京都へのコンプレックス歌った“土地絡みソング”
──まさに小ボケにマジレスをし続ける「君はクプアス」を挟んで、5曲目は「どすえ~おこしやす京都~」です。この曲は「どすえ☆ボンバー」というキラーフレーズとも相まって、サビでのカタルシスがすごいですね。
こやま 僕、「どすえ」がアルバムの中で一番好きですね。リード曲にしたいぐらい。「どすえ☆ボンバー」という言葉がひらめいて、それを生かせる曲を作ろうと思って作った曲なんですよ。世間が感じている京都の“いけず感”とか京都への自分のコンプレックスとかをひとまとめにして歌いました。
──ライブでも「京都出身とはいえ宇治やけど……」と話していましたよね。京都市内と市外だと、京都市内のほうが上、みたいな感覚があるんですか?
こやま めちゃあるんですよ。京都の人がいう“京都”は京都市内のことを指していて、「宇治は京都やない」ってみんな言うんですね。「洛中と洛外じゃ文化が違う」って昔から言われてて、京都市内を指す洛中とそれ以外の京都府内の場所を指す洛外は別物として扱われてるんですよ。
──「ありえない被害妄想が暴走の末生まれて来たどすえ☆ボンバー」という歌詞もありますけど、案外被害妄想でもないんですね。この曲には琴の音色が使われていますが、これはしばたさんが弾いているんですか?
しばた ついに解禁しました。
──生い立ちを語ってもらったインタビューで、初めて触れた弦楽器が琴だとお話していましたよね(参照:「Coming Next Artists」第19回 ヤバイTシャツ屋さん|インタビュアー:菅野結以「ヤバTのガチの生い立ち、今のスタイルにたどり着くまで」)。琴はよく弾いてたんですか?
しばた 実家に帰ったら1曲弾くぐらいでしたね。実家にいると、お母さんがお琴を弾いていて、お父さんが三味線を弾いていて、いろんなところから楽器の音がするんです。それを聴いてると自分もやりたくなって、実家にある琴を弾く。そんな感じでしたね。
──ヤバTの曲でまさかしばたさんの琴の演奏を聴く日が来るとは思いませんでした。
しばた ですよね(笑)。エンジニアさんと「お琴の音がバンドサウンドに入っていたら面白いよね」って前から話していたんですよ。そんなときにこの曲ができて、入れたら面白そうだったので提案したら採用されました。
もりもと 今までヤバTは「喜志駅周辺なんもない」とか「天王寺に住んでる女の子」とか“土地絡みソング”をいろいろ出してきたんですけど、「どすえ」はひさびさの“土地絡みソング”なんです。場所は京都に変わりましたけど、初心に帰った感じでよかったです。
──「どす・え」という囁くようなコーラスもですけど、この曲はもりもとさんもけっこう歌ってますよね。
もりもと そんなに歌が得意じゃないので、歌うパートがどんどん増えていて危機感を感じています。
こやま もりもとに歌ってほしいというより、みんなで歌いたいんですよね。だからもりもとにも歌ってもらってる感じです。
トランペットを手に蘇る暗黒時代の記憶
──6曲目「大人の事情」は、実際6曲目に入る予定だった曲が“大人の事情”で入れられなくなったことを歌った弾き語り楽曲ですが、この曲は……。
こやま リアルに1曲入れられなかったんですよ。許可が下りなくて。
──ヤバTの曲に登場する固有名詞はすべて関係各所に許可を取ってるんですよね。
こやま そうなんです。「各所に電話♪」というコーラスがまさにそれで(笑)。でもまあ悪いことを歌ってるわけじゃないので、許可さえ取れれば今後入れられる可能性はあります。
──収録できない曲をカットするのではなく、その事実を歌にするバンドはヤバTぐらいなんじゃないでしょうか。
もりもと その場でパパッと弾き語りでこやまさんが作って、代わりに弾き語りで入れましょうよって入れたんです。
──この曲ではもりもとさんがトランペットを吹いていますよね。もりもとさんも以前のインタビューで吹奏楽部でトランペットを担当していたと話していました。
もりもと そうなんです。吹奏楽部にいた3年間は人生の暗黒時代なので、トランペットを持つだけであの頃のいろんなことを思い出すんですよ。そんなにトランペットは好きじゃなかったんですよね、たぶん。
しばた なんてこと言うん?
こやま トランペット協会に消されるぞ? あるのか知らんけど。
もりもと 好きじゃないというか、得意じゃなかったんですよね。トランペットって本当に難しい楽器なんですよ。トランペットを担当したことで、音楽のことをたくさん学べたので後悔はしてないんですけど。中学を卒業してからは全然吹いていなかったので、なかなかうまくいかなくて、かなり試行錯誤しました。その結果ちょっと下手くそで味のある音が録れてよかったなと。これからはドラムの個人練習をするときにスタジオに持っていって練習しなくちゃなと思っています。
こやま だって、もりもとが「トランペット吹ける」って言うから。
もりもと 音が出る程度の“吹ける”やったんですけど。まさかのソロまで!
