「CAMP TV」|Bose、森山直太朗、レキシと楽しむキャンプと音楽!フィッシュマンズを迎えた最終回の収録密着&インタビュー

WOWOWのオリジナル番組「CAMP TV presented by CAMP HACK×FUJI & SUN」の第11回、第12回が、WOWOWオンデマンドで配信された。

「CAMP TV」はBose(スチャダラパー)、森山直太朗、レキシがMCを務める、音楽とキャンプをテーマにした番組。3人が大自然の中でキャンプを楽しみながらその知識を深めたり、ゲストとのトークやアコースティックライブを楽しんだりする姿が見どころで、これまでに綾小路 翔(氣志團)やハナレグミ、SPECIAL OTHERS、奥田民生、木村カエラといったアーティストが番組に参加してきた。

「CAMP TV」最終回となる今回のゲストは、今年デビュー30周年を迎えたフィッシュマンズの茂木欣一と、バンドのサポートを務める木暮晋也(ヒックスヴィル)だ。音楽ナタリーでは最終回の撮影現場に密着し、濃密なトークやライブセッションが繰り広げられた収録の様子をレポート。さらにMCの3人と茂木、木暮にインタビューを行い、「CAMP TV」への思いや収録の感想を聞いた。

取材・文 / 三橋あずみ 撮影 / 須田卓馬

What's「CAMP TV」?

「CAMP TV」とは、キャンプフリークから支持を集めるWebメディア「CAMP HACK」と、WOWOW初の野外音楽フェス「FUJI & SUN」が作る、音楽とキャンプを楽しむ番組。MCのBose(スチャダラパー)、森山直太朗、レキシがキャンプの設営や火起こし、料理などを実際に行いながら、それぞれのキャンプに対するこだわりやおすすめのキャンプギアについて語り合う。DJみそしるとMCごはんによる“キャンプめし”調理や、キャンプ愛好家として知られる村田秀亮(とろサーモン)によるコーナーも。

また番組には毎回ゲストが登場し、MCの3人とトークを展開する。自然に囲まれた環境で焚き火を囲みながら、ゲストとMCが披露するアコースティックライブも番組の大きな見どころ。これまでに綾小路 翔(氣志團)、ハナレグミ、SPECIAL OTHERSの柳下“DAYO”武史と宮原“TOYIN”良太、奥田民生、木村カエラがゲストとして番組に参加している。

収録現場レポート

思わせぶりな富士山

6月初旬、静岡・富士山こどもの国で行われた「CAMP TV」最終回の収録はさわやかな晴天に恵まれた。眼前には壮麗な富士山がそびえているが、実は「CAMP TV」の収録時に富士山の姿が見えるのは、これが初めて。そんな“気分屋”の富士山に森山直太朗が「思わせぶりだぜ!」と言葉を送り、レキシが「お情けでしょ」と反応、Bose(スチャダラパー)が「やっと認めてくれたんじゃない?(笑)」と喜ぶオープニング収録から、この日の撮影はスタートした。

過去10回の番組収録でキャンプ力を培ってきたとあり、この日のオープニングコーナーではMCの3人が集大成としてタープ立てを実践。しかし、おふざけ大好きな3人の共同作業がスムーズに進むはずもなく……「(タープ立ては)医者から止められてて……」と作業から逃げる森山、片手に持ったペグを左右に揺らして「グニャグニャしてる!」と錯視を楽しむレキシと、さっそく“ボケ合戦”が繰り広げられる。「必殺仕事人」かのごとくシリアスな表情でペグを操る森山とレキシの姿に、3人のまとめ役・Boseも「これ、終わらないわ(笑)」とひと言。レキシが「これだけで1本撮れますね」と言うほどのにぎやかさで作業は進行していく。

3人のオススメアイテムは?

