CHEMISTRY20周年の最終章を武道館から届ける2人の思い

CHEMISTRYが2月23日に東京・日本武道館で開催するワンマンライブ「CHEMISTRY 20th anniversary LIVE 最終章『PIECES OF A DREAM』」の模様が、WOWOWライブとWOWOWオンデマンドで生中継および生配信される。

2001年3月にシングル「PIECES OF A DREAM」でデビューし、昨年3月に活動20周年を迎えたCHEMISTRY。彼らはこの1年、1stアルバム再現ツアー「The Way We Are 2021」や、ファンクラブ限定ライブ「CHEMI×CHEMI 2021」、20年の歴史を詰め込んだツアー「This is CHEMISTRY」と、それぞれコンセプトの異なるアニバーサリーライブを行なってきた。このたび開催される武道館公演は、そんな20周年のアニバーサリーイヤーを締めくくるライブとなる。

音楽ナタリーは、CHEMISTRYの2人にメールインタビューを実施。20年の活動を振り返ってもらいつつ、武道館公演への意気込みやライブの見どころを語ってもらった。

取材 / 秦野邦彦

初めて感じる、20年の歴史の重み

──2001年3月7日に「PIECES OF A DREAM」でデビューしてから20年が経ちました。アニバーサリーイヤーもいよいよクライマックスですが、お二人はこの1年でどのようなことを一番強く感じましたか?

川畑要 シンプルに「20年歌ってきたんだな」と思いました。あまりそういったことを考えてこなかったので、こうして20周年イヤーとしてライブやリリースがあると、より20年という歴史を感じます。そして、改めて過去を振り返ったりしてその重みを感じます。

堂珍嘉邦 コロナの影響で計画していた20周年とはまた違った形になりましたが、1つひとつのライブや1曲1曲の歌への思いというものをより強く感じた1年でした。

──「ASAYAN超男子。川畑・堂珍」名義でリリースした仮デビューシングル「最後の夜 / My Cherie Amour」、そして2001年のデビューシングル「PIECES OF A DREAM」を振り返って、改めてそれぞれの作品への思い入れをお聞かせください。

川畑 「最後の夜」は“仮デビューシングル”と言われたことがすごく印象に残っていて、デビュー前から「ここから自分の音楽人生が始まるんだ」という気持ちがありましたね。今も「最後の夜」を歌う機会がありますけど、「ここだ!」というタイミングで歌う曲でもあるので、やっぱり僕らにとっては大事な曲です。「PIECES OF A DREAM」は今まで一番歌ってきた曲でもありますし、歌うのが一番難しい曲でもあります。たくさん歌ってきたので「もういいんじゃないか」と思った時期もありましたけど、そういった期間も越えて、今はこの曲の大切さを感じていて。リメイクという形で生まれ変わっても、やっぱり大好きな曲だなと感じます。歌詞のインパクトが強いのか、曲名を「ハンパな夢」と呼ばれることもありますが(笑)、それでもたくさんの人に覚えてもらえているということで、それもいいかなと思います。

デビュー当時のCHEMISTRY。

デビュー当時のCHEMISTRY。

堂珍 最初に録った曲が「最後の夜」だったんですけど、初めて自分の歌声がスタジオのスピーカーから大きい音で聞こえたときは感動しました。改めてプロはすごいなと。「最後の夜」は個人的に歌うのが難しくて、それはいまだに感じます。逆に経験を積んだ今だからこそいろいろ歌い方を考えちゃって、自分の中ではより難しい曲になっているかなと。だからこそ歌い続けたい大好きな曲ですね。

──近年、男女問わずオーディション番組が人気ですが、お二人のデビューのきっかけとなった「ASAYAN超男子。オーディション」と比較して、どのようなことを思われますか?

川畑 気になっているオーディション番組はやっぱり観ちゃいますね。僕らはCDデビューという目標がありましたが、今はCDデビューだけがゴールではないし、その先にもたくさんの可能性があるので、そういう人たちが今後どう輝いていくのかというのは気になりますし、面白いと思います。ただ今も昔も言えるのは、オーディションで夢に向かっている人たちは本当にカッコよくて美しいです。

