WOWOW「YELL JAPAN」特集|今のファンモンを詰め込んだ9年ぶりツアー (2/2)

ファンちゃんのラップが好き

──そして、中野サンプラザ公演では新曲「ROUTE 16」を披露しましたね。どんなふうに作った曲ですか?

ファンキー加藤 立ち上がりは、どんな感じだったっけ?

モン吉 とりあえずアップテンポ。

ファンキー加藤 そうそう。前回(2021年9月発売のシングル曲「エール」)がバラードだったから、今回はアップテンポにしようと。それでリリースタイミングを考えて「歌詞の舞台は夏がいいね」と決めていきました。ただ、「応援ソングでもラブソングでもない」というところが、ファンモンのシングルとしてはけっこう珍しいかもしれない。再始動一発目の「エール」もそうだから「ファンモン=応援ソング」というイメージを持たれがちだけど、次は応援ソングではない曲にしようという思いで作っていましたね。

「YELL JAPAN」東京・中野サンプラザホール公演より。(Photo by AYAMI KAWASHIMA)

「YELL JAPAN」東京・中野サンプラザホール公演より。(Photo by AYAMI KAWASHIMA)

──音楽を始めた頃の若い日々の思い出と、時を経ていつかの再会の喜びをしっかりと表現している、素敵な曲だと思います。しかも、ラップに回帰しているというか、韻やフロウにすごくこだわっているように感じました。

モン吉 あ、ホントですか?

──そう思います。「エール」のカップリングの「今だってI LOVE YOU」も、ガチガチのラップチューンだったし、再始動後のファンモンのキーワードは「ラップ回帰」なのかな?と思うくらい。

ファンキー加藤 モンちゃんもこの間、言ってましたよ。「ラップ、最近好きなんだよね」って。

モン吉 最近ラップする楽しさが、20年ぐらい経ってようやくまたわかってきた感じがあって(笑)。あと、今、韻を踏むラップがまた流行っていますよね。ファンちゃん(ファンキー加藤)はラップがすごくうまいから、俺とケミちゃんは昔からずっと「ラップしなよ。韻踏みなよ」と声をかけてたんです。最近ようやく、たぶん時代のおかげでやってくれて。ファンちゃんの才能が輝く時代が来たと思いますよ。

ファンキー加藤 それは言いすぎ(笑)。でも確かに、時代の流れをキャッチしつつ、というところはありますけどね。

モン吉 いいと思うよ。俺はファンちゃんのラップ、好きなんで。

モン吉

モン吉

“ザッツ・ファンモン”というセットリスト

──僕も大好きです。「YELL JAPAN」のセットリストの話に戻ると、これが現時点での“ベスト・オブ・ファンモン”ということですか。

ファンキー加藤 今回はいろいろ考えました。例えばツアー初日の八王子では、「ヒーロー」と「あとひとつ」をやらなかったんですよ。

──えっ? そうなんですか。

モン吉 俺も「えっ?」と思いましたよ。

ファンキー加藤 八王子は、ファンクラブ会員の方が多いと聞いていたので、あえて飛車角を落として、反応を見てみたかったんですね。「あとひとつ」はお互いのソロでもずっと歌って来ていて、お客さんの熱量というか、「待ってました感」が薄れてきてないかな?という思いが少しあったので、あえて外してみました。でも最終的にはもとに戻ったというか、「ザッツ・ファンモン」というセットリストに落ち着きましたね。再始動後一発目のツアーだし、次のツアーでは、たぶん新しいアルバムの曲とかも入ってくるだろうから。それを踏まえて毎回2、3曲は必ず変えながらやっていきました。

ファンキー加藤

ファンキー加藤

モン吉 セットリストは自分たちの限界を感じるようなところがあったよね。体力を消費するバラードの曲は、3曲連続は厳しいとか。

ファンキー加藤 それは、やっぱり9年ぶりの何かでしょうね(笑)。体力が持たないから、ツアー中にちょっと変えてみるとかしてました。だからファイナルの中野サンプラザは、本当にベストだったと思います。2DAYSだったけど、2人ともしっかり声は出ていたし。

モン吉 ツアーを経ての答え、という感じだよね。

──全公演でサポートDJを務めたバカムスコ翔さんのパフォーマンスはいかがでしたか? 歌って、煽って、すごくがんばっていましたよね。

ファンキー加藤 翔は、俺やモン吉が昔から知っている人だし、熱い気持ちを持っていて、「全然知らない人が(DJを)やるぐらいだったら絶対俺がやります!」と言ってくれたんですよ。ケミカルの代わりをやるのは難しい立ち位置だったと思うんですけど、毎公演しっかり考えて、「曲出しのタイミングが今日は1秒遅かったです」とか、毎回反省していたりして。俺やモン吉でさえ気付いてないのに(笑)。そんなふうにちゃんとやってくれていたので、感謝しています。ただ、中野サンプラザだけなぜ青い髪にしてきたのか?ということだけは、声を大にして言いたいですね。「『YELL JAPAN』だからですよ! 青空をイメージしたんですよ!」と言うんだけど、俺とモン吉は最後までピンとこなかった(笑)。でもそれ以外は、しっかりとやってくれました。

