Novelbrightにとって“ライブ”とは?初の日本武道館公演を前に思いを語る (2/2)

MCがウケるかどうか、これはめっちゃ大事です

──ここからは“Novelbrightとライブ”というテーマでお話を伺えればと思いますが、「開幕宣言」のときのインタビューで「自分たちの尊敬するアーティストが大きな会場でライブしている姿を観てきたから、そこに対する憧れもある」と言っていましたよね。皆さんの脳裏に焼き付いている憧れのライブの光景とはどのようなものですか?(参照:Novelbright「開幕宣言」インタビュー

 俺は「イナズマロック フェス」やなあ。「イナズマロック フェス」で観たT.M.Revolutionのライブがロックバンドをやりたいと思ったきっかけでした。

ねぎ 僕は人生で初めて行ったライブが大阪城ホールのUVERworldだったんですけど、当時のことはめっちゃ覚えてます。

圭吾 僕もUVERworld。僕は京セラドームで初めて観たんですけど、感動でボロ泣きしちゃって。まさか自分がライブで泣くとは思っていなかったからよく覚えています。

竹中 僕はZepp TokyoでのParamoreの来日公演が忘れられないですね。バンドを始めてから最初に観に行ったライブで、当時大阪に住んでいたので夜行バスで東京に行ったんです。ライブが終わったあとも夜行バスで帰る予定だったんですけど、次の月の同じ日で予約を取っちゃっていて。

 帰れなかったんだ。

竹中 そう。しかも一緒に来た友達3人はちゃんと予約できていたから、東京駅の夜行バス乗り場に僕だけ取り残されて……。そんなことがあったら普通、落ち込んだりイライラしちゃったりするじゃないですか。だけど「まあいっか!」となれるくらいライブの余韻がすごくて。あのときのParamoreが僕のベストライブですね。

山田 僕はB'zですね。B'zのお二人は僕が生まれる前から活動されていて、ドームツアーや周年記念ライブも何回もやっている方々ですけど、僕が初めてライブを観に行ったとき、映像で観ていた過去のライブを思わせるパフォーマンスをしていたシーンがあったんです。「あのときのあの演出を」みたいなことって長くトップを走り続けているからこそできることだし、理想的やなと思いました。

山田海斗(G)

山田海斗(G)

山田海斗(G)

山田海斗(G)

──Novelbrightも前線に立ち続けたいですね。

山田 そうですね。ずっと上り続けなきゃいけないなと。

──今話していただいたような憧れを胸に抱きつつ、アーティストとしてライブをする側になった皆さんですが、これまでの経験則として「いいライブだなあ」あるいは「いいライブになりそうだな」と感じるときの条件のようなものはありますか?

竹中 MCがウケるかどうか。これはめっちゃ大事です。MCがウケているときはみんなが肩の力を抜けてリラックスできているときでもあるので、実はそこにけっこう表れているというか。

──バロメーターになっているんですね。

竹中 はい。MCの調子がいいときはライブもマジでいいです。

圭吾 僕はストーリーがあるときはいいライブになるなと思います。さっき愛媛が埋まらなかったという話もありましたけど、次に愛媛に来たときにソールドして埋まっていたとしたら、すごく熱いライブにできるんじゃないかと思うんですよね。

──2人とも着眼点は違いますが、「気持ちが乗っているといいライブになる」という認識は共通しているようですね。

圭吾 そうですね。こなすようなライブはしたくないなとすごく思います。

 たぶんどれだけキャリアを積んでも「今日のライブはちょっと悔しかったな」と思うことはなくならないと思うし、だからこそ「成功しているライブって何?」というと、お客さんも自分たちも一緒になって楽しめているときがそうなんじゃないかと思います。ライブが終わったあと「今日楽しかったわー!」って楽屋がにぎやかになっているときは、「ああ、いいライブやったなあ」と実感する瞬間ですね。

ねぎ うんうん。

山田 俺は、雄大が満面の笑みで楽屋に帰ってきたときがいいライブやと思います。やっぱり真ん中に立っている雄大が一番お客さんの目を見ながら歌っていると思うから、雄大がライブ中どう感じているかというのは一番大事。

竹中 僕が一番お客さんの熱量や雰囲気に影響されやすいタイプでもあるんですよね。例えば、ステージから客席最前列までの距離が長い会場で、お客さんが遠く感じたときに、悔しさの残るライブになってしまったりとか。Novelbrightのライブには僕のメンタルがけっこう反映されていると思うし、敏感な分、「お客さんのことを巻き込んでいけるようなライブを」ということはすごく大事にしています。

