谷中敦×ソニー完全ワイヤレスイヤホン WF-1000XM5|「もう脱帽するしかない、完全に」

東京スカパラダイスオーケストラのバリトンサックス担当として、30年以上にわたって第一線で活躍している谷中敦。彼はスカパラの一員として世界最大級の音楽フェスに多数出演しており、国籍問わず老若男女を踊らせ続けている。また最近では幾田りら、石原慎也(Saucy Dog)、長屋晴子(緑黄色社会)といった若手アーティストとも積極的にコラボし、日本の音楽シーンを牽引し続けている。

音楽ナタリーではそんな谷中に、新たに発売されるソニーの完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM5」を体験してもらう企画を展開。「プロが選んだ、ソニーのハイスペックサウンドで、ワンランク上の自分へ」をコンセプトにした本製品の魅力について聞いたところ、イヤホンはもちろん、“ソニー愛”をたっぷりと語ってくれた。

取材・文 / ナカニシキュウ撮影 / SHIN ISHIKAWA

「WF-1000XM5」

ソニー「WF-1000XM5」

世界最高のノイズキャンセリング(※1)を搭載した完全ワイヤレスイヤホン。LDACコーデックに対応しており、ハイレゾ音質(※2)も高音質に再生できるだけでなく、あらゆる圧縮音源がイヤホン側でハイレゾ級(※3)にアップスケーリングされる。ソニー史上最高クラスの通話品質(※4)を誇り、音や人の声が気になる環境下でも正確かつクリアに集音するため快適な通話が可能。装着性と機能性を兼ね備えつつ、極限まで小型化したボディも特徴で、マルチポイント接続にも対応しているので仕事の現場でもプライベートでも活躍できる。

※1 左右独立型ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン市場において。2023年4月10日時点。ソニー調べ。電子情報技術産業協会(JEITA)基準に則る。
※2 ハイレゾワイヤレス。ハイレゾコンテンツをLDACコーデックで最大転送速度990kbpsで伝送する場合。「Headphones Connect」アプリから操作が必要です。
※3 DSEE Extreme ON時にCDやMP3などの圧縮音源をSBC / AAC / LDACのコーデックでBluetooth再生する際、最大96kHz / 24bitまで拡張(再生機器の仕様によっては圧縮音源をLDACで伝送する場合でもDSEE Extremeが無効になる場合があります)。
※4 ソニー完全ワイヤレス史上最高通話品質。2023年7月25日時点。ソニー調べ。

僕の耳はソニーの音が基準になっている

──本題に入る前に、ソニーの製品に対するイメージについて伺えたらと思います。何か思い出に残っているソニー製品はありますか?

いっぱいありすぎるくらいですけど……やっぱり、まずはウォークマンですよね。僕が高校生くらいのときに初代ウォークマンが発売されたんですよ。それからウォークマンIIが出て、さらにスポーツウォークマンという防水仕様の機種も出て、あとは録音ができる……ウォークマン・プロフェッショナルって言ったかな? カセットテープ時代のウォークマンはもう、いろんな機種をたくさん使っていましたね。

──知らない機種がけっこうある(笑)。かなりのウォークマンファンだったんですね。

中でもレコーディングウォークマンは使いすぎて壊れちゃって、もう1台買い直しましたね(笑)。その当時から、自分にとってソニーはカッコいいものの象徴でした。あと、昔からコンパクトなものがすごく好きなんですよ。サイズは小さいのに中身は優秀というものに強い憧れがあって、ソニーの製品にはそういうワクワクが詰まっていましたね。今もソニーの「RX0 II」という小型デジタルカメラを愛用しているんですけど、ポケットの中にこういう優秀なものが入っていると、気持ちがすごく充実するんです。

──なるほど。そんなソニーの製品について、オーディオに関してはどんな音のイメージがありますか?

僕にとってはソニーの音が基準になっているので、イメージとかの話じゃないんですよね(笑)。他社製品を使ったときに「ソニーと比べてこう違うから、こういう特徴のある製品なんだな」という判断材料になっています。

谷中敦

──谷中さんの血中ソニー濃度が半端じゃないですね(笑)。ではオーディオに限らず、普段身に着けるものや使うものを選ぶ際にこだわっているポイントは何かありますか?

自分たちの仕事はいろんな場所へ音楽を届けることなので、1年の大半を旅が占めるわけです。だから、どんな場所にも持っていけるモバイル性が重要になってきますね。それはさっき言った「小さいものが好き」にもつながるんですけど、何しろ商売道具として選んだのがバリトンサックスという重くて大きな楽器なので、ほかの持ち物を小さく軽くするしかないんですよ。

──バリトンサックスの大きさが決まっている以上、必然的にほかにしわ寄せが行くという(笑)。

そう(笑)。それもあって、小さくて性能のいいものには余計惹かれるんですよね。

早くこれを着けて飛行機に乗ってみたい

──今日はソニーの新しいイヤホン製品「WF-1000XM5」をお試しいただくんですが、谷中さんは前モデルの「WF-1000XM4」を愛用されているそうですね。

はい、毎日使ってます。これでもう満足しきってますね(笑)。

──前モデルからの違いとしては、大きなところではまずサイズが小さくなったことと、ノイズキャンセリング機能がアップしたことの2点が挙げられます。特に、ノイズキャンセルに関しては「世界最高」(※)を謳っていまして……。

※ 完全ワイヤレス型ノイズキャンセリングヘッドホン市場において。2023年4月10日時点。ソニー調べ、電子情報技術産業協会(JEITA)基準に則る。

それってどういうことなんですか? ほかの機種と比べる基準が何かあるわけですか?