「キャンプマスターへの道!」は、MCの3人がおすすめのキャンプギアを毎回1つずつ紹介していくコーナー。チェアに始まりテント、シュラフとキャンプのマストアイテムを順にそろえてきたMC陣は、第11回で「カトラリーと食器」、第12回で「収納グッズ」をプレゼンする。レキシは“ボヘミアンスタイル”、森山は“ミリタリースタイル”、Boseは“ミニマルスタイル”とそれぞれにテーマを設けていることもあり、紹介されるアイテムは個性豊かで魅力的。中でもレキシセレクトの収納グッズは、レキシ自身も「出オチ感が……(笑)」と語るほどのインパクトだ。また、このコーナーにはキャンプのプロとして、「CAMP HACK」のYouTubeチャンネル「CAMP HACK Channel」の出演者・けっそん氏も登場する。MCの3人も思わず唸る、けっそんイチ押しのアイテムにも注目を。

番組開始前から共演を楽しみにしていたというMCの3人のにぎやかなやりとりは、休憩中も止まることはない。チェアに座り、ときにキャンプギアをいじりつつの談笑は、撮影現場に和気あいあいとした温かなムードをもたらしていた。

フィッシュマンズの知られざるキャンプ経験

3人がとろサーモン・村田秀亮と窯焼きピザ作りを楽しんだ「むらキャンプスタイル」の収録を経て、現場にはいよいよフィッシュマンズの茂木欣一とバンドのサポートメンバー・木暮晋也(ヒックスヴィル)が姿を見せた。軽装でリラックスムードな茂木と相反して、ハットやバンダナを身に着け、万全なキャンプルックの木暮は、最近ドハマリしているというカメラを手に収録に臨む。トーク収録は、MCの3人が「キャンプラバーは絶対にフィッシュマンズを聴いてる!」と太鼓判を押す茂木、木暮の気になる“キャンプ歴”を探るところからスタートしたが……茂木は「『空中キャンプ』(1996年リリースのアルバム)という作品は作ったけど、まったくやったことない!(笑)」、木暮も「憧れだけはものすごくある!」と、まさかの告白。この言葉に3人は「この番組のゲスト、スペアザ以外みんな“ビジネスキャンパー”だ!」と反応し、茂木は「暴かれちゃったなあ(笑)」と照れ笑いを浮かべる。

7月より全国各地で公開される「映画:フィッシュマンズ」の話題に端を発した1990年代の思い出話では、Boseが当時抱いていたフィッシュマンズへの印象、さらにはフィッシュマンズのボーカル・佐藤伸治とスチャダラパーとの関わりなどが語られる場面も。「小さな世界で自分たちの音楽を極めている感じだった」と当時のバンドのムードを語る茂木の言葉に、MCの3人はじっくりと耳を傾ける。また、木暮は多彩な趣味の1つであるコーヒーをMC陣にふるまうことに。持参したコーヒー豆を挽き、“木暮式”ドリップを披露するも……その様子を見た森山が発したあるひと言をきっかけに、5人の間に大爆笑が起こる。「俺、番組始まって(今が)一番面白いかも!」とレキシが笑い崩れるほどの出来事は、のちの収録にも響くほどの大きな余韻を残すことに。

焚き火を前に歌うのは……

餃子作りの様子。

トークののち、5人はレキシのリードで餃子作りにも挑戦した。料理初心者だという茂木と木暮が餃子包みに奮闘する姿は普段のライブや音楽番組では決して観ることのできないレアな光景で、Boseも思わず「映画の中とのギャップがすごいなあ(笑)」と漏らすほど。にぎやかにキャンプめしを堪能し終えた頃にはすっかり日も暮れ、収録はクライマックスのライブコーナーへと進んでゆく。

焚き火を囲んでのアコースティックライブ収録は、19:00頃にスタートした。スタンバイ中、砕けた雰囲気で火の前に座る5人はその場で楽曲の構成を話し合い、静かに音合わせを進める。フィッシュマンズの数ある名曲の中からこの日選ばれたのは、1993年発表の「いかれたBaby」。「キャンプでこの曲をやる感じって、今まで経験したことがない」と茂木が語ったセッションは、森山と茂木がメインボーカルを取り、木暮がギター伴奏を担当する形で披露された。大きな森に囲まれた空間は澄み渡る静寂に包まれ、聴こえるのは焚き火の爆ぜる音だけ。そんな贅沢な環境でじっくり、ゆったりと歌声を重ねた5人のセッションは濃密で無二のものとなり、茂木は「曲が喜んでる。佐藤くんにこのシチュエーション見せたいなあ」と笑顔を見せた。木暮も「あと100曲くらい演奏したい!」と話すほど充実感に満ちたラストシーンは必見だ。