「YELL JAPAN」東京・中野サンプラザホール公演より。(Photo by AYAMI KAWASHIMA)

「YELL JAPAN」東京・中野サンプラザホール公演より。(Photo by AYAMI KAWASHIMA)

モン吉のアイデアを即採用

──あと、聞きたかったのは「YELL JAPAN」というツアータイトル。響きも意味もばっちりハマって、すごくいいタイトルだと思うんですけど、これは誰が?

ファンキー加藤 これは、モン吉ですよ。

──え、そうなんですか。

モン吉 はい。意外ですよね(笑)。

ファンキー加藤 みんなで考えて、何も出てこなかったんですよ。どうする?って、何時間も考えていたら……。

モン吉 「エール」から連想して、AIR(エール)といえばフランスだよねって。「エールフランス(AIR FRANCE)があるから、じゃあ『YELL JAPAN』は?」って言ったら……。

ファンキー加藤 「YELL JAPAN」って思い付いたけど違うよね、ぐらいのテンションで言われたんだけど、俺とスタッフが思わず腰を浮かせて「YELL JAPANか!!」って(笑)。それなら、エールフランスのロゴをオマージュして、アイコンとして飛行機を置いて、グッズ展開もしやすいし……と考えれば考えるほど最高なんですよ。しかも、ちゃんと「エール」という曲のタイトルもあるし、「これしかないね」って即採用です。

モン吉 よかったです。なかなか俺の意見が取り入れられることは少ないので(笑)。

「YELL JAPAN」東京・中野サンプラザホール公演より。(Photo by AYAMI KAWASHIMA)

「YELL JAPAN」東京・中野サンプラザホール公演より。(Photo by AYAMI KAWASHIMA)

──最後に番組を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。

ファンキー加藤 僕らも観るのが楽しみです。再始動一発目のツアーを、本当にいい形で締めくくることができたので、ぜひ観ていただきたいですね。今のファンモンのことは、この日のライブを観てもらえばわかります。新曲も入っているし、旧譜もしっかり歌っているし、あと、俺はけっこうカメラを意識しながら遊んじゃったので、ライブ会場では味わえない、映像ならではの楽しさもあると思います。

モン吉 今現在のFUNKY MONKEY BΛBY'Sのライブで、代表曲というか、皆さんが知っているであろう曲をいっぱい歌っているので、「どこかで耳にしたことがあるな」という感じで気に留めてもらったり、知っている方は「懐かしいな」という気持ちで聴いてもらえたら。あとは、あの頃若かった兄ちゃんたちが、しっかりとおじさんになったので、熟成した感じを楽しんでもらえればと思いますね。

※特集公開時、カメラマンクレジットに誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

FUNKY MONKEY BΛBY'S

FUNKY MONKEY BΛBY'S

プロフィール

FUNKY MONKEY BΛBY'S(ファンキーモンキーベイビーズ)

東京八王子出身のファンキー加藤、モン吉による2MCグループ。前身のグループであるFUNKY MONKEY BABYSはDJケミカルを加えた2MC1DJの3人組グループで、「告白」「ヒーロー」「あとひとつ」など数々のヒット曲を送り出し、「NHK紅白歌合戦」に4年連続出場。TBS「輝く!日本レコード大賞」にも3年連続で出演し、作曲賞、優秀作品賞、優秀アルバム賞の各賞を獲得するも、人気絶頂の中、2013年6月に行った東京ドーム2DAYS公演を最後に解散した。解散から約8年の時を経て、2021年3月にTBS「音楽の日」にてフルメンバーで1夜限りの再結成を果たす。同月、ファンキー加藤とモン吉の2人が、それぞれのソロ活動と並行して “FUNKY MONKEY BΛBY'S”に改名してグループとして活動することを発表した。9月には新体制初のシングル「エール」をリリースし、10月にはFUNKY MONKEY BΛBY'Sとして初のワンマンライブ「WE ARE FUNKY MONKEY BΛBY'S in 日本武道館 -2021-」を開催。2022年2月から5月にかけて全国ツアー「YELL JAPAN」を行い、6月にニューシングル「ROUTE 16」をリリースする。

2022年6月12日更新