うちのポン・ジュノや

──3曲目の「2月29日」はレミオロメンの「3月9日」的な曲を作りたかったんでしょうか。

こやま　やっぱり音楽をやっている身として、1年に1回こうやって注目される楽曲って強いなと思うんですよ。「3月9日」もそうやし、マライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」とか絶対そのシーズンに流してもらえるわけじゃないですか。そんな中で「2月29日」って曲を作ったらかわいいなと思って作りました。

しばた　毎年じゃないってところが謙虚でかわいい。欲を出さないことによって、逆に2月28日と3月1日にも流してもらえる可能性もありそうやし。

こやま　そういうところがやらしいんよな。ヤバイTシャツ屋さんって。

──この曲、聴き慣れない歌声が入っているんですけど、もりもとさんですよね？

もりもと　気付いてしまいましたか……。

──「USB」とかで叫びながら歌ってはいますけど、こうやっていい感じのメロディを歌うのは初めてですよね。想像以上にうまくて最初はもりもとさんだと思えなくて（笑）。

こやま　CDのクレジットミスったなあ。もりもとをドラム、コーラスにしてたわ。ドラム、ボーカルにすればよかった。

──歌ってみていかがでしたか？

もりもと　最初はけっこうイヤでしたね。ヤバTを結成したときに「ネコ飼いたい」のサビを任されたしばたが「本当は私歌いたくない」って言ってたんですけど、そのときのしばたと同じ気分を味わったというか。1回目は「誰やねん」って感じだと思うんですけど、2回目聴くとしっくり来ると思うんです。そういうふうに歌ったので。

こやま　1回目と2回目以降で聴こえ方が変わるように意識したんや。1回目と2回目で印象が違うなんて「パラサイト」と一緒やん。もりもと、うちのポン・ジュノや。ポン・ジュノ（Dr, Vo）やったなあ。

もりもと　地上波で放送された直後に「パラサイト」の話すんのやめて（笑）。

こやま　ちゃんと映画館で観てますー。

もりもと　僕も映画館で観ましたよ！ ……話が脱線しましたけど、「2月29日」は、最初はイヤだったけど最終的には楽しく歌えました。

──もりもとさんのボーカルディレクションはこやまさんですか？

もりもと　こやまさんは僕の歌に興味ないんですよ。「げんきもりもり！モーリーファンタジー」という曲で僕のセリフのパートがあるんですけど、そのときもほぼ聴いてないのにOK出してましたし。

こやま　いや、確認はしたで？（笑） 録り終わるまで時間かかるやろなと思ってほかのことをしてただけで。

もりもと　もう（笑）。そのくせ「もう1回歌わせてください」って言うと、笑うんですよ。僕としては初めて歌声が残るんだからちゃんとしたいと思ってやってるのに（笑）。

──しばたさんは3人で歌ってみてどうでしたか？

しばた　うちはやっぱり3人の声のトーンが違うORANGE RANGEスタイルでやらせてもらってるんで、それがうまくいってよかったなって。もりもとってORANGE RANGEで言うと一番声が低いRYOさんポジションだと思うんですけど、普段の声がすごく低いわけじゃないのに歌うと低いところがいい。あと見た目に反して丸い声。それがかわいい。

こやま　マルイってOIOIって書くじゃないですか？ あれでなんでマルイって読むんですかね？

もりもと　普通に読んだらオイオイですよね。

しばた　がんばってもマルイマルイやねん。あとさ、伊右衛門もどの音がどの漢字なのかわからんくない？

こやま　あー、伊右衛門は、本当は「いうえもん」って読むらしいねん。学校の先生が言ってた。

しばた　へー。

──戻ってきてください（笑）。

しばた　すみません（笑）。「2月29日」のサビがこうなったのがレコーディング前ギリギリだったんですよ。うちは元のほうがしっくりきちゃってて未だにそっちで歌っちゃいます。

