ナタリー PowerPush - WIRE11
開催直前!石野卓球が語る「最近のフェス事情」
海外のフェスは素っ裸の人が歩いてたりして楽しい
──出演者の目線で見て、海外のフェスと日本のフェスで何か違いはありますか?
ドイツが最近そうなんだけど、出演者はお客さんと一緒に並んで入場するんだよね。1ステージに1日あたり10組くらい出演して、そのステージが10個以上あってとなると、出演者が何百人にもなるから要はコントロールできないの。入場口で身分証とパスポート出して、そこで名前を確認してからアーティストパスをもらう。日本じゃ考えられない話なんだけど、そのときに自分のIDを忘れたら出演者でも中に入れないんだよ。
──出演できないじゃないですか(笑)。
ちゃんと契約書にも「No Pass, No Gig, No Success」って書いてある(笑)。「忘れたお前が悪い」って。
──すごいなあ(笑)。
でも、向こうのフェスはゆるくて楽しいよ。寛大っていうかさ、素っ裸の人が歩いてたりして(笑)。
──わはは(笑)。
人に迷惑かけるのは論外だけど、別に迷惑かけるわけでもないしさ。まあ、裸で歩くのが迷惑か否かってことが争点になってくるけど(笑)。どうやら裸でいること自体はみんなあんまり迷惑じゃないみたいだから(笑)。
──確かに寛大ですね(笑)。
「NATURE ONE」にはいつも、クレーンで作った仮設の逆バンジージャンプがあるのね。1人50ユーロなんだけど、「裸で飛んだらタダですよ」って言ってて。みんな金払うの嫌だから、どんどん裸になって飛んでるの(笑)。
──簡単に脱ぐものなんですね(笑)。
バンジーやるような奴は別に裸なんか恥ずかしくないんだよ(笑)。だから、そんなこと言っちゃったら商売になるのかなって思うんだけど。しかもみんな酒飲んで酔っ払ってるから、「ブェー!」ってゲロ吐きながら天高く舞い上がって。すごいよね(笑)。
──日本のフェスで全裸の人は見たことないなあ。
いちゃマズいでしょ(笑)。でもフジロックだと「どうせ雨でびしょ濡れになってるんだから、ここまできたら裸でも一緒だ!」みたいな気持ちになりそうだけどね。
北海道・石狩湾新港「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2011 in EZO」 8月12日~13日
──「RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO」では今年から新しいパーティ「TONE PARK」を始めたんですよね。これまで続けてきた「LOOPA NIGHT」をやめたのはなぜですか?
KAGAMIが亡くなったというのもあって。毎年お盆の時期に「LOOPA NIGHT」をやるって、本来の目的と違ってきちゃうし、たぶん彼にとっても本意じゃないだろうし。「LOOPA NIGHT」は去年で10周年だったので、キリもいいし変えるならこのタイミングかなって思って。
──内容を変えたくて名前を変更したわけじゃないんですね。
うん。主催のWESSに「これを機にジャンルを広げてやってほしい」っていう意向があるかもしれないと思って一応訊いてみたんだけど、「それはやめてください。ライジングの中でテクノをやるところ、ってことで今までやってきたし、それはこれからも守りたいんで」って頼もしいこと言ってもらえて。
──フェス内のパーティとして完全に定着してましたもんね。卓球さんは「LOOPA NIGHT」を続けていたこともありますし、ライジングはほかのフェスと比べても特別な思い入れがあるのでは?
今まで出たフェスはそれぞれ思い出があるけど、ライジングは初回の最初のアクトを電気グルーヴが務めたからね。あのときはそよ風のような、すかしっ屁みたいなちっちゃな出音でライブやったの覚えてるから。風が吹くと何も聴こえなくなるの(笑)。
──第1回はまだステージも1つしかありませんでしたしね。
だから転換になると完全に無音になっちゃうんだよね。あとでWESSの人に「音が途絶えるのは良くないんじゃないですかね」って話をしたな(笑)。ライジングって独特の大らかさがあるよね。お客さんも腰据えて来るんだけど、「よーし! 楽しむぞ!」って気合入れる感じではなくて、もっとのんびりしてる。それはあそこならではだよね。
──あー、すごくよくわかります。あの感じはいいですよね。
瀧なんか呼ばれてなくても来るからね。
──わはは(笑)。
出演者でもないのにバックステージで一番でかい顔してて、酔っぱらって誰かれ構わず説教してさ。それであいつの周りに人がいなくなるっていうドーナツ化現象がよく起きるの(笑)。俺もあいつが来ると避けるもん!
<DJ>
- AGORIA(LYON)
- DANIEL STEINBERG(BERLIN)
- DJ SODEYAMA(TOKYO)
- DJ TASAKA(TOKYO)
- DUBFIRE(WASHINGTON, D.C.)
- FELIX KRÖCHER(FRANKFURT)
- FUMIYA TANAKA(BERLIN)
- LEN FAKI(BERLIN)
- MARK BROOM(LONDON)
- RADIO SLAVE(BRIGHTON)
- SHIN NISHIMURA(TOKYO)
- TAKAAKI ITOH(MIYAGI)
- TAKKYU ISHINO(TOKYO)
- WESTBAM(BERLIN)
<LIVE>
- 69 LIVE (CARL CRAIG) (DETROIT)
- BEROSHIMA(BERLIN/LONDON)
- dOP(PARIS)
- Dr. SHINGO(TOKYO)
- KEN ISHII(TOKYO)
- RAINBOW ARABIA(LOS ANGELES)
- SNUFF CREW(KÖLN/BERLIN)
<VJ>
- DEVICEGIRLS (TOKYO)
- DOMMUNE VIDEO SYNDICATE(UKAWA NAOHIRO + HEART BOMB + KRAK)(TOKYO)
<THIRD AREA LISMO STAGE>
- YAPAN a.k.a. Yosuke Hiroyama(RYUKYUDISKO)
- agraph
- metalmouse
- SUNSEAKER
石野卓球(いしのたっきゅう)
1967年生まれのDJ / リミキサー / ミュージシャン。インディーズバンド・人生を経て、1989年にテクノユニット・電気グルーヴを結成。1995年には初のソロアルバム「DOVE LOVES DUB」をリリースし、この頃から本格的にDJとしての活動も開始する。90年代後半からはヨーロッパを中心に、海外での活動も積極的に展開。ベルリンで行われるテクノ最大の野外フェス「Love Parade」では100万人を前にプレイするなど、数々の偉業を成し遂げている。また、1999年からは日本最大の屋内型レイヴパーティ「WIRE」を主催。毎回1万人以上もの集客で人気を誇る。2006年には川辺ヒロシ(TOKYO No.1 SOUL SET)と新ユニット・InKを結成。2010年に約6年ぶりのオリジナル作品であるミニアルバム「CRUISE」を発表した。