もりもとボーカルデビューの原点回帰ナンバー

──6曲目の「Universal Serial Bus」は“USB挿さらない問題”について歌うファストチューンですね。

こやま　これ一番好き！

しばた　これいいよなあ。

もりもと　めちゃくちゃいい。

──最初に聴いたときに英語の歌詞だと思っていて、Bメロの歌詞を見たら拡張子が羅列されていたという（笑）。

こやま　Bメロの歌詞が拡張子って発明やと思うんですよ。USBのタイアップこーへんかな？

しばた　なかなかないで。USB（メモリ）はCMせんでも売れるから。この曲は初期のヤバTっぽい感じでサウンド的には原点回帰なのかなと思います。コードも簡単やし。

──そしてもりもとさんもボーカルとして参加しているところもポイントだなと思いました。

もりもと　初めて歌ったんですよ。そしたら意外とこやまさんが褒めてくれて。

こやま　うん、上手上手！

もりもと　まあこんな感じであんまり興味はなさそうなんですけど（笑）。

しばた　いや、いいと思う。もりもとは歌っていくべきやと思う。

もりもと　僕は洋楽を聴いて育ったんで、この感じは大好きですね。そしてこの曲で初めて歌うパートをもらってホンマにうれしかったです。みんなでシンガロングできるようになっているし、ライブでも盛り上がりそう。

しばた　潔いショートチューンなところもいいよな。1分半くらい。

──いや、1分11秒です。

こやま　全然1分半ないやん（笑）。

コールが独り歩きしている「ハウ前ソ」、残念過ぎる「ドローン買ったのに」

──そして7曲目に「ハッピーウェディング前ソング」が収録されています。SNSを見ていて思ったんですが、この曲ってリリースされてからすごく反響あったんじゃないんですか？

こやま　そうなんですよ。MVの再生回数もすごく多いし、いい感じに広まっていってる実感があります。

もりもと　今までで一番周りからのリアクションが大きい。

しばた　そうそう。ヤバTを知らんかった人がこれで知ったってよく聞く。あと、私カラオケで自分が生まれた年代の人が歌う曲ランキングから選んで歌うことが多いんです。私は1993年生まれなんでその年代の人がよく歌うランキングを見たら「ハッピーウェディング前ソング」があったんですよ！ それがすごくうれしくて！

こやま　歌われてんのや。歌った？

しばた　歌った。歌うのしんどかった（笑）。

こやま　なんかこの曲、局地的な人気もあるみたいで「推しのカップルをひやかすときに歌いたい」ってTwitterで歌詞が拡散されていたり、コールの部分だけが独り歩きしていて、想定していた以上にいろんな人に届いたっぽいんです。結婚式で流している人もいるらしいんですけど、こんなん流すの勇気いりますよね。

しばた　親が心配するわ（笑）。

──結婚式の会場で「きっと2年以内に別れるけど…」っていうフレーズが耳に飛び込んでくることを想像するとゾッとします。その次に入っているのはフォーク路線の「ドローン買ったのに」。この曲は完全にアコースティックサウンドで。

しばた　もりもとがパーカッションに挑戦してな。

もりもと　そうそう。タンバリン、ウインドチャイム、シェイカーを鳴らしながらバスドラを踏むという。Mr. Bigの「To Be With You」をイメージして、バスドラもチューニングを変えて優しく鳴らしています。ミックスもカチッとしてないナチュラルな仕上がりで、そこも気に入っていて。まさに目の前でこやまさんが弾き語りしてるみたいな感覚で聴ける1曲です。

こやま　まあアルバムの前半がうるさすぎたんで、ここで一度クールダウンしてもらえたらなと。僕は最後のコーラスが好きなんだよな。

しばた　「あーあー」って残念感がすごすぎるもんな。

「ベストジーニスト賞」はプログレ

──9曲目の「ベストジーニスト賞」はしばたさんが作詞作曲した1曲です。冒頭の「ジーパン音頭だ！ジーパン音頭だ！ジーパン音頭だ ！パンパンパン！」という歌詞が印象的でした。

しばた　なんか歌への導入が見つからなかったんで、仮で「ジーパン音頭だ！」って入れてたんです。レコーディング本番のときにいらんやろと思って省いたら、こやまさんが「絶対いるから！」って。

こやま　あのコールは絶対必要なのに、しばたは最初削ろうとしていて僕が必死で止めたんですよ。この曲、アルバムを聴いてるお客さんは付いてこれるけど、そうじゃないお客さんは付いてこれへんと思う（笑）。もりもとが初めてこの曲聴いたとき「プログレやん」って笑ってたよな。

もりもと　最初に聴かせてもらったのがベースと鼻歌だけのデモやったから（笑）。ベース音と歌だけで展開しまくってて唖然としました。

──しばたさんは、どうやって曲を作るんですか？

しばた　私はコードとかがあんまりわからないので、単音のメロディのイメージしかなくてそれを歌にして、そこにベースをはめて曲を作っていきます。

──もともとこのテンポだったんですか？

しばた　はい。テンポとメロディはいっちょ前に決まってました。

こやま　デモ聴いたときにホンマにおかしいのを作ってきたなと思いましたね（笑）。僕の歌詞が最近ちゃんと意味があるものになってきているぶん、そこを補えた気がしてすごくよかったです。後半は真面目な曲が続くので、その前にアホっぽい曲を置けてよかった。