「X-NEOKET(クロスネオケット)」は、ピクシブが運営するクリエイターズマーケット「BOOTH」主催のオンライン即売会。クリエイターとファンが集まってコミュニケーションを楽しむ即売会の醍醐味をバーチャル空間で実現したイベントとして、2021年より「NEOKET」の名称で過去5回開催されている。6回目の開催となる今回は「X-NEOKET」に名称を変更し、3Dモデルカテゴリにフォーカスしたイベントへとアップデート。7月5~15日の11日間にわたり3Dモデルを対象とした即売会として行われる。
この特集では、無類のアニメ好きながらバーチャルの世界にはまだ深く足を踏み入れたことがないという私立恵比寿中学の真山りかがピクシブを訪問。ヘッドマウントディスプレイを使用し、「X-NEOKET」の世界を初体験した。
取材・文 / 左藤豊撮影 / はぎひさこ
X-NEOKET(クロスネオケット)
開催期間
2024年7月5日(金)~15日(月・祝)
バーチャル空間で行われる、BOOTH主催の3Dオンリー即売会。クリエイターとファンが同じ空間に集まりコミュニケーションを楽しむ即売会の醍醐味を、自宅で体験できる。BOOTHで3Dアイテムを頒布しているユーザーであれば誰でも無料で出店が可能。参加にあたってはスマートフォンやヘッドマウントディスプレイ、Windows PCなどでxambrアプリのダウンロードが必要。詳しくはイベントホームページで確認を。
「X-NEOKET」にはスマートフォンやヘッドマウントディスプレイ、Windows PCから参加することが可能。中でも、VRデバイスを使用することでバーチャル空間をよりリアルに体感できる。ヘッドマウントディスプレイを装着した真山が「X-NEOKET」にログインすると、目の前には地下鉄の駅をモチーフにした空間が現れる。真山は壁面に過去の「NEOKET」のキービジュアルが飾られた駅構内を歩きながら、リアリティあふれる世界を目の当たりにして早くも「すごい!」と興奮気味。この駅を起点に、即売会が行われる各サークルエリアへ移動することが可能で、電車付近にあるワープパネルから希望するエリアを選択すれば、瞬時にワープできる仕組みだ。
「X-NEOKET」には6つのサークルエリアが存在し、1エリアにつき50サークルの出展ブースが並ぶ。それぞれのブースには3Dモデル(アバター)や商品が展示されており、参加者はアバターを“試着”したり、頒布物を購入したりできる。試着もボタンを押すだけで、難しい操作は不要だ。真山はこの日の体験用に用意されたブースを訪れ、まずはギャル風のアバターを試着。ブース内に設置された鏡と向き合い、自分のアバター姿と対面すると、一気にテンションが上昇した。両手にコントローラーを持ってポーズを取るとそのままアバターにも動きが反映されるため、真山は手を大きく振って可動域を確かめたり、私立恵比寿中学の楽曲「ハイタテキ!」のダンスを踊ったりしながらアバターの操作性を楽しんでいた。
サークルエリアは「近未来×アンダーグラウンドマーケット」をテーマにした世界観。提灯や屋台といったオブジェクトまで細かく作り込まれている。アバターを着用してこのワールドを歩き回るだけでも「没入感がすごい。冒険しているみたいで楽しいです。走り出したくなります!」と真山は上機嫌だったが、即売会といえばクリエイターとファンがコミュニケーションを取れるのも醍醐味。「X-NEOKET」ではテキストチャットやボイスチャットを使用して参加者同士で会話をすることができるほか、手を振るなどリアクションを表すスタンプも使用可能だ。さらにはハートを放出するエフェクトも用意されており、これには真山も「魔法まで出せるんだ、これはアガります!」と驚いた様子だった。
アバターを着替える操作も簡単だ。ギャル系から今度は清楚系女子のアバターに装いを一変させ、着心地を確かめる真山。VRの世界でもリアルクローズ路線がブームになっていると聞いて、「アニメっぽいアバターだけじゃなく、現実世界にありそうなお洋服を着たアバターもあって面白い。何にでもなれますね。メタバースってすごい!」とファッションとしての3Dアバターにも興味を示していた。
この日は真山以外の参加ユーザーがいない状態での体験だったが、1ワールドにつき最大500人が同時接続でき、イベント全体では数千人が参加できる。イベント開催期間はコミックマーケットなどのリアル即売会のようなにぎわいが生まれ、参加者同士の会話や交流が至るところで繰り広げられるだろう。体験を終えた真山は「自宅にいながらたくさんの人と交流できるのは魅力的だと感じました。私も実際に参加してコミュニケーションを取ってみたいです!」と、すっかりメタバースの魅力の虜になっていた。
ここまでテンションが上がるものなのか!
──真山さんには今回「X-NEOKET」のバーチャル空間を体験していただきました。まずは率直な感想を聞かせてください。
VRの世界は過去にも体験したことがあるんですけど、そのときよりもリアリティが増していて、さらに現実に近付いたように感じました。ヘッドマウントディスプレイを使うと、どっちが現実でどっちがバーチャルかわからなくなるくらい没入感がありましたね。最初の地下鉄駅のところからグラフィックの作り込みが細かくて、「バーチャルの世界に来たぞ!」という高揚感がすごかったです。そしてサークルエリアにはいろんなブースが並んでいて。私は実際にコミックマーケットや同人誌即売会にも行ったことがあるんですけど、それと同じような世界がバーチャル空間に再現されていてすごいなと思いました。
──3Dアバターを試着して操作してみて、いかがでしたか?