日本武道館を経て、もっと大きなステージへ

──2月から始まったツアーは終盤に突入し、ツアーファイナルの日本武道館2DAYSも近付いてきましたね。今回のツアータイトルには「~『路上ライブから武道館へ』的なよくある目標を実現させちゃうツアー~」という副題が付いていますが、路上ライブがあったからこそ今のNovelbrightがあると言っても過言ではない気がします。路上ライブを観た人の口コミやSNSでの拡散をきっかけにバンドが広く認知されるようになり、インディーズ時代からタイアップ曲も複数手がけ、そしてメジャーデビューも果たすなど、路上ライブ以降のNovelbrightの飛躍は著しいですから。

竹中 路上ライブを始めたのは圭吾が加入した2019年で、それまでの6年間は地道に活動していたものの、ワンマンライブは100人規模の会場を埋めるのが精一杯という時期もあって、鳴かず飛ばずという感じだったんですよ。それでも僕らは自分たちの音楽に自信を持っていたので、「俺らの音楽、なんでこんなに響かへんのかな?」「聴いてさえもらえれば好きになってもらえるんじゃないか」「ライブハウスの中って限られた人しかおらんから外に出よう」ということで、路上ライブを始めたんです。

──そうだったんですね。

竹中 路上ライブには最終的にたくさんの人が来てくれるようになりましたけど、初めは通り過ぎていく人ばかりで。恥ずかしいと思うことや惨めな気持ちになることもありました。でも人が全然集まらないときもくじけなかったし、雨の中でも傘をさしながら路上に出ていきました。あのとき諦めなかったおかげでメンタルも鍛えられて。最近は僕らもいろいろなフェスに出させてもらっているんですけど、Novelbrightを観たことない人ばかりの環境でも全然ビビっていないです。

──それにしても、メンバー全員が20代のうちに武道館に立つなんて快挙ですよね。

竹中 まあ、22、3歳でやると思ってましたけどね(笑)。

圭吾 僕も23歳でやると思ってました(笑)。

竹中 だから予定より3年くらい遅くなっちゃったんですけど、その分、ここからの3年で倍取り返したいと思ってます。そのためのいいスタートが切れそうな気がしますね。

──最後に、武道館2DAYSを目前にした今の心境や武道館に対する思い入れなどをそれぞれ聞かせてください。

竹中 個人的な話になりますけど、僕のおばあちゃんは詩吟の日本チャンピオンを獲ったことがあるんですよ。

圭吾 すごいな。そういう家系だったのか。

竹中 詩吟の全国大会の会場が武道館で、その大会に4回くらい出場しているから、武道館で1万人くらいの前で詩吟を披露する経験をしているんですよね。だから僕はおばあちゃんと「俺も武道館に立ちたいわ」「雄大くんが武道館でやる日を楽しみにしてるわ」という話をしていたんですけど、その約束をやっと叶えられるのですごく楽しみです。

 僕も個人的な話でいいですか? 武道館の日は、Novelbrightを組む前のバンド仲間が観に来てくれるんですよ。そいつは今、別の才能を生かして音楽ではない道を歩んでいるんですけど、昔約束した場所に立つということで感慨深いし喜びもありますね。そいつとの約束を果たせるというのもそうですけど、武道館は「ここまで来たよ」と言えるような場所だと思うので、ようやくいろいろな人の期待に応えられるというか。2日間とも僕はきっといい表情をしているんじゃないかと思います。

──6月24日公演はWOWOWの生中継もあるので、皆さんのライブ中の表情もばっちり伝わるんじゃないかと思います。

 そう言われるとちょっと恥ずかしいですね。最後の曲とかは僕の顔は抜かんとしてほしい(笑)。……でも、あの頃思っていた「ここに行ったらすべてが叶う」「武道館がゴール」という感覚が今の自分にはないことに驚いています。むしろ「武道館に立てたからこそ次に行ける」「もっと大きなステージに行ける」という気持ちなんですよね。

──そうなんですね。では、ねぎさんは?

ねぎ じゃあ僕も個人的な話を。みんなと同じように、僕もバンドを初めてから武道館にずっと憧れていたし、すべてのバンドマンが憧れると言っても過言ではないほど伝説的な場所やと思うんです。だからこそ武道館はバンドマンだけじゃなく、その友達や家族も特別な場所やと思っているんじゃないかと。うちは親父がすっごく厳しくて。「バンドをやる」と言ったときにも猛反対されて。最後には僕の姿勢を見て「そんなにがんばってるんだったら応援するわ」と言ってくれたんですけど、それもNovelbrightに入ったあとのことだったんです。それで、僕は当時関西に住んでいて、親父は単身赴任で東京にいたんですけど、親父は九段下に住んでいたから毎日出社するときに武道館の前を通っていたらしくて……。大阪と東京なので、めったに会えなかったんですよ。だけどたまに会うときに「武道館の前、いつも通ってるぞ」「いつか武道館で観るのを楽しみにしてる」と言っていて……。

ねぎ(Dr)

ねぎ(Dr)

ねぎ(Dr)

ねぎ(Dr)

竹中 泣きそうになってます?