──ライブでのお披露目も楽しみにしています。
もりもと ライブでできるのかな。
こやま さすがに吹くでしょー!
しばた みんなそれ観に来るんやで。
もりもと だって、寒ければ寒いほどトランペットって音が出ないんですよ? ウォーミングアップを直前にやらないと音がパーンと出ないから難しいかもなあ。
こやま 1曲目にしたらええんちゃう?
しばた 「ヤバイTシャツ屋さんのライブがはっじまっるよー」からの? アンコール一発目のほうがええんちゃう?
もりもと 本編が終わって息が上がっている中、ウォーミングアップするのはキツいかも(笑)。例えばラストが「ヤバみ」だったとして……無理や。
しばた ちょっと考えような。
ソシャゲへの課金は全然間違ってない
──7曲目の「リセットマラソン」はソーシャルゲームに課金する人のことを歌った曲ですが、これはこやまさんの実体験なんですか?
こやま さすがに100万はしてないですけど、みんなが引くぐらいは課金してます。
しばた ずっと言ってたもんな。「データに課金するの悲しくなる」って。
こやま でも今はモノじゃなくて経験にお金を払う時代なので、全然間違ってはないと思います。ゲームを楽しませてもらってるんでね、やっぱり。ちゃんと払わんと。
──ヘヴィな曲調で、この曲がアルバムの折り返し地点にあることでアルバム全体の勢いが増したように感じました。
こやま もともと違う曲が入る予定やったんですけど、その曲だとアルバムがあんまり締まらへんなって感じだったんですよ。どうしても激しい曲を入れたくて、無理やり制作の日を1日追加してもらって最後に録ったんです。そう感じてもらえたならよかったです。
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こやま&もりもと完敗のしばた節炸裂ナンバー
- ヤバイTシャツ屋さん
「Tank-top Festival in JAPAN」 - 2018年12月19日発売
UNIVERSAL SIGMA / BADASS -
初回限定盤 [CD+DVD]
3866円 / UMCK-9980 -
通常盤 [CD]
2786円 / UMCK-1613
- CD収録曲
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- Tank-top Festival 2019
- KOKYAKU満足度1位
- 小ボケにマジレスするボーイ&ガール
- 君はクプアス
- どすえ~おこしやす京都~
- 大人の事情
- リセットマラソン
- 鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック
- 秋
- かかとローラー
- ざつにどうぶつしょうかい
- かわE
- ゆとりロック
- 初回限定盤DVD収録内容
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2018年1月9日@東京・豊洲PIT「uP!!!NEXTヤバイTシャツ屋さん~大人が色々頑張ってくれたおかげで無料で出来るライブ~」
- -おもしろ大反省会①-
- Tank-top in your heart
- Tank-top of the world
- とりあえず噛む
- -おもしろ大反省会②-
- DQNの車のミラーのところによくぶら下がってる大麻の形したやつ
- 寝んでもいける
- 天王寺に住んでる女の子
- 流行りのバンドのボーカルの男みんな声高い
- -おもしろ大反省会③-
- 無線LANばり便利
- あつまれ!パーティーピーポー
- -おもしろ大反省会④-
- ヤバみ
- ハッピーウェディング前ソング
- -おもしろ大反省会⑤-
- ネコ飼いたい
- ヤバイTシャツ屋さん(ヤバイティーシャツヤサン)
- こやまたくや(G, Vo)、しばたありぼぼ(B, Vo)、もりもりもと(Dr, Cho)からなる男女ツインボーカルのスリーピースバンド。2013年10月に大阪芸術大学に通っていた3人により結成された。2015年に本格的に活動を開始。王道のメロコアサウンドと秀逸なリリックがロックファンのハートをつかみ、11月にフルアルバム「We love Tank-top」でユニバーサルミュージック内のレーベルUNIVERSAL SIGMAよりメジャーデビュー。2018年1月に発表した2ndフルアルバム「Galaxy of the Tank-top」はiTunes週間アルバムランキングで1位を獲得。5月には「学校法人 日本教育財団 モード学園(東京・大阪・名古屋)2018年度TVCM」のタイアップソングとして書き下ろした「鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック」を収録したシングル「げんきいっぱい」、9月にはシングル「とってもうれしいたけ」をリリースした。12月には、中島健人(Sexy Zone)と中条あやみのダブル主演映画「ニセコイ」の主題歌「かわE」を含む3rdフルアルバム「Tank-top Festival in JAPAN」を発売。2019年は1月より全国ツアー「ヤバイTシャツ屋さん "Tank-top Festival in JAPAN" TOUR 2019」を開催し、追加公演を東名阪のZeppと東京・サンリオピューロランドにて行う。
2018年12月20日更新