音楽ナタリー PowerPush - 安田レイ

彼女の“新年”を飾る 3人のヒロイン

安田レイがニューシングル「恋詩」をリリースした。

安田5枚目のシングルとなる本作のリード曲は、TBS系で現在放送中のドラマ「美しき罠~残花繚乱~」の主題歌で、いきものがかりの2012年のアルバム「NEWTRAL」収録曲のカバー。初のドラマ主題歌、初のカバー曲という初物尽くしの中、彼女はブラスとジャジーなリズム、そして少しセクシャルな歌詞が耳に残るこの曲を歌い上げている。

2014年12月、桑田佳祐のラジオ番組で、桑田による2014年の邦楽ランキング2位に自身の楽曲「Brand New Day」が選ばれ、また今年1月からは初のワンマンツアーで東名阪を巡った安田。ポジティブなトピック続きで慌ただしく過ごした年末年始を経て「2月になってようやく年が明けた」と笑う彼女が、その年明け第1弾の楽曲にしてカバー曲に込めた思いとは? そして現在21歳の彼女による「恋詩」の料理法とは? 話を聞いた。

取材・文 / 成松哲 撮影 / 塚原孝顕

もっともっと広い会場で歌えるようになりたい

──年末から1月にかけて、安田さんの周りがけっこうにぎやかなことになってましたね。

安田レイ

そうなんですよ!

──桑田佳祐さんがご自身のラジオ番組「桑田佳祐のやさしい夜遊び」で毎年発表している邦楽ベストの第2位に安田さんの「Brand New Day」が選ばれて。年明け早々、いろんなニュースサイトで「桑田佳祐が見初めた安田レイとはこんな人」って取り上げられて、話題になり。

私自身、Twitterで話題になっているのを見て知ったんですけど、ウソッ!?みたいな(笑)。ほかに桑田さんが選んだ方はみんな大先輩で……。

──1位が松山千春さんで、3位が竹内まりやさんでしたもんね。

その中に安田レイを入れてくださって、本当にありがとうございます!としか言いようがないですね。どこで私のことを知ってくださったのか。CMなのか、ラジオなのか、きちんとお会いして感謝の気持ちを伝えた上で、それも伺ってみたいですね。

──そして1~2月にかけて初めてのワンマンツアーもあった。

桑田さんの一件のあとすぐにツアーが始まって。本当についこのあいだまでやっていたので(参照:安田レイ、大人な魅力も開花させた満員UNITワンマン)、なんか最近やっと年が明けた感じです。もう2月も終わるんですけど(笑)。

──ツアーはいかがでした?

初めてのことですし、始まるまでは何カ月間も「どうなるんだろう?」「どのくらいお客さんがいらっしゃるのか?」っていう不安があったんですけど、いざ初日の名古屋公演が始まってからは逆に「今までの不安はなんだったんだろう?」っていう感じ。楽しい時間が一瞬で終わっちゃった感じですね。どの会場も本当にパンパンになるくらいたくさんの人であふれていて。それがすごくうれしかったですし、改めて「私、ステージがすごく好きだな」「もっともっと広い会場で歌えるようになりたいな」って強く思うようになりました。

安田レイ、キケンな恋をする女になりきる

安田レイ

──今回のシングル「恋詩」のレコーディングもその年末年始に?

12月ですね。ツアーのリハーサルとか打ち合わせとか、いろいろバタバタしながら制作したっていう感じでした。それも最近“年が明けた”理由ですね(笑)。

──「恋詩」ってまさに“年明け”一発目、“新しい”年の最初を飾るにふさわしい“新しい”シングルですよね。

そうですね。カバーさせていただくこと自体初めてですし。いきものがかりさんっていう本当にファンの方、原曲を愛している方がたくさんいらっしゃる方のカバーだったので自分へのプレッシャーは少しありました。「いきものがかりさんのファンが私の『恋詩』を聴いたらどういうふうに感じるんだろう」って。今回はちょっといつもとは違う緊張感がありましたね。

──しかも、多くの人が「いきものがかり」と聞いて思い浮かべるポップチューンではなく、彼らのディスコグラフィの中でもちょっと珍しいエグめの曲ですしね。

アルバムの中の1曲ですもんね。今回、TBSの「美しき罠~残花繚乱~」というドラマの主題歌を「恋詩」で、というドラマ制作側のセレクトがまずあって、その後、私がカバーを、というお話をいただいたんですけど、ドラマが大人の恋愛を描いたものだったので世界観を表すのにぴったりな1曲がこの曲だと思いました。ただ、確かに安田レイとしても今までにない曲ではあって。「憂うべき運命(さだめ)」とか「餞(はなむけ)の辞(ことば)」とか「この胸の熱(ほとぼ)り」とか印象的な言葉がたくさん登場してきたので、1つひとつ意味を自分なりに飲み込んで歌うようにしたんですけど、ちょっと大人っぽい恋愛を歌う安田レイっていう新しい一面を魅せられたんじゃないかな、とは思ってます。

安田レイ

──さっき言った通り、それがこのシングルに“新しさ”を感じた理由なんですけど、レコーディングまでは緊張感があったといいながらも、きちんと新しい安田レイ像を提示できている。勝因ってなんだったんでしょう?

なんだったんだろう?(笑)

──実際「一夜の戯れ」に興じるような恋愛をしているとか?(笑)

あはははは(笑)。もちろんないです! ……でも、そういう大人でキケンな恋愛にちょっと憧れてる自分がいるのかもしれないですね。以前もお話した通り(参照:安田レイ「Will」インタビュー)私はいつもレコーディングのときは曲の中の主人公になりきるようにしているんですけど、この曲の中にいる女性もスムーズに解釈して表現できましたから。

ニューシングル「恋詩」2015年2月25日発売 / SME Records
初回限定盤 [CD+DVD] 1620円 / SECL-1651~2
通常盤 [CD] 1260円 / SECL-1653
iTunesにて配信中!
CD収録曲
  1. 恋詩
  2. Just for you
  3. My way, My life
初回限定盤DVD収録内容
  • 恋詩 ビデオクリップ
安田レイ TOUR 2015“WILL”~JUST FOR YOU~
  • 2015年5月22日(金)愛知県 ell.FITS ALL
  • 2015年5月23日(土)大阪府 SUNHALL
  • 2015年5月31日(日)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
安田レイ(ヤスダレイ)
安田レイ

1993年4月15日、アメリカ・ノースカロライナ州で生まれる。3歳で日本へ移住し10歳の頃に母親が聴いていた宇多田ヒカルの楽曲に衝撃を受けてシンガーを志す。モデル活動を始めたことがきっかけとなり、13歳のときに元気ロケッツのオーディションに合格。架空の女性「Lumi」のモデルとなりボーカリストとしてもプロジェクトに参加する。2013年7月に「Best of my Love」でメジャーデビューを果たし、12月には配信限定の「Let It Snow」を発売。2014年2月に「Brand New Day」をリリースし、同年6月にはテレビアニメ「金田一少年の事件簿R」のエンディングテーマ「パスコード4854」を発表。そして同年10月、個人名義としては初めてのアルバム「Will」をリリース。翌2015年には初のワンマンツアーを成功させ、2月にTBS系ドラマ「美しき罠~残花繚乱~」の主題歌にして、いきものがかりのカバー曲「恋詩」を発表した。