音楽ナタリー Power Push - YALLA FAMILY × PES(RIP SLYME)
飲み友達から始まった2組が届けるアンセム
世の中のもとは“愛”
──今回のアルバムは前2作に比べてしっとりとした曲が多く、特に後半は感傷的なムードやリラックスムードが高いと思ったんですが、それは意図的なものですか?
Haku そこも感じるままですね。例えば最後の「夕焼け」は、トラックを作ってくれたRobert de Boronに最初、ウィズ・カリファとチャーリー・プースの「See You Again」っぽい曲がいいな、って話してて。で、歌い出しは50が担当するっていうことだけ決めてたんですけど、作っていくうちにみんなの頭の中に夕焼けの光景が浮かんできて。
I.O 子供の頃って遊んでて空が夕焼けになると、みんな帰らなきゃいけなくなりますよね。そのときのちょっと悲しいような、でも楽しかった気持ちもある、そういういろんな気持ちが入り交じってる感じです。
50 大人になると明日のことをアレコレいっぱい考えるじゃないですか。余計な心配をしたりとか。でも、子供の頃は夕焼け見て「じゃあ、また明日ねー」ってなんの心配もせずに帰っていった。そのときの純粋な気持ちを忘れないでっていうメッセージを込めているんです。
──ほかにも「YELLOW ~つぼみたちの応援歌~ feat. JiLL」や「Y.O.U ~you're one of us~」など、今回の収録曲はハートフルで人間味が感じられます。4人の見た目はゴツいですけど、そのギャップがまた魅力ですよね。
50 怖い人って世の中にいっぱいいますよね。見た目が怖い人とか本当に怖い人とか。でも、その人たちも元をたどると愛し合った2人から生まれたわけで、つまり、もとは愛じゃないですか。そういう部分を出していきたいんですよね。
Haku YALLAは、見た目はゴツいかもしれないけど、みんな寂しがり屋で。1人じゃいられない奴しかいないんですよ(笑)。
50 だからパーティが好きなんですよ。家族も好きだし。
──今回のアルバムには友愛とか仲間愛がすごく滲み出てますよね。
Haku 本当に仲間が一番ですから。それが特に出たアルバムなんだと思います。
世代と人種を越えて聴いてもらえる曲を
──今後、どんな存在のグループになっていきたいと思っていますか?
50 とにかくまずは全員と仲よく!
PES ウケる、その外見でその意見(笑)。
50 あと4人それぞれ好きな音楽が違うんですよ。それらを混ぜていくと今までなかったものが生まれると思うし、さらにそれをいろんなアーティストと混ぜていけば、また新しいものが生まれるし、俺たちも一皮剥ける。ずっとそういういろんな化学反応を起こしていきたい。ずっと剥け続けていきたいです。
Haku あと、ライブではきちんと結果を残していきたですね。そのために何をしたらいいのか、これから始まるツアーで各地に行ってしっかりとキャッチしていきたいです。今回のツアーはACIDMANの大木(伸夫)くんが岡山まで来てくれたり、普段の仲間と呼べるアーティストたちが協力してくれるんで、チャンスだなと思ってるんです。もちろん感謝しつつですけど、一方で「ここでつかまないとやべーぞ」っていうのが本音としてはありますね。ここで俺たちがステップアップしないと、彼らと一緒に飲めなくなっちゃうし(笑)。
──WEZさんはソロ活動も活発ですが、グループとの差別化についてはどう考えていますか?
WEZ ソロは自由にやってるだけだけど、4人そろうとまた違う力が生まれる。グループだと世代とか人種を越えてアピールできるんで、届けられる部分がもっと広くなる。そのよさを考えて、これからも両方やっていきたいですね。
──I.Oさんは、YALLA FAMILYの今後の音楽性についてどう考えていますか?
I.O 古きよきものを大切にしつつ、現在進行形でありたいなと思ってます。特に日本だと、歴史が次の世代に受け継がれていかないような感覚があって。例えば「若い頃はクラブに行ってたけど……」とか「ヒップホップは若い頃に聴いてたけど……」とか。そうじゃなくて、お父さんになっても聴いてて、その息子がそれをまた聴いてて、みたいなのが理想なんですね。だからそういう2世代、3世代にわたって聴いてもらえる曲、世代と人種を越えて聴いてもらえる曲をYALLAで作っていきたいなと思います。
“みんなが名前を知ってる楽しいグループ”に
──最後に、PESさんはYALLA FAMILYに今後、どんなグループになってもらいたいですか?
PES 実力はもう十二分にあると思うんで、あとは名前を知ってもらう努力を、僕を含めて周りの人間もやっていかなきゃならないなと思ってます。本当にいいグループだから、とにかくみんなに知ってもらいたいんですよね。だから“みんなが名前を知ってる楽しいグループ”になってほしいです。
──どんなステージに立つYALLA FAMILYを観てみたいですか?