CHEMISTRYの角度ってこれだな

──シングル以外にも名曲の多いCHEMISTRYですが、「これはCHEMISTRYの隠れた名曲だな」と思う曲を教えてください。

川畑 「キスからはじめよう」です。

堂珍 僕もそうですね。

川畑 この曲は2人のボーカルにもめちゃくちゃハマっていると思いますし、ライブで歌っていても気持ちいいですね。

「CHEMISTRY 20th anniversary TOUR 第一章『The Way We Are 2021』」より。川畑要。

「CHEMISTRY 20th anniversary TOUR 第一章『The Way We Are 2021』」より。川畑要。

「CHEMISTRY 20th anniversary TOUR 第一章『The Way We Are 2021』」より。堂珍嘉邦。

「CHEMISTRY 20th anniversary TOUR 第一章『The Way We Are 2021』」より。堂珍嘉邦。

──デビュー以来、松尾潔さんと関わられてきましたが、長い年月の中で印象は変わりましたか? 知られざる一面や忘れられない名言などがあれば、合わせて教えてください。

川畑 柔らかくなったというイメージはありますね。デビュー当時はまだ何もわからなかったから、松尾さんのことがより大人に見えていました。20年経った今はもうプロデューサーとアーティストという関係じゃないような気がしていて。CHEMISTRYを作ってくれた人でもありますし、「こういう間柄です」とは単純に言い表すことができない関係なのかもしれません。

堂珍 「『恋愛』『家族』『アーティスト活動』のどれか1つでもうまくいっていれば人間はがんばれる」という話を聞いたのが印象的です。

──ソロでの活動を経て再び2人で始動したときに感じた、もっとも印象に残っていることを教えてください。

川畑 印象に残っているのは、再始動したときに立ち位置と向きの角度を忘れていなかったことですね(笑)。「CHEMISTRYの角度ってこれだな」とすぐに思い出しました(笑)。

堂珍 確かに2人で並んだときに、スッといつもの立ち位置と角度になってた(笑)。

「CHEMISTRY LIVE 2017 –TWO-」の様子。

「CHEMISTRY LIVE 2017 –TWO-」の様子。

──ボーカリストとして喉のコンディションを保つために日々気を付けていること、ルーティンワークなどがあれば教えてください。

堂珍 やっぱり休むことですね。きちんと休むと声に艶が出ますし、声をたくさん使うとコントロールもできなくなりますので、休むことはすごく大事かなと。喉を休ませるためには、しゃべらないというのもいいかもしれないです。

川畑 僕は何も気を付けてないです(笑)。

麗奈と生み出す新たな化学反応

──昨年の「THE FIRST TAKE FES vol.3」では「PIECES OF A DREAM」「Point of No Return」を披露されました。歌唱後、「精神と時の部屋みたいだった」とお話しされていましたが、改めて感想や反響についてお聞かせください。

堂珍 普段あまり接することのない世代の方や、“知り合いの知り合い”ぐらいの方から「観たよ」と言われて、反響の大きさをすごく感じます。この前、急に親戚から「20年よくがんばったね。誇らしい」と連絡が来て(笑)、改めて「THE FIRST TAKE」の影響力を感じました。

川畑 「THE FIRST TAKE FES」はライブ会場でレコーディングをするという状況だったので、「ライブなのか? レコーディングなのか?」という感覚があって。それを自分の中に落とし込むのが非常に難しかったです。しかも周りは真っ白で。20年やっていて初めての経験でした。

堂珍 先日は本家の「THE FIRST TAKE」に出演させていただいて(2月11日公開)、「You Go Your Way」を歌わせていただきましたが、こちらも反響が大きくて。友達にも「圧巻だったよ」なんて言われたりしました。20周年イヤーのタイミングでCHEMISTRYの代表曲をたくさんの人に聴いてもらえるのは単純にうれしいですね。

──昨年「THE FIRST TAKE」オーディションでグランプリに選ばれた麗奈さんとのコラボ曲「終わらない詩 feat. 麗奈」が2月16日リリースのベストアルバムに収録されますが、2001年生まれの麗奈さんとコラボした感想はいかがでしたか?

川畑 麗奈ちゃんがとにかくピュアで、話しているだけで心が浄化されました(笑)。そのピュアさはきちんと歌声にも表れていて、CHEMISTRYとの融合が楽しみでもありましたし、できあがった作品を聴いてもらえればハッピーな雰囲気が伝わるかなと思います

堂珍 「昔ヒットした架空の楽曲をサンプリングして歌ってみる」という楽曲のテーマがあって。麗奈ちゃんのフォーキーな感じとCHEMISTRYのR&Bテイストがそういったテーマとどんな化学反応を起こすかはやってみないとわからなかったけど、今までのCHEMISTRYの楽曲ではなかったテイストの楽曲ができたんじゃないかと思います。歌詞も含めて、CHEMISTRYの2人だけでは生まれなかった曲だと思います。