WOWOW「10 BABYMETAL BUDOKAN ~LEGEND~」|ここに完結!結成10周年のBABYMETALが日本武道館で見せた景色

BABYMETALが今年1月から4月にかけて東京・日本武道館にて計10公演を開催した。このうち1、2月に行われた「DOOMSDAY - I~VI」より、選りすぐりのアクトで構成した番組「10 BABYMETAL BUDOKAN ~LEGEND~」が、WOWOWで6月26日(土)19:30から放送される。この番組を、海外公演を含めBABYMETALを追い続けるライター・阿刀“DA”大志がひと足先に視聴。ネタバレを避けたレビューで番組の魅力を解説してくれた。BABYMETALの10年を総括するこのライブをぜひチェックしてほしい。

文 / 阿刀“DA”大志 撮影 / Taku Fujii、Takeshi Yao

BABYMETAL「10 BABYMETAL BUDOKAN」の様子。

昨年、結成10周年を迎えたBABYMETALが、日本武道館にて計10公演におよぶ「10 BABYMETAL BUDOKAN」を成功させ、それと同時に、ヘヴィメタルの復興を目指して2013年にスタートし世界規模で激闘を重ねてきたプロジェクト「METAL RESISTANCE」を完結させた。これを受け、この全10本のライブのうち「DOOMSDAY - I~VI」から選りすぐられたパフォーマンスを編集したスペシャルバージョンが6月26日(土)にWOWOWにてオンエアされる。10日間のセットリストはBABYMETALの10年間の歴史を網羅するもので、ファンも納得の内容だったと言える。残念ながらこの記念すべき公演を目撃できなかった人はもちろん、実際に現場へ足を運んだ人もこの放送はぜひチェックしてもらいたい。

最も注目すべきポイントは当然ながらBABYMETALのパフォーマンス。2019年10月にリリースした2枚組アルバム「METAL GALAXY」を引っさげ、彼女たちは11カ国17公演におよぶヨーロッパツアーを敢行し多くの観客を熱狂させたと同時に、過酷なツアーを通じて目覚ましい成長を遂げた。日本のファンがその成果を目撃する機会はコロナ禍によって長い間奪われてしまっただけに、約1年ぶりの日本公演となった「10 BABYMETAL BUDOKAN」への注目度は高く、BABYMETALはその期待に応える熱演を見せてくれた。この武道館公演ではこれまで世界中で幾度となく演奏されてきた名曲の数々が披露され、それらすべてがこれまで以上の輝きを放っていた。伸びのある歌唱で定評のあるSU-METAL(Vo, Dance)のボーカルは今なお成長を続けていて、新体制になってからより存在感を高めているMOAMETAL(Scream, Dance)もしなやかかつ力強いダンスやゲストダンサーとのハイレベルな連携を見せた。ネタバレになるので具体的な曲名は挙げないが、今回、ベスト盤「10 BABYMETAL YEARS」の収録曲は8割方オンエアされる予定になっている。またベスト盤未収録の楽曲も披露されるので楽しみにしてほしい。

BABYMETAL「10 BABYMETAL BUDOKAN」の様子。

上記のことは、会場に足を運んだ人ならばなんとなく想像はできるだろうが、実際に映像を観ることで新たに気付くことも多かった。まず、「10 BABYMETAL BUDOKAN」は会場での鑑賞だけでなく、後日映像化されることまで十分に考慮した演出だったということ。センターステージ形式で行われた本公演は、アリーナに座席を作らず、その代わりに大掛かりな特効機材などを設置するという思い切ったステージプランが特徴的。これは感染症対策の意味合いが大きいと思われるが、フロアに観客がいないことで16台という膨大な数のパイロ(火柱)による特効が可能になった。これは現場で見ても圧巻だったが、映像ではより一層映える。特に、2階席の奥に設置されたカメラが捉える16の火柱には感嘆の声が漏れるはずだ。さらに、座席によっては見えづらかったステージ床面のスクリーンも、ステージ真上に設置されたカメラから捉えることで迫力のある画となって迫ってくる。思い返すと、2014年に行われたBABYMETAL初の武道館公演を収めた映像作品「LIVE AT BUDOKAN」も素晴らしい内容だったが、7年ぶりとなる同会場でのライブ映像は、コロナ禍を逆手にとった演出も含めてよりブラッシュアップされたものになっているのだ。

BABYMETAL「10 BABYMETAL BUDOKAN」の様子。

コロナ禍と言えば、本公演は今のご時世に配慮した工夫も話題となった。まず、観客全員が装着を義務付けられた黒いSavior Mask。このマスクの存在はもともとシアトリカルだったBABYMETALのライブを一層儀式めいたものにした。つまり、彼女たちは観客すら自分たちの演出の一部にしてしまったのである。さらに、コロナ禍で行われているほかのライブと同様、ここでも公演中に観客が歓声を上げることは許されなかったが、その代わりにBABYMETALの過去の公演で客席から投げかけられた歓声を編集したものが、曲間や曲中にSEとして大音量で流された。話を聞くだけではピンとこないかもしれないが、実際はかなり効果的だった。今回のオンエアでも確認できるのでそこにも注目してもらいたい。

「10 BABYMETAL BUDOKAN」は単なる結成10周年記念ライブではなく、チームBABYMETALが過去10年間に蓄積してきたアイデアと情熱のすべてを投入した総決算的ライブだった。「10 BABYMETAL BUDOKAN」と「METAL RESISTANCE」を終えたBABYMETALは、これから新たなフェーズへと突き進む。過去を振り返るのはきっと今年が最後になるだろう。だから今はただ、BABYMETALが築き上げてきた日本最高峰のエンタテインメントに酔いしれ、彼女たちの新たな一歩を首を長くして待ちたい。きっと、「なんじゃこりゃ!?」と我々を再び驚かせてくれるはずだから。

BABYMETAL「10 BABYMETAL BUDOKAN」の様子。

番組情報

BABYMETAL 10周年記念特集

WOWOWプライム / WOWOWオンデマンド「10 BABYMETAL BUDOKAN ~LEGEND~」

2021年6月26日(土)19:30~

「METAL RESISTANCE最終章」と銘打ち、BABYMETALが今年1月から4月にかけて東京・日本武道館で開催した10公演「10 BABYMETAL BUDOKAN」の模様を、WOWOWだけのスペシャルバージョンでお届け! WOWOWではこの公演の中から、1月、2月に行われた「DOOMSDAY - I~VI」の公演を中心に楽曲で構成した番組が放送される。「METAL RESISTANCE」に大きな1ページを刻み、力強いメタルの魂を披露した圧巻のパフォーマンスは必見。

WOWOWプライム / WOWOWオンデマンド「10 BABYMETAL BUDOKAN ~MYTH~」

2021年7月25日(日)21:30~

3月、4月にBABYMETALが東京・日本武道館で開催した「DOOMSDAY - VII~X」の公演を中心に構成した番組をお届け! 日本武道館の八角形の会場の特性を活かしアリーナ全体に組まれた巨⼤なステージセットやこれまでのMETAL RESISTANCE全10章を象徴する紋章が描かれた銅鑼など、彼⼥たちの世界観に満ちた演出にも注⽬してほしい。

BABYMETAL「10 BABYMETAL BUDOKAN」の様子。