音楽ナタリー Power Push - 山根万理奈
25歳のリアルな「愛と妄想」
もっともっとがんばりたい
──10曲目には「街角」という曲が収録されていますが、これを聴いたときにアルバムの印象がガラッと変わったんですよ。大きな“愛”をテーマにしながらも、山根さんはこの作品で“人生”というものを歌っているんだなって。それぐらい意味のある曲だと思うんですけど、これはどんな思いから生まれたんですか?
例えば悲しい事件をニュースで見たときに、すごく苦しむ自分と、でもどこか他人事のように感じている自分がいるんですよ。その共存が私はすごく気持ち悪くって。あと、道端を歩いているとよくお花が添えられていることってあるじゃないですか。
──はい。
その花には何か意味があるんだろうなって思う自分はいるけど、枯れちゃってるその花を見ても、そこに新しい花を添えようとは思わない。そういうことを考えたときに、花が添えられなくなったことでそこにあった意味はなくなってしまうのかな、そこで起きた“何か”はなかったことになってしまうのかなって思ったんですよね。その寂しさが自分の中の孤独を刺激したところもあったので、そこにあるのになかったことにされるのはたまらない、そこにあったことを気付いてほしい、そこにあったことを自分でもちゃんと気付きたいなって。そういう気持ちを書いてみたんですよね。
──「街角に花は いつも確かにあって / 気付いたその時 初めて咲くのだろう」という最後の歌詞が胸を打ちます。これはすべての人の人生に当てはまる曲でもあると思うし、同時に山根さん自身の音楽家人生に向けられた曲のようにも感じました。山根万理奈という存在にもっと気付いてほしい、そんな願いが込められているような気がしたのですが。
うん。それももちろんありますよね。街角にあった花が、自分の中の孤独な感じにつながったのはそういうことだと思うので。私の歌を好いてくれていて、待ってくれている人がいるという事実がある一方で、私のことをまったく知らない人もいるわけで。歌が好きで活動しているからには、もっともっと知ってもらいたいっていう気持ちは常にありますからね。そういう気持ちは確かにあります。
──多くの人に知ってもらいたいという気持ちはきっと尽きることがないと思うんですけど、でもこの作品は確実に山根万理奈という人の存在意義みたいなものを改めて提示しうるものになったと思います。
うん、そうですね。すごくいい環境の中、これだけ素敵なアルバムを作れたわけですし、なかなか満員にはならないけどライブもたくさんやらせてもらえてるわけですから。現状に対しての充実感はものすごくあります。その中で、より多くの人に聴いてもらいたいとか、このアルバムで参加してくれたメンバーでツアーが回りたいなとか、課題とか目標はいっぱいありますけど。もっともっとがんばりたいなって思いますね。
──本作がたくさんの場所で響き渡るといいですね。
ですね。今回のアルバムは、いつもよりちょっと音のボリュームを上げて聴いてほしいんです。ブースの中で一緒に聴いている感覚になれる音を狙って録って、それが大成功した仕上がりになっていると思うので。あんまりコンプをかけないとか、ミックスもみんなでこだわってやりましたし。
「私は愛と妄想でできてるんだな」
──最後に「愛と妄想、25歳。」というアルバムタイトルについても聞かせてください。
今回は自分にとってすごくリアルな作品にはなったんですけど、実はそこには妄想もすごく含まれているんです。結局のところ、頭の中がそうであるように、妄想も含めたすべてが自分のリアル。それって気持ち悪いけど、ちょっと面白いなって(笑)。「私は愛と妄想でできてるんだな」っていうことが 今回のアルバムを通して確信に変わったってことですね。で、さらにいろんな変化をした今の私、25歳の私をパッケージしたものでもあるので、「愛と妄想、25歳。」というタイトルにしました。
──YouTubeに動画をアップし始めてからもう6年が経ってます。早いですね。
