ナタリー PowerPush - 安田レイ×玉井健二
「Happy Birthday」から始まった7年の軌跡
2006年にデビューするやいなや日本のみならず海外でも高い評価を受けた音楽ユニット・元気ロケッツ。そのボーカリスト“Lumi”として活動を続けてきた安田レイが、シングル「Best of my Love」で待望のソロデビューを果たすこととなった。
13歳で元気ロケッツのオーディションに合格してから約7年。世界に通用するシンガーになるために鍛錬を続けてきたという彼女にとって、今回のソロデビューはまさに万感の思いで迎える門出の瞬間といえるだろう。今回ナタリーでは、元気ロケッツとして彼女の才能を見出した張本人であり、ソロプロジェクトの中心人物である玉井健二(agehasprings)との対談をセッティングし、安田レイというシンガーの魅力に迫るさまざまなエピソードを聞いた。
取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 山崎あゆみ
“安田さん”って言われるのが慣れない
──安田さんのソロデビューを記念してのスペシャル対談、よろしくお願いします!
玉井健二 緊張するね。“安田さん”だよ。
安田レイ そうですよね。自分でもまだ慣れないんですよ。“安田さん”って言われても、「あれ? 誰なの?」みたいな(笑)。
玉井 いつも“レイちゃん”って呼んでるからね。スタジオで寝ちゃったときに、「安田さーん、起きてくださーい!」ってギャグとして呼ぶことはあったけど(笑)。
──お2人が出会ったのは2006年。玉井さんが手がけたユニット・元気ロケッツのボーカルであるLumi役のオーディションだったんですよね。
安田 そうです。当時の事務所の方がたまたま元気ロケッツオーディションの関係者の方と知り合いで。「オーディションがあるから受けてみたら?」って言ってくれたんです。それが13歳のときでしたね。
──もともと歌は好きだったんですか?
安田 はい。モデルになりたいという夢を持つ前から、ずっと歌手になりたいと思ってました。ただ、そのオーディションはPVに出演する女の子を決めるというものだったので、それがまさか歌手になる道につながるとはまったく思ってなかったんですけどね。
──歌い手を探す目的のオーディションではなかったんですか?
玉井 そう。すでに“人類史上初の宇宙生まれの17歳の女の子、Lumi”という設定があったので、まずはどこから現れたのかわからない、ちょっとミステリアスでそれでいて人類を代表するようなイメージにマッチする被写体としての女の子を探そうというオーディションだったんです。ボーカリストは別でも探していたんですけど、あわよくば歌ってもらおうという気持ちもありました。
「Happy Birthday」をアカペラで歌った
──当時のオーディションの様子を教えていただけますか?
玉井 まずね、レイちゃんはオーディションにかなり遅れてきたんですよ。
安田 そうでしたね。学校があったのと、当時は都心から遠くに住んでいたので、オーディション会場に着くまでに2、3時間かかっちゃって(笑)。
玉井 今思えば仕組んでたんじゃないかなと思うんですけどね、印象付けるために(笑)。で、何人もオーディションして、最後の最後に彼女が現れたんですけど、もうね、僕らのイメージを超えるものがあったんですよ。こういう人こそが宇宙で生まれた最初の人類であってほしいなって。で、その段階でキャストとして僕の気持ちは決まってたんですけど、一応歌も歌ってもらうことにしたんです。Lumiに関してはどこか無国籍な感じというか、極力“made in japan”だということを隠したいと思っていたので、ネイティブな英語力を求めていたんですけど、レイちゃんはネイティブで理想的な英語とビジュアルだったんです。
──何を歌ったんですか?
安田 ダンス審査があることは聞いていたんですけど、まさか歌うとは思ってなかったので、何も用意してなかったんですよ。なので、とっさに出てきた「Happy Birthday to You」をアカペラで歌いました(笑)。
玉井 ほかの人たちは邦楽のヒット曲とか王道の洋楽を歌ったんですけど、レイちゃんだけが顔真っ赤にしながら「Happy Birthday to You」を歌ったっていう。で、「♪Happy Birthday dear~」の後、どう歌うのかが気になるじゃないですか。
──誰に向けて歌うのかっていうところですよね。
玉井 そうそう。そうしたら、「♪dear Mammy」って歌ったんです。それを聴いた瞬間、その場にいた全員が感動して、泣き出す人もいて。もうこの子しかいないでしょって感じになったんですよね。
- ニューシングル「Best of my Love」/ 2013年7月3日発売 / SME Records
- 期間生産限定盤 [CD]1300円 / SECL-1355
- 通常盤 [CD] 1223円 / SECL-1354
収録曲
- Best of my Love
- styles
- フォゲミナ
安田レイ(やすだれい)
1993年4月15日、アメリカ・ノースカロライナ州で生まれる。3歳で日本へ移住し10歳の頃に母親が聴いていた宇多田ヒカルの楽曲に衝撃を受けてシンガーを志す。モデル活動を始めたことがきっかけとなり、13歳のときに元気ロケッツのオーディションに合格。架空の女性「Lumi」のモデルとなりボーカリストとしてもプロジェクトに参加する。2013年7月3日に「Best of my Love」でメジャーデビューを果たす。同曲はMBS・TBS系テレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト2199」のエンディングテーマに起用された。
玉井健二(たまいけんじ)
YUKI、中島美嘉、flumpool、CNBLUEら多数のヒット作を手がける音楽プロデューサー。自身のユニット・元気ロケッツでは音楽と映像のハイブリッドな融合を実現し、世界で高い評価を獲得する。代表を務めるクリエイターズラボ「agehasprings」関連のCD+DVDの総売上枚数は2005年発売以降分のみで3500万枚を突破しており、近年ではFM局のブランディングプロデュースやアプリ開発に携わるなど、その活動は多岐にわたる。