ナタリー PowerPush - WIRE11
開催直前!石野卓球が語る「最近のフェス事情」
神奈川・横浜アリーナ「WIRE11」 8月27日
──そして本題の「WIRE」についてなんですが……。
「今年のおすすめは?」とか「見どころは?」とか訊くの禁止だからね(笑)。
──すみません。まさに今そういう話をしようと思ってました(笑)。
毎年それ訊かれてるんだけど、「おすすめ」「見どころ」について特に答えることないんだよねー。まあ、こっちも13年も同じこと訊かれてるんだったら、そこに対する適当な答えを出せって話だけど(笑)。いつも「おすすめは?」って言われたら、「今年初めて出る人」って答えてます。
──今年は初出演の人が結構いますよね。
うん。今年は日本人が多いんだけど、去年の「WIRE」が終わった段階で「次回は日本人アーティストを増やしたいね」って話してて、TAKAAKI ITOHとかに声をかけたんですよ。
──震災があったから仙台在住のTAKAAKI ITOHを呼んだ、というわけではないんですね。
それは偶然なの。TAKAAKIに声をかけたのは震災の前だしね。まあ、元々日本人を増やしたいという気持ちはあったけど、結果的に海外の人たちが日本に来づらい状況になってしまって。
──ああー。
出演オファーをしても「今は日本に行きたくない」っていう人も確実にいるからね。契約書まで交わしたけどキャンセルさせてくれっていう人もいたよ。でも、それについてはこっちも文句言えないし、「安全ですよ」なんて保証できない。うちら日本人はもう普通に暮らしてるけどさ、別に事態が良くなったわけじゃなくて慣れただけでしょ? 麻痺したっていうかさ。だから「日本に来ない」っていう人にはその人の考えがあるし、責められないよね。
東日本大震災を無視してイベントはできない
──ほかに今年の見どころはありますか?
今年はメインフロアの構造をちょっと変えます。お客さんがロビーに溜まってしまうのが良くないと思ってたので、それを解消したいなって。休みつつフロアを観れる場所を中にも作ろうかなと。
──今までもスタンドの椅子で休憩できましたよね?
スタンドだとフロアと完全に分断されちゃうでしょ? そうじゃなくて、スタンドとフロアの中間みたいなエリアを作ろうと思ってて。どうなるかまだわかんないんだけど。
──それは大きく変わりそうですね。
あと、今年は巨大な吊りものがないとかね。万が一地震があったらきっと怖いだろうから。代わりに床にオブジェを置くからだいぶ雰囲気変わると思う。なかなか難しいよね。演出のせいで電気を無駄遣いしてるように見えてもマズいしさ(笑)。
──ああ、そうか。
派手に思われてるレーザーって、実際はあんまり電気を食わないんだけどね。無駄に電気を使うつもりは本当にないんだけど、そればっかり言い始めたら何もできなくなっちゃうからねえ。無事開催できることになったけど、やっぱり地震があった直後は「今年はWIREできるのかな」って思ってましたよ。
──ちなみに今回のロゴマークは日の丸をイメージしてのものですか?
うん。田中(秀幸)さんとも話し合ったんだけど、震災の後だしそこは無視して通れないじゃない。全部忘れて「ええじゃないか!」っていうのも、ちょっとあんまりかなって。「WIRE」の立ち位置としてどうなのかって問題もあるけど、少なくともその日だけは楽しんでもらいたいし。ちょっとでもお客さんが元気になってもらえるように、お手伝いができればなって思って。手コキヘルスみたいなもんですよ。元気になるお手伝いがしたいんですよ(笑)。
──いい話だったのに最後で台なしですね(笑)。
やったるJ!
──恒例の「WIRE」コンピ、今年は例年以上にバラエティに富んでいるように感じました。
今年のコンピかなり良いよね!
──ミニマルがメインなのかと思ってたけど、ジャンルの幅が広いですよね。RAINBOW ARABIAみたいなのもいますし。
まあRAINBOW ARABIAはロックバンドだし、ちょっと異色だけどね。でも、毎年結構バラエティに富んでると思うんだけどな。みんなが気がつかないだけで。ほら、去年なんてチャーシューみたいな人もいたじゃん(笑)。
──HARD TONのことですね(笑)。
歌うチャーシュー(笑)。横浜アリーナで歌ってる姿、すげえシュールだったよね。だってアリーナだよ? 外タレだって相当ビッグじゃないと立てないステージだよ?(笑)
──それでは最後に、今年の「WIRE」に向けての意気込みをよろしくお願いします。
やったるJ!
──どうもありがとうございました(笑)。
「やったるJ」のJは「じんましん」のJだって書いておいてください(笑)。
<DJ>
- AGORIA(LYON)
- DANIEL STEINBERG(BERLIN)
- DJ SODEYAMA(TOKYO)
- DJ TASAKA(TOKYO)
- DUBFIRE(WASHINGTON, D.C.)
- FELIX KRÖCHER(FRANKFURT)
- FUMIYA TANAKA(BERLIN)
- LEN FAKI(BERLIN)
- MARK BROOM(LONDON)
- RADIO SLAVE(BRIGHTON)
- SHIN NISHIMURA(TOKYO)
- TAKAAKI ITOH(MIYAGI)
- TAKKYU ISHINO(TOKYO)
- WESTBAM(BERLIN)
<LIVE>
- 69 LIVE (CARL CRAIG) (DETROIT)
- BEROSHIMA(BERLIN/LONDON)
- dOP(PARIS)
- Dr. SHINGO(TOKYO)
- KEN ISHII(TOKYO)
- RAINBOW ARABIA(LOS ANGELES)
- SNUFF CREW(KÖLN/BERLIN)
<VJ>
- DEVICEGIRLS (TOKYO)
- DOMMUNE VIDEO SYNDICATE(UKAWA NAOHIRO + HEART BOMB + KRAK)(TOKYO)
<THIRD AREA LISMO STAGE>
- YAPAN a.k.a. Yosuke Hiroyama(RYUKYUDISKO)
- agraph
- metalmouse
- SUNSEAKER
石野卓球(いしのたっきゅう)
1967年生まれのDJ / リミキサー / ミュージシャン。インディーズバンド・人生を経て、1989年にテクノユニット・電気グルーヴを結成。1995年には初のソロアルバム「DOVE LOVES DUB」をリリースし、この頃から本格的にDJとしての活動も開始する。90年代後半からはヨーロッパを中心に、海外での活動も積極的に展開。ベルリンで行われるテクノ最大の野外フェス「Love Parade」では100万人を前にプレイするなど、数々の偉業を成し遂げている。また、1999年からは日本最大の屋内型レイヴパーティ「WIRE」を主催。毎回1万人以上もの集客で人気を誇る。2006年には川辺ヒロシ(TOKYO No.1 SOUL SET)と新ユニット・InKを結成。2010年に約6年ぶりのオリジナル作品であるミニアルバム「CRUISE」を発表した。