まず試着の操作がすごく簡単で驚きました! そして、いろんな自分になれることに魅力を感じました。性別とか関係なく、なりたい自分になって空間を練り歩けるのはとても楽しいだろうなって。今回はギャルと清楚な女の子のアバターを試着しましたが、男の子にもなってみたいです。実世界ではなれない自分になってみたい! 私自身は3Dアバターについてそこまで詳しくないのですが、ずっと気にはなっていたんですよ。身近にハマっている男性スタッフさんがいて、その方は女子アバターを使ってネイルとかを楽しんでいます。だから私も興味はすごくありました。今日は「ここまでテンションが上がるものなのか!」と思いましたし、私もいろんなコーディネートを楽しんでみたいです。
──実際にアバターを体験して、その面白さを実感したと。
はい。ちなみに私はアニメが好きすぎるがゆえ、逆にその世界に入りたいと思ったことがないんです。「私がアニメの世界に入るなんて、おこがましい!」と思ってしまって。でもいざバーチャルの世界に入って違う自分になってみるとやっぱり楽しいですね(笑)。
──今回は体験版として1ブースのみで3Dアバターを試着していただきましたが、実際のイベント開催期間は300サークルのブースが並ぶことになります。
1つのブースでアバターを着替えるだけでも楽しかったのに、本番はさらに300倍楽しめるということですね。しかも、この空間でほかの参加者さんと会話もできるんですよね?
──はい。イベント期間は出展者やほかの参加者の姿も映し出され、ボイスチャットなどでコミュニケーションを取ることが可能です。
体験してみたいなあ。違う自分になっていろんな方とお話したり交流したりしてみたい。スタンプや魔法(エフェクト)を出してコミュニケーションも取れるし、アバターなら顔バレもしないので私が普通に参加しても素性を知られずに楽しめますよね(笑)。もしかして、こういう場で出会って結婚する人もいたりするのかな? 「そのアバターいいね」みたいな会話から仲よくなったりして。
──実際にメタバースで出会って結婚される方も世の中にはいらっしゃるみたいです。アバター同士でいろんな世界をデートすることもできますし。
そんなすごい時代がもう来てるんだ! 確かに、メタバースの世界で出会っている時点で趣味や価値観の相性は絶対に合いますよね。
想像すればするほど夢が膨らむバーチャル世界
──真山さんは3Dアバターを使ってやってみたいことはありますか?
魔法(エフェクト)が出せると知ったので、魔法少女になりたいです(笑)。あと、男子高校生になって野球をする、みたいなこともできるのかな? 実世界では運動音痴だしケガをするのが怖いからやらないけど、バーチャルならその心配もないのでスポーツをやってみたいですね。あと空に浮かんだり、現実世界ではできないことを楽しんでみたいです。
──3Dアバターやメタバースはアイドル活動にも取り入れられそうな気がしますが、真山さんはどう感じますか?
私、実はずっと「VTuberになりたい」って言っているんです。私立恵比寿中学での自分とはまったく違う「にゃにゃにゃ~♪」みたいなことを言うキャラクターになってみたくて。さすがにそれはファンのみんなが困惑しちゃうかな?(笑) でも「X-NEOKET」の世界を体験して、アバターを着て鏡の前で踊ったのがすごく楽しかったんですよね。自分じゃない姿の自分が踊っているのが面白くて。
──3Dアバターでの「踊ってみた動画」を動画サイトに投稿されている方も数多くいます。
そうなんですね。検索してみます! ということは、メンバー全員アバターで踊ることも可能ですよね。アバターなら身長の高さとかも現実とは違って自由自在だし、面白そう。メンバーそれぞれがなりたい自分のアバターを着て踊る、みたいなミュージックビデオも撮ってみたいです。私立恵比寿中学では以前、「シュガーグレーズ」という楽曲でバーチャル空間をイメージしたMVを作っていただきました。ポップなコンピューターグラフィックの中でメンバー1人ひとりの顔がテレビに映っているという設定だったんですけど、私たちの顔自体はバーチャルではないリアルな顔の映像で。もしまたバーチャルな世界観のMVを作っていただける機会があれば、周りの空間が3Dになるだけじゃなく、私たち自身もアバターを着て歌ったり踊ったりしてみたいです。
──ほかには、メタバースでライブや音楽イベントを開催している事例もあります。
バーチャルライブ、面白そうですね。ダンスをしながら魔法や光線を出したい!
──ファン側がペンライトを振るようにしてエフェクトを出すこともできると思います。現実ではまずできない演出もメタバースなら可能で、現実世界とはまったく違う距離や角度からライブを楽しんでもらうこともできます。例えば、ステージが宙に浮いていたり。
えっ、宙に浮いたステージ!? なるほど、その発想はありませんでした! バーチャル空間なら想像もしなかったようなライブができそうですね。私立恵比寿中学には仮想空間が似合いそうな楽曲もいっぱいあるし、なんなら会場から作ってみたいです。アバターの衣装も、普段とはひと味違ったテイストでそろえたりしてみたい。サイバーパンクっぽいものも着てみたいな。
──アバターなら、物理法則を無視して羽を生やすこともできるのでは?
羽ですか!? 生やしたいです! メタバースや3Dアバターって、想像すればするほど夢が膨らんで楽しいですね。うちのスタッフさんが夢中になる理由もわかった気がします(笑)。
プロフィール
真山りか(マヤマリカ)
1996年12月16日生まれ、東京都出身。スターダストプロモーション・スタープラネットに所属する10人組アイドルグループ私立恵比寿中学(通称:えびちゅう)で活動している。2009年の結成時からのメンバーで、出席番号は3番。2012年5月にシングル「仮契約のシンデレラ」でメジャーデビュー。2025年3月20日に埼玉・さいたまスーパーアリーナでワンマンライブ「大学芸会」を行う。