健悟と石毛さんは似た感じ
──Yap!!!とは名乗っていないものの、7月に東京・GARAGEで行われた音楽ライターの三宅正一さんのイベントで、このメンバーで初めてライブをやったんですよね。3人で人前で演奏してみてどうでしたか?
汐碇 僕的には1年ぶりのライブだったのですごく緊張しましたね。でも楽しい気持ちが一番でした。なんか石毛さんの圧倒的なカリスマ感を感じましたね。あはは(笑)。
石毛 (ダブルピース)
──あはは(笑)。柿内さんはどうでしたか?
柿内 石毛さんは今まで僕が叩いてきたバンドのフロントマンとは全然違うなと思いました。なんか一緒に盛り上がれると言うか……。
石毛 温度感が一緒ってことなのかな?
柿内 そうですね。
石毛 あー、けっこう音を聴くことよりも自分を魅せることに重きを置いたボーカリストもいるよね。それはそれで間違ってないけど、俺はメンバーが出してくる音に1個1個の音に反応して「お、そうくるか!」って考えて、いろいろ音の出し方を変えるのが好きだから、ボーカリストでもあるけど基本は演奏が好きな人なんだよね。みんなでそれぞれの音に反応し合ってやるのがバンドのだいご味だと思うから、そういうのを感じれたのかな?
柿内 そうですね。Yogeeで叩いたときも同じ感覚になったんです。純粋にそれが楽しくて。(角舘)健悟と石毛さんは似た感じがあるなと思いました。
石毛 なるほどね。だから俺と健悟は仲いいのかもね。
──柿内さんはYap!!!とはかなり雰囲気の違うTHEこっけんろーるBANDなどでドラムを叩いていましたが、こういうジャンルのバンドに所属してみてどうですか?
柿内 あまり聴いてこなかったジャンルの音楽で、演奏しているうちにどんどん好きになっていってる感じがします。
石毛 カッキーはもっと泥臭い感じの音楽をやっていたから、そういうやつがこのバンドで叩いたらいい化学反応が起きるんじゃないかって期待していたところもあって。リズムがずれちゃだめだけど、エモーションとダイナミズムがないと生ドラムである必要がないんですよね。だからエモーションを注入してくれるドラマーが欲しくて。バンドに新しい曲を提案すると、カッキーは「こういう曲を演奏するにはどんな音楽を聴いたらいいですか?」って聞いてきてくれるから、俺もすごく楽しい。
the telephonesと比べられるのは仕方ない
──結成発表と同時に配信シングル「Dancing in Midnight / Street」をリリースしましたが、反応はいかがでしたか?(参照:石毛輝が新バンド結成、本日新曲2曲を配信リリース)
石毛 賛否両論だったかも。
──資料にもある「ハイトーンで踊れる」というキャッチコピーはthe telephonesを彷彿とさせました。
石毛 ですよねー(笑)。わかりやすいほうがいいかなと思ってたくさんの要素を削ぎ落としたらこういうキャッチコピーになって。the telephonesにもあった要素を新しいプロジェクトのキャッチコピーに持ってきたことについては業界の人にも「なんで?」とたくさん言われました。こっちの意図としてはlovefilmとは違うっていうことと、俺がまたメインで歌うっていうことをわかりやすく1行で表したかったということなんですけどね。
──この音楽に潔いキャッチコピーを付けるとしたらこうなるだろうなという気もします。
石毛 とにかく音楽を聴いてほしかったから、注目を集めたのならよかったのかなと思っています。真也はあの反応を受けてどう思った?
汐碇 うーん、石毛さんの新バンドっていう時点でthe telephonesと比べられるのは仕方ないなって(笑)。そういう状況だからこそ、めちゃくちゃがんばるしかないなと思いました。
柿内 僕は、Yap!!!のことをよく知らない人に「the telephonesみたいな感じの音楽なの?」って聞かれるとイラッと来るから、早くライブを観てもらいたいなと思ってます。
Yap!!!の強みは無邪気さ
──現時点でのYap!!!らしさはどういうところだと思いますか?
