ナタリー PowerPush - XA-VAT
1stアルバム「艶℃」に漂う奇天烈な混沌に迫る
リミックスを出すんだったらもっとも面白い感じにしたかった
──初回限定盤(CD+リミックスCD)についても聞かせてください。XA-VATの世界観とリミックスは強い親和性があると思いますが、これは石井さんのアイデアなんですか?
えーと、正直な話、リミックスとかってたいして好きじゃないんですよ。普段聴いたりもしないし。ただ、このバンドを始めたときに「リミックスとか出したいね」って言ってらっしゃる方がいまして。どうせだったら、中途半端っていうか自己満足みたいなもんじゃなくて、もっとも面白い感じにできないかな、と。だからメンツとかもかなり面白いと思うんですよね。
──そうですね。PLASTICSの中西俊夫さん、鈴木慶一さん、岡村靖幸さんっていう。
まさか慶一さんがリミックスをやるとは、っていう感じじゃないですか。やったことあるんですかね?
──うーん、ちょっと記憶にないですねえ。ちなみに慶一さんとは交流があるんですか?
昔もちょっと一緒にやったことがあるので、ちょこちょこと気にかけてもらっていて。そういう理由で頼んだわけではないんですけどね。慶一さんのリミックスってどういう感じになるのか想像がつかなかったし、面白いかなって。断られると思ってたんですけどね(笑)。
──ミュージシャンとして共感できる部分も?
そうですね。ムーンライダーズって、まったくジャンルが偏ってないというか、アルバムごとにいろんな実験を繰り返してるじゃないですか。ああいう感じがすごい好きなんですよね。いいとか悪いじゃなくて、「やっちゃおう!」みたいなところが。昔、ちょっと一緒にやったときもそういう感じだったんですよね。
──リミックスの仕上がりはどうですか?
面白いですよ。慶一さんもそうですけど、いわゆるリミキサーの人ってまったくいないから、アプローチがそれぞれ独特だし、面白いですよね。
「これをやったら、次はこれ」ってことは、あまり考えないほうがいい
──そしてCD+DVDの初回限定盤には、12月2日にLIQUIDROOM ebisuで行われたライブ映像が収録されます。このときの手応えはどうでした?
手応えとしてはですねえ、正直、なんて言うか、いまいち(笑)。もう少し、バカみたいなものにしたかったんですよね。最初のライブだし、シングル1枚しか出してないっていう状態の中で、いかに客をだまして盛り上げるかっていう……めちゃくちゃなバカ騒ぎみたいな空間を作りたかったんですけど、みんな冷静に観ちゃう感じで。100%、我々を観にきてるはずなのに、みんなジッと観てるんですよ。あれはすごい光景でした(笑)。
──始まったばかりのバンドですからね。ある程度、「どういうものなんだろう?」っていう体勢になっちゃうのもわかりますが。
その上を行きたかったんですよね。「曲なんか全然覚えてないし、何がなんだかわからなかったけど、とにかくめちゃくちゃカッコよかった」って感じのライブにしたくて。バンドのパワー、人間のパワーで、客の頭をおかしくさせたくて……。だけど、そんなに甘くはなかったですね。
──では、5月のライブではそのあたりも修正しつつ?
ええ、そうですね。そのへんはフツーです(笑)。
──でも、やっぱり石井さん自身の音楽観、美意識みたいなものはしっかり反映されてますよね。音源にしろ、ライブの在り方にしろ。
……そうなんですかねえ。そのへんの感覚はみんなも共有してるので、特に自分が、ってことでもないと思うんですけど。みんなも似たような感じというか、同じような考えなんですよ、きっと。だから、なんとなく集まったんでしょうけど。
──この先の展開はどうなりそうですか?
「これをやったら、次はこれ」ってことは、あまり考えないほうがいいかなって。アルバムまでの流れは考えてたんですけどね。とりあえずアルバムでは作ろうって。で、アルバム出したんだから、ライブもやろうやっていう。そのあとは、何をやるべきかっていうことを話したほうがいいと思いますね。そのままの延長でズルズルやるのは違うというか。それぞれがバンドをやってたりもするから、どうなるかはわからないんですけど、いつでも、どこでも見れるとか、そういうやり方じゃダメなんだろうなって。やっぱり、ウソやインチキもすげえ重要ですからね。
──意図的にギミックを使っていく?
そうですね。あとは客が妄想できるようにするとか。ちょっと種を蒔いたと思ったら、そのまま引っ込んじゃったり(笑)。いろいろありますよね、それは。戦略っていうんですか?(笑) ライブなんかだと見た目もインパクトもあるけど、そんなもん、すぐに慣れますからね。そこをどうするかってことだったり。
──確かにセンセーショナルに登場しても、半年も経てば“大勢のなかのひとつ”ですからね。
なるべくそうはなりたくないな、と。絶対そうなりたくない、って感じでもないんですけどね。“なるべく”なんで(笑)。
XA-VAT / VAT-DANCEビデオクリップ
DISC 1収録曲
- BLACK RUNWAY OF DEVILS
- ZEROTICA
- Mecca
- VAT-DANCE
- Mr.VITAL
- E-Z
- INVASION-NOVATION
- NUMANS-Roxette
- EPOC TRACE
- THE 艶℃ BABY
DVD収録曲(※初回限定盤[CD+DVD]のみ)
- BLACK RUNWAY OF DEVILS
- ZEROTICA
- MECCA
- VAT-DANCE
- E-Z
- EPOC TRACE
- NUMANS-ROXETTE
- VIDEO GAYTION
- XANADOoM
DISC 2収録曲(※初回限定盤[CD+CD]のみ)
- BLACK RUNWAY OF DEVILS Remixed by 68(from MONICA URANGLASS)
- ZEROTICA Remixed by Tycoon Tosh
- Mecca Remixed by momokomotion
- VAT-DANCE Remixed by MAXDEADROOM
- Mr.VITAL Remixed by ATOMIZER
- E-Z Remixed by THE SODOM PROJECT
- INVASION-NOVATION Remixed by Keiichi Suzuki
- NUMANS-ROXETTE by YASUYUKI OKAMURA
- EPOC TRACE Remixed by Minoru Kurihara(from NIRGILIS)
- THE 艶℃ BABY Remixed by Luis Miguelez(from GLAMOUR TO KILL)
XA-VAT(ざばっと)
Kozi(ex. MALICE MIZER)、SADIE PINK GALAXY(SPEECIES)、小間貴雄(ex. GOATBED)、石井秀仁(GOATBED、cali≠gari)によるバンド。'80sニューウェイブやヘヴィロック、ゴシックパンクなどの影響を感じさせるサウンドと、グラマラスなビジュアルの融合は、ほかに類を見ない個性的な存在感を放つ。2010年12月、シングル「XA-VAT」でデビュー。2011年3月に早くも1stフルアルバム「艶℃」をリリース。