──ソニーの方によると、外音を遮断する度合いを数値化して検査する正式な方法があるんだそうです。きちんとした客観的なデータによって世界一の性能であることが立証されているみたいですね。

へえー、そういうのがあるんですね。

──さらに音質を直接左右するドライバーユニットに関しても、前モデルより大きいものが搭載されていまして。

え? イヤホン自体は小さくなったのに、内部のドライバーは大きくなってるんですか?

──そうなんです。意味がわからないですよね(笑)。なので簡単に言うと、「もう完成されている製品があるのに、それ以上のものを作りました」というのがこのM5になるわけです。

そういうことですよね。だって僕はこのM4で満足しきっていて、本当に傑作だと思ってますから。ここからさらに小さくなって、しかもより優秀になっているというのは……どういうことなんでしょうね(笑)。

谷中敦

──それは僕らがスカパラの音楽に対して思うことと一緒なんですけどね。常に「前作を超える最高傑作を」という姿勢で音楽を作り続けているわけじゃないですか。

それはもちろんそうですね。ミュージシャンとして、新しい作品を発表するときには必ず「これが今までで最高の、自分たちが目指すべき音楽です」と言えるものを出さないといけない。そうでなければ「前の作品を聴いといてもらえばいい」という話になっちゃうので(笑)。

──僕ら一般人からすると、ミュージシャンに対してもソニーに対しても頭が下がるばかりです。「前のやつで十分素晴らしいのに、まだ進化するんかい!」みたいな。

ははは。実際、M4の時点で僕はノイズキャンセリングの具合に感動していたんですよ。飛行機に乗るときに、M4を使ったら一瞬で理想的なノイズキャンセル環境が手に入っちゃいましたから。「これはもう、知らなかった頃には戻れないな」という気持ちでした。自分にとってM4はそれくらい画期的なものだったんですけど、M5ではさらにノイズキャンセリングの性能が上がってるんですよね? それはヤバいですよ(笑)。早くこれを着けて飛行機に乗ってみたいです。

谷中敦
谷中敦
「WF-1000XM5」

何も考えずに聴ける理想のイヤホン

──谷中さんには、事前に「WF-1000XM5」で聴いてみたい曲としてQueenの「I Was Born To Love You」、スタン・ゲッツ&ケニー・バロンのライブアルバム「People Time」から「Tuning」および「You Don't Know What Love Is」を選曲いただきました。まずは実際に聴いていただきましょう。

じゃあ、Queenから。ちょっと自分の世界に入りますね(再生を開始)。……おおー、すごいな。(ひと通り聴き終えると、おもむろにフレディ・マーキュリーよろしく拳を突き上げるポーズを取って)もう、こういう感じです(笑)。

──あははは。

曲に入り込んじゃって、ノリノリで聴くことがどんどん恥ずかしくなくなりました(笑)。Queenはもともと兄が好きで、よくフレディのマネをしてマイクスタンド代わりにホウキを持って歌ったりしていたんですよ。それでしょっちゅう一緒に聴いていた思い出があるので選ばせてもらったんですけど……もう、聴いた瞬間に青春時代がよみがえったような気持ちになりましたね。ほかのことが何も気にならなくなって、怖いくらいです。

谷中敦

──具体的にはいかがでしょう。音の傾向などはどんなふうに感じられました?

音質のことをうんぬん言うのも野暮かな、と思うくらいのナチュラルさですね。それくらい自然に音楽が入り込んできます。オーディオ製品を試すときって、例えば音のスケール感について「こじんまりした音か、壮大な音か」みたいなことを考えながら聴くことが多いんですけど、これはちょっと自然すぎて、もはや大きいのか小さいのかわからない。

──なるほど。それはつまり「不自然な演出が感じられない」という意味ですかね?

そうですね、等身大の音がそのまま迫ってくるイメージです。だから、何もいじる必要を感じない。不自然な味付けがされたイヤホンの場合は自分の聴きたい音に近付けるためにEQをいじったりとか、いろいろ考えなきゃいけないことが出てくるじゃないですか。その点、これは何も考えずに楽しく聴けました。何も考えないで最初から欲しい音が鳴ってくれるというのが、やっぱり自分にとっては理想なんですよね。

──ありがとうございます。では続いて、スタン・ゲッツも聴いてみましょうか。

はい。……(しばし試聴して)うわー、やっぱりすごくいいですね。本当に自然。スタン・ゲッツさんのサックスの音はこれまでにも本当にいろんな音源をさまざまな環境で聴いてきているんですけど……これで聴くと、この演奏が録音されたときのコペンハーゲンのクラブに自分が実際に行って音楽を聴いている気分になれます。いい意味で時代も感じられる。

谷中敦

──この音源はピアノとサックスのみというミニマルな編成のライブ録音ですけど、こういう音数の少ない音楽を聴くときにこそノイズキャンセリングが威力を発揮しそうですよね。

例えば、この曲を渋谷の雑踏の中とかでも聴いてみたいですよね。あるいは高速道路の近くとか、それこそ飛行機の中とか。本来であればいろんな雑音に邪魔されて当然の環境ですけど、このノイズキャンセル機能をもってすれば十分にこういった音楽も楽しめそうです。雑然とした場所で優雅に過ごすぜいたくってあると思うんですよね。例えば、僕は昔から車で高速道路を走るときにバラードをかけるのが好きなんですけど、このイヤホンがあればどこにいてもそういうぜいたくを感じられると思います。

──それによって生活が豊かになると。

うん、毎日使うものですし。今はイヤホンを日常的に使う人も増えたじゃないですか。だからこそ、ぜいたくな時間を過ごせるイヤホンを選ぶということがとても大事かなと思いますね。