(笑)。でも、歌手になるっていう夢はあきらめずにいて、ボイストレーニングに通ったり、友達の舞台を観に行ったりしてその間にいろいろ吸収してたんです。そして高校卒業したあとにデビューすることができた。だから今度は歌を通して、夢を追いかけてる人たちを応援したくて。夢を持ってても、周りに反対されて悩んでしまうこともあると思うんですけど、自分の人生だから自分が選んだ道を進むのが一番大切だよって。私自身が小さい頃からの夢をちょっとずつ叶えて、夢を持つことの大切さを証明できてるので、それを伝えたいなと。
──安田さんが作詞をされた曲としては、こういった応援ソングは初めてですよね。
そうかもしれません。今までは自分を奮い立たせるような曲が多かった気がしますね。こういう歌詞を書けたことは自分にとって新境地でした。
──歌入れのときは何を思い浮かべましたか?
作詞のときと同じように先生のこと! 中学時代に、学校を選ぶか芸能活動を優先するか悩んでいた頃のことを思い出しながら。あとは「この曲を聴いてくれる人が前向きになれますように」と願いながら歌いました。
思い込みパワーで夢をつかむ
──安田さんは小学生のときから芸能活動をされていますが、決して順風満帆なキャリアではなかったですよね。それでも夢を失わなかった理由は?
それは思い込んでたからだと思います。ずっと「自分は歌手になるんだ」って思い込んでた。あとマイナスなことがあっても、私は「人生めちゃくちゃ楽しい!」って思うようにしてて。バカポジティブって周りには言われるんです(笑)。自分で自分を騙してる感じなんですけど、そうすると自然とマイナスのイメージが消えていくんですよ。
──今回の「Message」もそうですが、安田さんの書く歌詞には「夢」という言葉がよく出てきますよね。あとは「光」や「涙」が多い印象があります。
そうなんです。その3つの言葉が大好きで。涙がよく出てくることについては、玉井さんに「レイちゃん、こんなに涙流して大丈夫?」って指摘されました(笑)。でも、私の中で涙ってマイナスなものじゃなくて。涙を流すことにはちゃんと意味があると思うんです。泣くことで負の感情をデトックスする「涙活」というのもありますし。何より私が涙もろいんですよ。だから歌詞にもよく出てくるのかな。
──今後書いてみたい歌詞のテーマや世界はありますか?
うーん、安田レイの音楽には「未来」や「夢」といったものが大きなテーマとしてあるんですけど、新たな安田レイの一面を見せたいっていうのもあるんです。だから「恋詩」みたいなアダルトな曲もオリジナルで挑戦してみたいなあ。あとは歌詞ではないですけど、英語が多めのソウルっぽい曲も歌ってみたい!
──英語と日本語で歌うときの違いはありますか?
ありますね。英語のほうがなじみがある分、感情が乗せやすいです。1番が英語詞で、2番が日本語詞っていうような曲にも挑戦してみたいですね。それで英語詞は自分で書くとか、そういうのも面白いかなって思ってます。
夢の場所=赤坂BLITZへの思い
──シングルのリリースにあわせて東名阪ツアーが始まりますね。
過去最大規模のツアーなので楽しみです! ツアーファイナルは赤坂BLITZで、いろんなアーティストのライブを観に行っていた会場だし、私にとって夢の場所なんです。初めて赤坂BLITZに行ったのが三浦大知さんのライブで、そのときは2階席の端っこのフェンスにしがみついて「この光景を目に焼き付けておこう」と思ってたなあ。夢中になって彼のパフォーマンスを観ていた場所で自分がライブをするんだと思うと、不思議な感じです。先月も赤坂BLITZには2組のアーティストのライブを観に行って。そのときはお客さんの盛り上がり方とか、ステージでのアーティストの動きとかを見てました。初めて三浦大知さんのライブを観たときとは見方が変わってて、そこで自分は成長してるんだなって再確認しました。
──どんな内容のツアーにしたいですか?
ファンの皆さんとの時間を大切にするツアーにしたいですね。普段皆さんの中にある安田レイ像ってクールでおとなしいっていうイメージがあると思うんですよ。でも、そういうイメージを壊して、素の部分をもっと出して、ファンの方とコミュニケーションしたい! あとは「また安田レイに会いたい」って思ってもらえるようなツアーにしたいなあ。あ、ツアーの打ち上げも楽しみですね。打ち上げで飲むビールがおいしくて。最近目覚めちゃいました(笑)。
- ニューシングル「Message」 / 2016年5月18日発売 / SME Records
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1700円 / SECL-1887~8
- 通常盤 [CD] 1260円 / SECL-1889
CD収録曲
- Message
- Reflection
- Shakin' Da beat
- Message(Instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
- Behind the scenes of "Message" photo session
安田レイ TOUR 2016 “PRISM”
- 2016年5月14日(土)大阪府 umeda AKASO
- 2016年5月19日(木)愛知県 Bottom Line Japan
- 2016年5月27日(金)東京都 赤坂BLITZ
安田レイ(ヤスダレイ)
1993年、アメリカ・ノースカロライナ州で生まれる。3歳で日本へ移住し、10歳の頃に母親が聴いていた宇多田ヒカルの楽曲に衝撃を受けてシンガーを志す。モデル活動を始めたことがきっかけとなり、13歳のときに元気ロケッツのオーディションに合格。架空の女性「Lumi」のモデル兼ボーカリストとしてプロジェクトに参加する。2013年7月に「Best of my Love」でメジャーデビューを果たし、2014年10月に個人名義としては初めてのアルバム「Will」を発売する。2015年には初のワンマンツアーを成功させ、「恋詩」「Tweedia」「あしたいろ」という3枚のシングルを発表。2016年2月に2ndアルバム「PRISM」を、5月に作詞に携わった表題曲を含むシングル「Message」をリリースした。