ねぎ  なんか話していたらうるうるしてきちゃった……。

山田 「(泣)」って付けといてください(笑)。

一同 ははははは!

ねぎ やばいやばい、本当にこういうテンションで話すつもりじゃなかったんだけど……(笑)。まあとにかく、親父がそう言ってたなあと一番に思い出したという話です。言葉にするとダメっすね。めっちゃエモい感じになっちゃってすみません。

山田 ……このあとめっちゃ話しづらいんだけど(笑)。

ねぎ ごめん!(笑)

山田 (笑)。僕はエモい話ではないんですけど、正直最初は武道館にあまり興味を持っていなかったんですよ。

竹中 1人だけ尖ってるやん。

山田 いや、すごい会場だと思い始めたのはつい最近の話で。というのも、さっき話したように僕の原点はB'zなので、自分の中では「ドームツアーをしてからがスタート」という感覚があったんですよね。だからまだまだ準備段階。武道館がすごい場所だということはわかっているし、ライブ中うれしい気持ちにもなると思いますけど、昔から思い描いていた場所にはまだまだ届いていません。だからこそ、今回は「初めての武道館です、おめでとうございます」というライブかもしれないけど、今後「Novelbrightが武道館? そんなの当たり前やん」と思われるようなバンドになるためのツアーファイナルなんやろうなという印象です。

──なるほど。では最後に、圭吾さん。

圭吾 僕も個人的な話をしたいんですが、僕はこのバンドに入ってからベースを始めたので、ベーシスト歴3年ちょいで武道館に立つことになるんですよ。そういう例はたぶんまだないだろうし、相当訳のわからないことになっていると思うんですけど、前例のないことを僕がやることで「3年で武道館に立つやつもおる」と証明できたらと。ミュージシャンとしてというよりかは人として、「そんな無茶苦茶なことをやるやつがおるんやな」「無理やって思わんくてもできるんやな」ということをみんなに伝えられたらと思っています。

Novelbright

Novelbright

ツアー情報

Novelbright LIVE tour 2022 Hope Assort tour~「路上ライブから武道館へ」的なよくある目標を実現させちゃうツアー~

  • 2022年2月18日(金)群馬県 高崎芸術劇場
  • 2022年2月25日(金)神奈川県 横須賀芸術劇場
  • 2022年3月11日(金)宮城県 仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール
  • 2022年3月20日(日)大分県 J:COM ホルトホール大分 大ホール
  • 2022年3月21日(月・祝)福岡県 福岡市民会館
  • 2022年3月23日(水)兵庫県 アクリエひめじ(姫路市文化コンベンションセンター) 大ホール
  • 2022年4月3日(日)石川県 金沢市文化ホール
  • 2022年4月10日(日)岐阜県 長良川国際会議場 メインホール
  • 2022年4月23日(土)愛媛県 愛媛県県民文化会館 メインホール
  • 2022年4月25日(月)大阪府 オリックス劇場
  • 2022年5月7日(土)北海道 札幌市教育文化会館 大ホール
  • 2022年5月19日(木)愛知県 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
  • 2022年5月21日(土)広島県 JMSアステールプラザ 大ホール
  • 2022年6月23日(木)東京都 日本武道館
  • 2022年6月24日(金)東京都 日本武道館

プロフィール

Novelbright(ノーベルブライト)

竹中雄大(Vo)、山田海斗(G)、沖聡次郎(G)、圭吾(B)、ねぎ(Dr)からなる大阪発5人組ロックバンド。2013年にオリジナルメンバーで結成され、2019年1月に現体制となる。2019年7月に行った「崖っぷちどチクショー路上ライブTOUR」がSNSで拡散され、その名を全国へと広める。2020年5月に初の全国流通アルバム「WONDERLAND」をリリース。同年8月に「Sunny drop」でユニバーサル ミュージックよりメジャーデビューを果たし、12月に「第62回 輝く!日本レコード大賞」で新人賞を受賞した。2021年4月に1stフルアルバム「開幕宣言」をリリースし、7月にツアーファイナルとして大阪・大阪城ホール公演「大阪城公園で交わした約束『2年以内にあっちで会いましょう』を実現するワンマンat大阪城ホール」を行った。11月に日本テレビ系ドラマ「真犯人フラグ」の主題歌を収めたシングル「seeker / ワンルーム」をリリース。2022年2月にシングル「The Warrior」をリリースし、5月にフルアルバム「Assort」を発表した。2月よりホールツアー「Novelbright LIVE tour 2022 Hope Assort tour~『路上ライブから武道館へ』的なよくある目標を実現させちゃうツアー~」を開催し、ファイナルとして6月に東京・日本武道館公演2DAYSを行う。