秋元康が総合プロデュースを務める新アイドルプロジェクト「IDOL3.0 PROJECT」から誕生したグループ・WHITE SCORPION。約半年間にわたるオーディションを経て11人のメンバーが選ばれ、昨年12月に配信シングル「眼差しSniper」でデビューを果たした。
「眼差しSniper」のミュージックビデオがYouTubeで400万回再生を突破し、スタートダッシュを切ることに成功した彼女たちは、1月7日に2ndシングル「コヨーテが鳴いている」を配信リリース。さらに2月7日には3rdシングル「非常手段」を配信した。音楽ナタリーではメンバーのうちACE、ACO、NATSUの3人にインタビュー。新人グループながらハイペースな展開を見せている活動への手応え、最新曲「非常手段」の注目ポイントなどを語ってもらった。
取材・文 / 小野田衛撮影 / 塚原孝顕
ACE、ACO、NATSUのアピールポイント
──3人とも音楽ナタリーの特集初登場ということで、自己紹介がてらグループに加入した経緯を教えていただけますか?
ACE 私は5歳のときにテレビでAKB48時代の前田敦子さんを観てから、前田さんにずっと憧れていたんです。オーディションを受けられる年齢になってからは自分で応募してアイドルを目指すようになったんですけど、どこも全然ダメでして。かなりたくさん受けたのに全敗でした。それであきめかけてアルバイトをしていた時期に、SNSで「IDOL3.0 PROJECT」の告知を発見し、「これが最後のチャンス。ここに懸けてみよう」と思って応募しました。
NATSU 私からすると、逆に何度も落ち続けていたというのが信じられないです。これだけビジュアルも洗練されていて、歌もダンスも上手なのに……。本当に神様は意地悪だなって思いますね。
ACO でも結果として、ACEのような逸材がWHITE SCORPIONに入ってくれたので、ある意味、運命だったのかもしれません。私に関して言うと、ずっとクラシックバレエを習っていて、プロの道も一時は真剣に考えていたんですよ。でも日本を離れたくないという気持ちも同時にありまして。日本で自分が舞台に立てるジャンルはなんだろうかと考えた末、アイドルのオーディションを受けることにしました。
──クラシックバレエで活躍しようと考えたら、日本では無理ということですか?
ACO 日本だと、バレエでお金を稼ごうとしたら身長の問題がついて回るんです。バレエ団に所属するには163cm以上という決まりがあるので。私は154cmしかないから、ちょっと厳しいんですね。海外だと大丈夫なんですけど。
NATSU 私はACOのバレエほどスケールの大きな話ではないんですけど、以前、別のところでアイドル活動をしていたんです。
──BiSHなどで有名な音楽事務所WACKに所属していたのだとか。
NATSU はい。WAggという育成プロジェクトのメンバーでした。そのグループが2022年10月に解散したんですけど、私としてはアイドル活動にまだ未練があったので……。後悔しないように生きたいなと思い、「IDOL3.0 PROJECT」のオーディションを受けました。
──それぞれのドラマがあって、このグループに集結したというわけですね。では、ご自身のアピールポイントを教えていただけますか?
NATSU 私は音楽に対する情熱です! 今、DTMにハマっていて自分で曲を書いているんですよ。いつかWHITE SCORPIONの曲として採用してもらえるようになればいいなって。前から私のボイトレを担当してくれている方が、作曲家でもあるんですね。その方の曲を聴くことで活動に対する希望をもらうことが多かったので、自分でも曲を作れたら最高だろうなと思って始めました。
──素晴らしいですね。NATSUさん作の楽曲は、ファンも楽しみなはずです。
ACE 私はバレエとかDTMみたいに特技はないんですけど、自分を客観視して、他人にどう見られるかを考える力には自信があります。いわゆる自己プロデュース力と言うんですかね。昔から人のことを分析して、いいところを見つけるのが好きだったんです。「この人は、こういうところが素敵だな」と気付いたことは自分にも取り入れ、忘れないようにノートに書き留めたりしています。
ACO ACEはトーク力もすごいと思います!
ACE 自分では話すのが苦手という意識で今まで生きてきたんですけど、最近、イベントのMCとかラジオで話を回す役を任せていただく機会が増えてきたんですよ。トークって慣れも大事だと思うから、どんどん場数を踏んでいければと思っています。
ACO 私の場合、バレエ以外の特技と言うと、コンテンポラリーダンスやキャラクターダンスになるかもしれません。WHITE SCORPIONのダンスってヒップホップ寄りなんですよね。それに慣れるのはこれからの課題ではあるんですけど、動きの中にバレエで培った優雅さのエッセンスを入れたいと考えています。
ACE やっぱり近くで見ていると、ACOのダンスはさすがだなと感じることが多いです。足を上げる動きひとつとっても、柔軟性があってすごくきれいなんですよ。基礎が本当にしっかりしているんだと思います。
「非常手段」の解釈、パターンA派? B派?
──さて、約半年間にわたる長期オーディションを経て結成されたWHITE SCORPIONですが、昨年12月7日に1st配信シングル「眼差しSniper」でデビュー。今年1月7日リリースの2nd配信シングル「コヨーテが鳴いている」を挟んで、2月7日には早くも3rd配信シングル「非常手段」がリリースされます。この最新曲の聴きどころをぜひ教えてください。
NATSU まずイントロ! いきなり歪んだエレキギターの音で始まるんですけど、そこが迫力あってカッコよすぎます! カラオケで歌うときは、たぶんエアギターをしたくなると思う(笑)。今まで発表した2曲とは、だいぶテイストが違っています。
ACE ダンスで注目していただきたいのは、歌がない間奏部分のパート。落ちサビが終わって、ラストのサビに入る前のところです。そこの振付がめちゃくちゃ難しくて、みんな苦労したんですよね。すごく練習したし、ミュージックビデオの撮影前に先生に褒められたときはうれしかったです。
ACO 曲の部分をエンドレスで流しっぱなしにして、何度も何度も合わせたよね。それでも次の日になったら、振りが飛んじゃって(笑)。
──それだけ難易度が高いということですか。
NATSU 細かい振りが連続で続くんです。動き自体が難しいというより、覚えるのに苦戦するんですよね。私なんて半泣きになりながら先生から教わっていましたし。でも、安心してください。もうさすがに覚えました(笑)。
ACO 「非常手段」は歌詞もすごく深いんです。例えばサビでは「愛されることは一瞬 愛しているのは永遠」というフレーズがありまして、「こっちはずっと好きなのに、相手は見向きもしてくれない」といった切ない情景が頭に浮かびました。そもそも「非常手段」というタイトルにしたって、「それってなんなの?」という疑問がありますよね。
ACE 確かに。何が原因で非常手段を使うことになったのか謎だし。
ACO 私の推理だと、2パターン考えられるんですよ。パターンAは「もうどうにでもなれ! 相手のことなんて知るか!」という、やぶれかぶれの感情。パターンBは逆で、「どんな手を使ってでも相手を振り向かせてやる」という執念の愛。
──パフォーマンスする際は、歌詞の意味を解釈しながら表現することも多いんでしょうか?
NATSU そうですね。私はパターンAの解釈で、MV撮影では「どうにでもなってしまえ!」という必死な感じで踊りました。
ACE 私は断然パターンB派! というのも、歌詞の中に「四の五の言わさず強く抱きしめて」とありますし。貪欲に愛を求める感じで、ダンスでもがむしゃらさを意識しています。
ACO ……と、このようにメンバー間でも意見が割れているわけですけど、最終的にはリスナーの方の解釈に委ねたいと思います(笑)。たくさん聴いてください!
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課題が見つかった初のリリイベ