石毛 みんなバカなところかな。なんかいい年こいた少年なんですよね。たぶん俺が群を抜いてそうなのかもしれないんですけど、悪ふざけが好きで。
柿内 石毛さんサービスエリアのトイレの前でズボン下ろしてくるんですよ(笑)。普通に人いっぱいいるのに。
石毛 そうやってふざけていられるのが俺が思うバンド像で、自分がやってきたバンドも全部そういう感じだったんだよ。たぶん北浦和KYARA(昔働いていた埼玉のライブハウス)育ちからだと思うんだけど。俺が求めるバンド像……求めると言うか、もう身に付いているものなんですけど、そういうものにこの2人とだと自然となれるんですよね。真也くんもカッキーもそういう面がもっと出てくるとこのバンドの色がはっきりしてくるんじゃないかな。俺はバンドには無邪気さが大切だと思うんだよね。尊敬する仲のいいバンドマンの先輩たちを見ていて、とても好きだなと思うところは、ストイックさや苦労をあまりファンに見せないところ。見えないところでめちゃくちゃストイックだと思うけど、ああやって表では無邪気でいるところがいいなと思うんだよね。その先輩がどこかで「最近のロックミュージシャンは苦労を売りにしがちだけど、そもそもロックっていうのは苦労なく作るところがカッコいいんだ」って言ってて、俺は「その通り!」と思って。
汐碇 確かにそういうのは多いですね。
石毛 今の時代じゃそういう見せ方もアリなのかもしれなけど、俺はいくら面倒だったりつらいと思ったりしても、やっぱりステージ上では無邪気でいたい。なんでバンドやってるんだっけ? 楽しいからやってるんじゃなかったっけ?ってなっちゃうのはやっぱりバンドとしてあまり健康な状態ではないと思うから。ぶっちゃけthe telephonesの後半はそういう無邪気な気持ちはなくなっていたからYap!!!でそういう気持ちになれて純粋にうれしい。これからは「この3人で演奏すればYap!!!だ」ってわかってもらえるように、たくさん時間を一緒に過ごして、ライブもいっぱいやっていきたいですね。
次のページ »
2人に出会えたことがうれしかったからバンド色の強い作品に
- Yap!!!「I Wanna Be Your Hero」
- 2017年10月25日発売 / Romantic 1984 / UK.PROJECT inc.
-
[CD]
1944円 / R1984-002
- 収録曲
-
- Dancing in Midnight
- Too Young for Love
- If I'm a Hero
- Street
- Before You Leave
- Kick the Door
ライブ情報
- Yap!!!「!!! We Dance, We Rock !!!」
-
- 2017年11月4日(土)愛知県 CLUB ROCK'N'ROLL
出演者Yap!!! / ART-SCHOOL - 2017年11月14日(火)大阪府 LIVE HOUSE Pangea
出演者Yap!!! / フレンズ - 2017年11月28日(火)東京都 新代田FEVER
出演者Yap!!! / avengers in sci-fi
- 2017年11月4日(土)愛知県 CLUB ROCK'N'ROLL
- Yap!!!(ヤップ)
- the telephonesやlovefilmのメンバーとして知られる石毛輝が2017年に始動させた新プロジェクト。初期のライブは石毛が機材を駆使し、1人でステージに立っていたが、同年8月に汐碇真也(B)と柿内宏介(Dr)をサポートメンバーに迎え3人編成のバンドとして始動した。バンド結成を発表すると同時に配信シングル「Dancing in Midnight / Street」を、新たに立ち上げた自主レーベルRomantic 1984よりリリース。10月に同レーベルより1stミニアルバム「I Wanna Be Your Hero」を発表し、11月から対バンツアー「!!! We Dance, We Rock !!!」を行う。