こやま　それがライブアレンジになるかもしれない（笑）。

去年を超える面白いことをやりたい

こやま　もうシングルも10枚目かー。10枚出して全部こんなにアップテンポなことあります？ 普通どっかで歌モノみたいなの入りますよね。全部BPMが速すぎ。

しばた　「2月29日」とか「創英角ポップ体」とかががんばってくれてるから。

こやま　それをリード曲にできひんのが僕らの弱いところです。

──あいみょんさんは昨年リリースした10枚目のシングル「裸の心」が初のバラードシングルで、挑戦だったと話していましたよ。

もりもと　あの曲、大好きや。

こやま　もりもとはずっと歌ってるもんな。

もりもと　サウンドチェックは必ずこの曲ですね。

こやま　ははは（笑）。しかしデビューした頃はこんなにたくさんCD出すとは思わんかったなあ。

しばた　1stフルアルバムで終わると思ってた（笑）。

もりもと　終わると思ってたねー。

こやま　僕らシングル7枚（3枚はメジャーデビュー以前にリリースした自主制作盤）とアルバム4枚で合計11枚出してるんですよ。それに去年と今年はコロナ禍なのに、アルバムとシングル出してんねんで？

もりもと　やっぱ世間的にもリリースは減ってますよね。僕らはどんな状況でも変わらないなと去年の活動を通して思いました。

こやま　まあでもな、フェスがないのが痛いわ。フェスがないとホンマにうっすらヤバTを知っている人にヤバTの音楽が届かないんですよ。

しばた　「泡 Our Music」とかもっと広まってよかったと思ってるし。

こやま　せやなあ。でも最近はテレビでけっこう流してくれはってて。お笑い第7世代が出てる番組でよく流れるんですよ。

しばた　同じ世代って感じで流してくれてると思うんですけどうれしいですよね。

こやま　あとはこの前「ゴッドタン」でハライチの岩井さんが「あつまれ！パーティーピーポー」をオマージュしてくれててうれしかった！ LMFAOのほうかと思ったらサビ裏でピロピロ鳴ってるギターも入ってたし、楽曲の構成も「パリピ」と同じで。

──去年はフェスで直接新しいファンをつかむことはできなかったかもしれないですけど、そうやってお茶の間でヤバTを聴く機会が増えた1年だったなと思います。今年はどんな活動になりそうでしょうか？

もりもと　去年はアルバムとシングルを出して、ツアーもやって、動き続けることはできたんですけど、今年はその内容を超えていきたいですよね。

こやま　うん。楽しんでいろいろできたらいいなと思います。

しばた　健康でね。

こやま　いい感じですよ、今のヤバイTシャツ屋さん。

しばた　いっつもそれ言ってるよな（笑）。まあでも去年の活動を通してより仲よくなった気がするよな。

こやま　そう、僕らは仲がいいんで。特にもりもとが僕らのことを好きなんで（笑）。

しばた　もりもとがうちらのこと好きでいたらやりやすいですね。

もりもと　ヤバTの運命は僕が握っているということですか？

しばた　そう！

もりもと　がんばります（笑）。でも去年は無料配信ライブもやったし、サインもいっぱい書いたし、新しいことをいっぱいやったじゃないですか。今年はどうしたらいいんでしょうね？

こやま　なんか「ヤバTオモロいことやってるな」みたいなことはしたいよな、確かに。

しばた　またアホなことしてるなって（笑）。うちらは「4万枚サイン書きました！」とかいつも数の暴力やから今年もそれでいく？

もりもと　今年はZepp Tokyo 5daysがありますからね。

こやま　そしたら倍返しZepp Tokyo 10daysやる？ さすがにエグない？ 7daysぐらいにしとく？

──それでも1週間貸し切り（笑）。今年のヤバTにも期待しておりますので、面白いことをたくさん仕掛けてください。

こやま　こちらこそナタリーさんにそう思っています。

しばた　期待しています。