ナタリー PowerPush - WIRE13

石野卓球の“15歳”と「WIRE」15周年

最後は必ず見る

石野卓球

──自分が75歳になったときに音楽をやっているのは想像できます?

30年後?(笑)

──そうなりますかね。15の倍数ってことで、30年後ですが。

わかんない。生きてるかどうかも(笑)。

──そんなことおっしゃらないでください。ところで石野さんが毎年「WIRE」で必ずチェックするものとかはありますか?

最初の頃は、オープンしたときに最初のお客さんが入ってくるのを見るのが好きで楽しみだったけど、ここ最近はその時間にあんまいないからなあー。でも、毎年必ず最後の様子を見るっていうのはあるよね。一番最後。

──それまでの風景が変わりますよね。

DJによっても違うしね、うん。

──過去の「WIRE」で、最後の様子でパッと思い浮かぶことは?

何年か前、ジェフ(・ミルズ)がけっこう長い時間やってて、客がヘトヘトになってるのは覚えてる。もうおなかいっぱいなのに、まだ焼き肉が出てくるみたいな感じ(笑)。「え、まだステーキ?」みたいな。

──自分で最後に回そうと思ったことはないんですか?

それはないかな。自分が最後にやるのは違う気がして。

「WIRE」は自分の活動を語る上で無視できない

石野卓球

──なるほど。ちょっと大きな質問になるんですけど、石野さんの人生にとって「WIRE」ってどういう存在?

んー………最初の頃は、こういうことを始めるっていうことが一番の目的だったんだよね。

──それは、日本で屋内の規模の大きいレイブを実現させるってことですか?

そうそうそう。そこが目的で、長く続けるっていうのはそんなにたいした問題じゃなかった。だから、始めた時点で、ある程度の役割を果たした感じもあったんだよね。だけどさすがに15年も続くと、こう、当初自分が思ってたのとは違う、自分の活動の中でも、自分が思ってた以上の重みを増してきたってことは確か。

──続けてきたことによって。

うん。かと言って、今後もそれを続けることに一番エネルギーを使うかって言われると、決してそうではないんだけど。だけどさ、15年続けることってあんまないじゃない?

──そうですね。気が付いたらもう15年、みたいな。

本当、そう。早いもんだよね。仮に今年20歳の子だったとしても、始まったとき5歳だってことだもんね。

──そうですね。

だからなんだって話なんだけど(笑)。

──石野さんの中でも、人生において重い意味が出てきたってことですよね。

だからそれがどういう意味で重いのかっていうのは、ちょっと自分でもまだわかんない。今も現在進行形でやってるから、なんとも言えないんだけど。まあ、自分の活動を語る上で、もう無視はできないですよね。

──なるほど。わかりました。ちなみに「WIRE」では毎年たくさんのグッズが作られますが、石野さんは個人的に使ってるんですか? 例えば毎年、何種類も作っているTシャツとか。

まあ、あまり外で着ることはないけど家で着たり。あとは、母親にあげたりしたTシャツもあるかな。で、それを着てスポーツジム行ってたって話を友達から聞いたけど(笑)。「石野さんにそっくりな女性が『WIRE』のTシャツ着てたんですよ、あれ、お母さんですよね、絶対そうですよね」って(笑)。

──自分で実際に使っているアイテムは?

キーホルダーとかはDJで使うUSBメモリーに付けてる。USBメモリーだけだとなくしちゃうんだよ。でもそのキーホルダー、USBをなくさないようにするって目的でつけるのにはいいんだけど、普通のキーホルダーとしてはすごい邪魔なの、デカすぎて。ビジネスホテルのキーに付いてる、長い棒みたいなのががあるじゃない? あんな感じの邪魔さ(笑)。

──最後に、今年の「WIRE」を一言でまとめるとするとどんなものになりそうでしょうか?

15周年っていうのがあるので、今までを総括するみたいなところもあるし、かつ、今まで出たことない人もいるし。それから、ジョルジオ・モロダーみたいな人もいる。「WIRE」始めたとき、まさか15年後に出演してるなんて夢にも思ってなかった人もいて。まあ、可能性として言うなら例えばKRAFTWERKとかだったらまだ想像はつくじゃん。実際は今後もないだろうけど。でもジョルジオ・モロダーは、忘れてたというかさ。想定外!

──続けてきた甲斐ありますね。

甲斐があるのかどうかわからないけど(笑)。ほんと、人生、わかんないもんだなあと思ってます。

石野卓球
WIRE13-15th ANNIVERSARY SPECIAL-
2013年9月14日(土)神奈川県 横浜アリーナ OPEN & START 18:00 ※オールナイト公演
出演者
MAIN FLOOR
  • 18:00~ DJ SODEYAMA (DJ)
  • 19:05~ アゴリア(DJ)
  • 20:10~ マイク・ヴァン・ダイク(LIVE)
  • 20:55~ KEN ISHII(DJ)
  • 22:00~ WESTBAM(DJ)
  • 23:05~ ジョルジオ・モロダー feat. クリス・コックス(LIVE)
  • 23:50~ 石野卓球(DJ)
  • 24:55~ HELL(DJ)
  • 26:00~ レン・ファキ(DJ)
  • 27:05~ ジョシュ・ウィンク(DJ)
  • 28:10~ スヴェン・フェイト(DJ)
SECOND FLOOR
  • 19:00~ TAKAAKI ITOH (DJ)
  • 20:10~ RYUKYUDISKO(LIVE)
  • 21:00~ A.MOCHI(LIVE)
  • 21:50~ バート・スキルズ(DJ)
  • 23:00~ フィリップ・ゴルバチョフ(LIVE)
  • 23:50~ SLAM(DJ)
  • 25:00~ マティアス・アグアーヨ(LIVE)
  • 25:50~ 2000 AND ONE(DJ)
  • 27:00~ BEROSHIMA(LIVE)
  • 27:50~ PACHANGA BOYS(DJ)
  • 29:00~ 田中フミヤ(DJ)

VJ:DEVICEGIRLS / KRAK×HEART BOMB

前売チケット:11550円

コンピレーションアルバム「WIRE13 COMPILATION」
[CD2枚組]2013年8月14日発売 / 3360円 / Ki/oon Music / KSCL-2276~7
石野卓球(いしのたっきゅう)

1967年生まれのDJ / リミキサー / ミュージシャン。インディーズバンド・人生を経て、1989年にテクノユニット・電気グルーヴを結成。1995年には初のソロアルバム「DOVE LOVES DUB」をリリースし、この頃から本格的にDJとしての活動も開始する。1990年代後半からはヨーロッパを中心に、海外での活動も積極的に展開。ベルリンで行われるテクノ最大の野外フェス「Love Parade」では100万人を前にプレイするなど、数々の偉業を成し遂げている。また、1999年からは日本最大の屋内型テクノパーティ「WIRE」を主催。毎回1万人以上もの集客で人気を誇る。2006年には川辺ヒロシ(TOKYO No.1 SOUL SET)と新ユニット・InKを結成。2010年に約6年ぶりのオリジナル作品であるミニアルバム「CRUISE」を発表した。