秋元康が総合プロデュースを務めるアイドルプロジェクト「IDOL3.0 PROJECT」から誕生した11人組グループ・WHITE SCORPION。彼女たちは5カ月連続での新曲配信やそれに伴うリリースイベントの開催、対バンライブへの出演など、昨年12月のデビュー以降、猛スピードで経験値を積んできた。そしてその1つの集大成として、グループ初のCD作品「Caution」が9月11日にリリースされた。
「Caution」は直訳すると「注意、用心」を意味する言葉で、この作品を“聴き逃すな”、WHITE SCORIPONの一挙手一投足から“目を離すな”というメッセージを読み取ることができる。
音楽ナタリーではメンバーのうち、ACE、ALLY、CHOCO、HANNAの4人にインタビュー。ミニアルバムに収録されている新曲の聴きどころ、ここまでの活動を通して感じるメンバーの成長について語ってもらった。
取材・文 / 小野田衛撮影 / 安田まどか
CDを手にしたら感激するのは間違いない
──デビュー以来、WHITE SCORPIONは配信シングルでのリリースが続いており、フィジカル作品はミニアルバム「Caution」が初となります。Z世代である皆さんはYouTubeなどで音楽に触れることも多いと思いますが、CDというものに対する思い入れはあるんですか?
CHOCO もちろんです! CDを出すことは私たちの念願でした。
ACE 楽曲の制作過程そのものは今までと特に変わらないんですけど、実際に自分たちのCDを手にしたら感激するのは間違いないと思います。
HANNA 私はNewJeansさんのファンなんですけど、コレクションの意味も含めてCDを集めるのが好きで、家の中に飾っているんです。その隣にWHITE SCORPIONのミニアルバムも並べたいです!
──K-POPはアートワークにこだわったものが多いですからね。
HANNA 飾ると部屋がおしゃれになる気がします。推しているアーティストのグッズが目に入ることで、単純にテンションも上がりますし。私は玄関にCDを飾ってあるので、出かけるときに元気をもらえる感じがします。
ALLY コレクションという感覚、すごくわかるな。私も手元にモノとして残ることに思い入れがあるほうなんですよ。櫻坂46さんのCDが家にたくさんありますし。若い世代の方もWHITE SCORPIONのCDを手に取ってくれるんじゃないかなと期待しています。
ACE 私は最初に買ったCDがAKB48さんの「上からマリコ」でした。タワーレコードさんまで探しに行ったことをよく覚えています。自分たちのミニアルバムも同じように店頭に並ぶということで、「ファンの方たちもCDショップに探しに行ってくれるのかな?」とか想像しちゃいますね。あとは「お店の方がWHITE SCORPIONのPOPを作ってくれるのかな?」とか。
メンバー全員のソロパートを楽しんでほしい
──ミニアルバム「Caution」にはこれまで配信リリースされた楽曲に加えて新曲が3曲収録されており、その中で「動く唇」がリード曲に位置付けられています。
CHOCO 「動く唇」は、ある意味でアイドルっぽくないダンスが特徴になっています。最初のほうに出てくる「Say that again!」というフレーズのところで、手を伸ばしながら斜めになって歌うんですね。振付を担当したのはINFINITYの加藤由唯さんなんですけど、「こんな変なポーズなのにかわいい!?」というインパクトを狙っています。
ACE 歌に関しても注目していただきたい点があって。この曲はメンバーのソロパートが多いんですよ。WHITE SCORPIONはしっかり歌えるメンバーがそろっているので、今回の「動く唇」ではその点が際立つんじゃないかと思います。みんなの歌声を楽しみにしていてください!
ALLY COCOとNAVIに関しては、この曲で初めてソロを披露しています。しかも、2人のパートが連続するんですよ。COCOは音が静かになるところで「まだ決まってない その答え」ときれいな声が入る感じで、そのあとに続くNAVIは力強い歌声で「どういう気持ちか伝えてよ」と訴えるんです。
CHOCO あの2人は“宝塚コンビ”でもあるからね(笑)。ミュージカル好きなだけあって、ドラマチックに盛り上げてくれます。
──一方で、同じ新録曲の「心が目を閉じる」は切ないナンバーに仕上がっていますね。
CHOCO WHITE SCORPIONにとって初のミディアムバラード曲です。こんなにしっとりとした曲は今まで歌ってこなかったので、レコーディングの段階で歌い方をかなり変えてみました。感情を込めることを第一に考えて歌っているので、私たちの新しい声色を楽しめるはずです。
ALLY これまではファンの方たちもカッコいい歌い方だったり、力強い歌い方をする私たちしか見てこなかったわけですし、ここに来て初めて柔らかい歌い方をするWHITE SCORPIONを知って、おそらく新鮮に感じるんじゃないかと思います。
ACE 歌詞の内容は、自分への劣等感やいらだちがテーマになっています。私個人としても、過去の自分と照らし合わせて共感した部分があって。アイドルを目指す段階で悔しい思いをしたことは何度もありましたし、後悔だってしました。なので、そういう自分の気持ちも思い出しつつレコーディングしましたね。この曲を聴いて勇気付けられることもあると思うので、たくさんの人に届いてほしいです。
──そして、ミニアルバムにはもう1つの新曲「命しか捧げるものがない」も収録されます。なんでも、この曲を歌っているのはWHITE SCORPIONのメンバーではないのだとか。
ALLY そうなんです。歌っているのは「FINALIST」と呼ばれる、WHITE SCORPIONのオーディション最終審査に惜しくも落ちてしまった子たちで、「命しか捧げるものがない」は彼女たちにとっては初めてのオリジナル曲です。
──最終審査に落ちたオーディションのファイナリストたちが、しばらく経ってから召集されてこの曲をレコーディングしたということですか?
CHOCO いや、そうではなくて、実はずっと裏で基礎レッスンをがんばっていたんです。でも、私たちが5カ月連続で新曲を配信リリースしていた時期、FINALISTのみんなはオリジナル曲もないままレッスンだけをがんばっていたわけだから、悔しい思いを相当してきたと思うんですよ。「命しか捧げるものがない」は、「絶対デビューしてやる!」という熱い気持ちが詰まった1曲になっているので、そういう意味でも大注目です。
ACE FINALISTのみんなが衣装を着た状態でのリハーサル“着リハ”をしているところを見学したことがあるんですけど、そのときに感じたのは、パフォーマンスの完成度が高いうえ、メンバーみんなの熱量がすごいなということで。私たちもデビューシングル「眼差しSniper」の頃はがむしゃらにレッスンしていましたし、なんだかその頃を思い出すんですよ。とはいえ、WHITE SCORPIONも高い熱量を持ち続けていますし、絶対に負けられないという気持ちです。いいライバル関係を築けたらなって考えています。
HANNA うん。私たちとしても、WHITE SCORPIONのカッコいいところをFINALISTに見せていけたらいいなと思います。
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ライブを重ねることで感じる精神面の変化