この歌は私の歌

──そしてアルバムの中で最重要楽曲とも言えるのが「空な色」。デビューを決意するきっかけになった曲なんですよね。

はい。やっと出せるのがうれしいですね。この曲はHanasalの2人が私のために書いてくださった初めての曲なんです。歌詞を読んだときに、自分は今までどれほど周りに対していろんなことをごまかしてきたんだろうとか、どれほど自分に素直じゃなかったんだろうとか、いろんなことを感じて痛いぐらい突き刺さるものがあったんですよ。

──その頃の山根さんは、歌手になりたいという大きな夢を胸の奥底にしまいこんで、見ないようにしていたんですよね。

そうです。そこで、それじゃ自分があまりにもかわいそうだなって思ったんです。だから、それが得策なのかどうかはわからないけど、自分に嘘はついちゃダメだなって思えたんです。この歌は私の歌だって強く思えたし、私が歌ってみんなに届けたいって強く思えたことがデビューに向けて背中を押してくれたんですよね。

──実際にデビューしてから約1年が経とうとしていますが、今この曲を聴くとどう感じますか？

なんとなく昔の自分が妹みたいに思えて、そのときの気持ちを愛でてエールを送る感じがあるんですけど、冷静に考えれば今もその物語は続いてるわけで。そういう意味では空の色が変わっていくように、その時々で自分の中での聴こえ方が変わっていく曲だなって思いますね。で、それがこの先もずっと続いていくっていう。

──ちなみに今の山根さんの心に広がる空は何色ですか？

んー、ちょっと前まではグレーとかそういう感じだったんですけど。

──どんよりしてましたか（笑）。

あははは。まあ、そういうときもあったんですけど、今は夕焼けの紫ですね。なんで紫なのかな、もうちょっとで寝ようとしてるんですかね（笑）。でも夕焼けの紫って昔から大好きだし、そこから夜がきて、次はどんな明日がくるんだろうっていうワクワクしてる感じなのかもしれないですね。

──山根さんの大きな一歩として、本作を引っ提げて5月からは初の全国ツアーもスタートします。楽しみですね。

今回はアコースティックスタイルで回ります。私1人だったり、サポートの石垣隆太さんと2人だったりで。

──アルバムの曲たちも、また違った雰囲気で味わえそうですね。

全然アレンジを変えるものもありますしね。そこはライブならではの面白さを追求して。ずっとギターの弾き語りでやってきたっていうのもあるので、アコースティックの良さっていうものもちゃんと伝えたいと思います。