作った頃よりも、今の気持ちに距離が近い
──「Mela!」の場面もそうですけど、映像作品としての完成度の中に、ライブならではの熱気が込められていますよね。
長屋 やっぱり、音源とライブってまったく違うものなんですよね。ライブは、その瞬間にしか出せない音が集まっている。みんなの気持ちのいい意味でのズレとか、音源との差とか、そういうものも相まってその日にしかできないものが生まれていく。それは配信という形でも届けられたんじゃないかと思います。
──セットリストの1曲目は、アルバムでも1曲目を飾る「SINGALONG」でしたが、4人の声の重なりからライブが始まるのがすごく感動的でした。
長屋 私も自分で歌っていてびっくりしました。絵本の中のキャラクターが飛び出してきたような立体感というか、いい意味での違和感がすごくあって。とにかく気持ちよかったです。
小林 あれはウルッときたよね。僕は1カ所、涙声になっている部分があると思います。
──アルバム「SINGALONG」の最後を飾る「冬の朝」もライブで演奏されましたが、あの曲は直前のMCも含めて印象的でした。上京をテーマに作られた曲ということですが、曲が持つ意味もコロナ禍で変わるものなのかなと。
長屋 そうですね。そもそも「冬の朝」は、私たちがまだ名古屋に住んでいて「上京はまだ先だろうね」なんて話をしていた頃に、なぜか上京のことを思って書いた曲でした。その後実際に上京したタイミングで配信リリースをしたので、私にとってより身近な曲になったんですけど、こういう状況の中で歌うことでまた違った角度から沁みる曲になったと思います。自分が昔書いた曲に助けられることはけっこうあるんですけど、「冬の朝」も曲を作った頃よりも、今の気持ちに距離が近いんですよね。どこか他人のこと歌っていたような感覚から徐々に自分の曲になってきたというか。
小林 簡単に実家にも帰ることができない今の状況と重ね合わせると、「冬の朝」の歌詞は本当に重いよね。
長屋 不思議だよね。でも作った頃よりも、今にマッチする曲ってやっぱりあるなと思う。
穴見 それが普遍性っていうことなのかもしれないね。
長屋が空を飛ぶかも
──この生配信ライブの模様は9月27日にWOWOWでも放送されますが、改めて見どころを挙げるとすると?
長屋 途中で写真を撮ってTwitterにアップしたり、生配信だったことを生かした演出も観てほしいと思います。あのとき、実際その場には一緒にいられなくても、リアルタイムでみんなの反応がわかると、みんなの顔が浮かぶものなんだなと実感しました。きっと、その喜びはお客さんも感じてくれたと思うんですよ。やっぱり同じものを共有することってうれしいことだから。
──ステージ上で、リアルタイムでSNSに上がっているコメントを読む場面もありましたもんね。あの演出も、生配信ならではでした。
穴見 バンドの枠を超えた演出になっていると思います。あのときTwitterでハッシュタグ付きのコメントを見ていて思ったんですけど、ライブを観て感動した人たちから出てくる言葉って単純な言葉が多いなと。「あそこがああだったから素晴らしい」とかじゃなくて、「最高!」とかそれくらいシンプルな言葉がたくさん見られたんです。このシンプルさが、音楽の尊さだなって思いました。
peppe こういうエンタテインメント的な要素がある演出は、今まで私たちがやりたくてもできなかったことだから。この状況だからこそ、今までできなかったことができた。その喜びもありました。
小林 こういう見せ方は今後もやっていきたいよね。今回の配信でもそうだったけど、曲の幅が広がってきたからこそ、演出にも幅が出てくると思うんですよ。もしかしたら今後は長屋が空を飛ぶかもしれない(笑)。
長屋 自分でも似合わなすぎて笑うわ(笑)。でも今後はもっと、昔からの夢を叶えていけたらいいよね。
ツアー情報
- 緑黄色社会「SINGALONG tour 2020」
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- 2020年11月15日(日)香川県 高松MONSTER
- 2020年11月17日(火)福岡県 DRUM LOGOS
- 2020年11月22日(日)宮城県 Rensa
- 2020年11月27日(金)北海道 札幌PENNY LANE24
- 2020年11月29日(日)北海道 CASINO DRIVE
- 2020年12月5日(土)神奈川県 KT Zepp Yokohama
- 2020年12月11日(金)愛知県 Zepp Nagoya
- 2020年12月19日(土)新潟県 NIIGATA LOTS
- 2021年1月11日(月・祝)広島県 広島CLUB QUATTRO
- 2021年1月19日(火)大阪府 Zepp Namba
- 2021年1月24日(火)東京都 EX THEATER ROPPONGI
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