PES 音楽が強いグループだから、Zeppとかそういう大きめのライブハウスで観たいですね。あと画的にはやっぱ武道館に立ってるのを観たいかなあ。武道館に立ってるの観たら、俺泣いちゃうかもしれないです。
50 よし! 立てることになったら絶対呼んでやる!
PES 泣いてるの見られるの嫌なんで、会場に行かないという選択もあるけどね(笑)。
収録曲
- Intro ~日の出~
- FEEL
- かぞくの唄 ~Family Anthem~
- PISCO
- Want Me?
- 胸騒ぎアンセム feat. PES(RIP SLYME)
- 今日はどこのParty?(Haku the Anubiz)
- どうする? ~in the greed city~
- Summertime(WEZ)
- Chill Out
- YELLOW ~つぼみたちの応援歌~ feat. JiLL
- Y.O.U ~you're one of us~
- The Only One(50caliber)
- 夕焼け
- Outro ~帰り道~
[Bonus Track] FEEL(English Version)
- RIP SLYME ライブBlu-ray / DVD「RIP SLYME Tour of Ten FINAL at BUDOKAN」/ 2016年7月13日発売 / Warner Music Japan
- 「RIP SLYME Tour of Ten FINAL at BUDOKAN」
- Blu-ray / 6264円 / WPXL-90128
- DVD / 5184円 / WPBL-90392~3
収録内容
Tour of Ten(@日本武道館 2016.01.10)
- Powers of Ten
- JUMP with chay
- POPCORN NANCY
- 楽園ベイベー(DJ Fumiya Remix)
- SCAR
- KINGDOM
- メトロポリス
- だいたいQuantize
- Rock it!
- TOKYO STOMP
- STEPPER'S DELIGHT
- AH! YEAH!
- 気持ちいい for Men
- 黄昏サラウンド
- One
- 青空
- いつまでも
- Happy Hour
- ピース
- SLY
- Vibeman feat. 在日ファンク
- JOINT
- 時のひとひら
<アンコール>
- Super Shooter
- 熱帯夜
- この道を行こう
FESTIVAL LIVE FILMS
- 「運命共同体」from ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2001(08.05)
- 「GALAXY」from FM802 MEET THE WORLD BEAT 2004(07.22)
- 「雑念エンタテインメント~Hot chocolate~BLUE BE-BOP~SPEED KING」from COUNTDOWN JAPAN 08/09(12.31)
- 「ジャングルフィーバー」from 京都音楽博覧会 2013(09.22)
ORIGINAL SHORT MOVIE
- SHOCK THE RADIO(TV)
MUSIC VIDEOS
- この道を行こう
- ピース
- POPCORN NANCY
- JUMP with chay
- Special Mix Movie of Making 3 Music Videos
Tour Of Tenオーディオコメンタリー
YALLA FAMILY(ヤラファミリー)
50caliber(MC)、Haku the Anubiz(MC)、WEZ(MC)、DJ I.O(DJ)からなる、音楽とファッションを融合させたエンタテインメントグループ。アメリカ・ロサンゼルスで同じ音楽性、似ている感性、異なる個性を持った4人が出会い、2007年にグループを結成した。結成と同時に共同生活を始め、トーランス、ハリウッド、ダウンタウンを拠点に音楽活動を行う。2008年にはA.I.のLA凱旋公演のオープニングアクトに抜擢されたほか、アメリカのプロデューサー・フィンガズのコンピレーションアルバム「NEXUS」のメインアーティストに起用された。その後、個々の可能性を高めるためソロ活動に徹し、2011年1月に日本で活動を再開させる。東京・DIX AZABUを本拠地とし、レギュラーイベント「YALLA PARTY」をオーガナイズしながら、日本各地でライブ活動を展開。2014年1月に1stフルアルバム「BEGINNING」を、同年11月に2ndアルバム「DREAMER」を発表した。2016年8月に3rdアルバム「FEEL」をリリースした。
RIP SLYME(リップスライム)
RYO-Z、ILMARI、PES、SU、DJ FUMIYAからなる4MC&1DJヒップホップユニット。1994年に結成され、2001年3月にシングル「STEPPER'S DELIGHT」でメジャーデビュー。その後2ndアルバム「TOKYO CLASSIC」がミリオンヒットを記録する。さらに国内のヒップホップユニットとして初めての日本武道館ワンマンライブを行い、日本にヒップホップ文化を広く浸透させた。2010年には、メジャーデビュー10年目を記念しベストアルバム「GOOD TIMES」とカップリングベストアルバム「BAD TIMES」を発表。2015年9月には通算10枚目のオリジナルアルバム「10」をリリースした。2016年3月には映画「珍遊記」のオープニングテーマとエンディングテーマを収録したシングル「Take It Easy」をリリースするなど、絶えず精力的に活動している。