ナタリー PowerPush - winnie
ヘヴィメタルと遊び心
winnieが2月8日に最新シングル「Forget me not」をリリースする。彼らにとって10周年というメモリアルイヤーの始まりを告げるこの作品で、winnieはヘヴィメタルの要素をミックスしつつ独自のサウンドを構築している。さらに本作にはバンド史上初となるライブDVDが同梱。この作品に込めた思い、そしてバンドとしてさまざまな経験を乗り越えてたどり着いた現在の心境をokuji(Vo, G)とiori(Vo, G)に訊いた。
取材・文 / 高橋美穂
VELVET UNDERGROUNDとMEGADETHを一緒に買う感覚
──表題曲の「Forget me not」はヘヴィメタルを思わせるイントロのギターフレーズが印象的ですが、ちゃんと歌にも耳に入るキャッチーなアレンジですね。
okuji(Vo, G) まあ、これで嫌いになる人とかも絶対にいるはずなんですよ。「このバンド、メロディはいいのにギターがメタルみたいじゃん」って。でも、そういう人には「メタルな感じがいいんだよ!」って言いたい(笑)。それにこのギターフレーズは、あくまで「これインパクトあるでしょ?」という意図で入れたものだから。
iori(Vo, G) この前、すごくポップなバンドをやっている男の子が、「okujiさんのギターはすごくカッコいい」って言ってましたよ。メタルを聴かないような子なのに。
okuji そうそう、そういうのがいいんですよ! 「お前がいいって言っているそれはメタルだぜ、しめしめ」と(笑)。
──ioriさんは、winnieにメタルフレイバーが増えることについてはどう思われますか?
iori 大歓迎です(笑)。
okuji ioriを含めほかの3人は、納得してくれるんですよね。だから俺も調子に乗っちゃう(笑)。違う意見が出て、その衝突から新しいものができる、っていう感じではないんです。
──でも、1曲を完全にメタルで染めたりはしないですよね。
okuji うん、俺はTEENAGE FANCLUBとかも好きだし、別にメタルバンドをやりたいわけじゃないから。いろんなものが自分の中でミックスされている感覚があるんですよ。ioriの中でも、好きなものがミックスされているでしょ?
iori そうですね。
okuji だから、俺がいくらメタルっぽいことをやってもメンバーは「何それ?」ってならずに、受け入れてくれるんだと思う。俺がやりたいのは、そういうことなんですよ。VELVET UNDERGROUNDとMEGADETHのCDを一緒にレジに持っていく、みたいな。
──例えば、普通では水と油と思われているかもしれないけれど、混ぜてみるとカッコよかったりするものってありますからね。そういう感覚を自分たちの音楽にも取り入れているんですね。
okuji そうです。だから誤解もされやすいし、普通に考えたらやらないような方法で音楽を作っているところはすごくあって。でも、そのくらいまでやらないと面白いものはできないのかなって思う。ただ、メタル要素は年々多くなっていますね。別にメタルのために何かやってるわけじゃないんだけど、メタルの魅力を知らない人には教えたいし、分かち合いたい(笑)。
iori メタルおじさん(笑)。
okuji いや、メタルお兄さんね!(笑)
本当は昔のハードロックのジャケットみたいにしたかった
──今回はジャケットもメタルフレイバーが全開ですしね(笑)。
okuji 前作「Synchronized」のジャケがすごく好きで、そのインパクトを越えるにはどうすればいいかしか考えてなかったんですよ。で、デザイナーと話しているうちに、方向性がそれてきてこういう感じに落ち着いた。絵的には全然落ち着いてないけど(笑)。それに今までもグッズのアイデアとかでは、メタルというか、骸骨のモチーフとか、そういうハードなのも出ていて。だから、自分たちでは、「急にどうした!?」みたいな感じはそんなにないんですよ。
──でも、過去のジャケットにはこういう要素はなかったから……。
okuji 今はこれしかないんですよ!
iori そうなの!?(笑)
okuji 本当はギターを持たせたioriのイラストをエアブラシで描いて、昔のハードロックのジャケットみたいにしたかったんですよ。でも、それをパソコンで作ると手描きのチープさが出なくって、現在進行形の北欧メタルっぽい感じになっちゃう。それは絶対違うってなって。
──そこからバランスをとって、こういう感じになったと。
iori そうですね。winnieなりの遊び心を持たせつつ、というか。
──なるほど。winnieらしさと言えば、シングルの2曲目に収録されている「secrets」は、ちょっとしたヒネリを感じさせる楽曲ですね。
okuji 前作「Synchronized」に入っている「flame」という曲で、ギターのフレーズをピアノに置き換えてみたらすごく雰囲気がよかったんです。で、今回もピアノだなって思って。
iori 味をしめて(笑)。でも弾き過ぎない、ちょっとのピアノがいいんですよね。
──2曲の対比も面白いと思いました。
okuji 今回2曲ともテンポがほとんど同じなんですけど、同じバンドでも表現の仕方でここまで雰囲気が変わるんですよ。対比という意味では、そこを意識して聴いても面白いかもしれない。
CD収録曲
- forget me not
- secrets
DVD収録内容
2010.04.23 winnie 'Synchronized Tour 2011' in Shindaita FEVER
- who's dreaming deep
- memories memories
- sweep
- starlike stereo
- boys & girls
- this storyends
- first class speed of light
- suddenly
winnie(うぃにー)
okuji(Vo, G)、iori(Vo, G)、jin(B)、pabo(Dr)の4人からなる男女ツインボーカルのロックバンド。2002年に結成し、数々の海外アーティストの来日公演でオープニングアクトを務める。そして翌年7月に1stミニアルバム「first class speed of light」をリリース。その後5年間のブランクを経て、2008年に2ndミニアルバム「The Darkest Eternal Lights」、2009年に3rdミニアルバム「Headquarter」を発表する。そしてバンド結成10周年となる2012年には、2月にシングル「Forget me not」を発売。さらに全国5都市を回るリリースツアーを開催し、4月には東京・渋谷eggmanでツアーファイナルとなるワンマンライブ「"Forget me not TOUR 2012" FINAL & 10th Anniversary LIVE!!」を行う。