ね。毎回、「今回の作品で終わってしまうんじゃないか」ってどこかで思ったりはしているし、いろいろ大変なことはありますけど、今もこうやって楽しく歌えているから本当にうれしいですよね。もうすぐ26歳になりますし、年齢を重ねたからこそできることもどんどん増えていくと思うので、これからも活動は止めたくないなって思ってます。
──本作を引っさげたツアーはすでにスタートしています。ライブでこの曲たちを聴けるのを楽しみにしています。
今回も1人でツアーを回るんですけど、今までとはちょっと違ったことにも挑戦しているんですよ。そんなに物珍しいことではないけど、自分にとっては初めてのチャレンジなので、受け入れてもらえるかドキドキしてますね。このアルバムがツアーを通してより浸透してくれたらいいな。それと次にやりたい曲とかもぼんやりと構想し始めたりはしているので、この先も楽しみにしていてほしいですね。
収録曲
- 砂漠のマーメイド
- X-day
- 時のまにまに
- ふたりのとき
- ワイキキ・チェキラ・シェキラ・ビーチ
- てつやの恋人
- 誰よりも
- たぶんね
- オトメコーヒー
- 街角
- あなたとわたしのうた
アルバムリリースツアー「愛と妄想、25歳。」
- 2015年6月26日(金)大阪府 D'STYLE
- 2015年6月27日(土)京都府 京都ROOTER×2
- 2015年6月28日(日)兵庫県 Sound Bar かくれんぼ
- 2015年6月30日(火)島根県 LIVEHOUSE&STUDIO APOLLO
- 2015年7月3日(金)山口県 なべ萬&トム・キャット
- 2015年7月4日(土)山口県 Organ's Melody
- 2015年7月5日(日)島根県 cafe gallery bar Po
- 2015年7月10日(金)島根県 MUSIC BAR WeST
- 2015年7月11日(土)山口県 玉ネギ畑
- 2015年7月12日(日)島根県 Tete De Bavard
- 2015年7月17日(金)東京都 lete
- 2015年7月18日(土)東京都 江古田マーキー
- 2015年7月19日(日)東京都 lown
- 2015年7月20日(月・祝)東京都 Last Waltz by shiosai
- 2015年7月21日(火)千葉県 柏ThumbUp
- 2015年7月24日(金)愛知県 K.D ハポン
- 2015年7月25日(土)岡山県 カフェ・ド萌
- 2015年7月26日(日)島根県 Night&Day 味巣亭
- 2015年7月29日(水)岡山県 城下公会堂
- 2015年7月30日(木)香川県 RUFFHOUSE
- 2015年8月1日(土)広島県 楽座
- 2015年8月2日(日)兵庫県 LIVESHOT BLANTON/BLANTON
- 2015年8月8日(土)東京都 lown
- 2015年8月9日(日)東京都 lown
山根万理奈(ヤマネマリナ)
島根県出身のシンガーソングライター。2009年よりYouTubeでカバー曲やオリジナルの弾き語り映像を公開し、透明感あふれる声やおっとりしたキャラクターが注目を集める。その存在が現在所属する事務所スタッフの目に留まり、2011年6月に山音まー名義でニコニコ動画で人気を博している楽曲をカバーしたミニアルバム「人のオンガクを笑うな!」をリリースし、同年7月にワーナーミュージック・ジャパンからシングル「ジャンヌダルク」でメジャーデビューした。同年11月にカバーアルバム「ざっくばらん」で、自身のルーツとも言える名曲の数々を弾き語りで披露。2012年1月に「STAR e.p.」、3月に「スタートライン」という2枚のシングルを発表したのち、4月に1stフルアルバム「空な色」をリリースする。その後ワーナーを離れ、2013年5月にインディーズレーベルより「好きで悩んでるわけじゃない」を、2014年にはクラウドファンディングサイトにてファンから募った資金をもとに制作したアルバム「歌ってhappy!」をリリースする。2015年6月にニューアルバム「愛と妄想、25歳。」を発表。年間100本を超えるライブを通じて着実にファンを獲得している。