1980年代にディスコDJとして活躍したのち、1993年にデビューしたTRFでリーダーを務め、数々のミリオンヒットに携わったDJ KOO。近年は盆踊りとDJパーティを融合した「BON DANCE」に注力して各地の夏祭りを駆け回り、今もなお“日本の盛り上げ番長”として精力的なDJ活動を続けている。
そんな彼がDJをするうえで特にこだわりを持っているのは、データを持ち歩くためのポータブルストレージ、その中でも特に「サンディスク Slim ポータブル SSD」なのだという。なぜこの製品なのか? そこにはさまざまな現場を渡り歩く人気DJならではの理由があった。
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文 / ナカニシキュウ撮影 / 梁瀬玉実
一番大事なのはお客さんを楽しませること
──DJ KOOさんはアナログレコードの時代から長きにわたってDJ活動をされていますが、現在は主にデジタルの楽曲データを用いてDJを行っているんですよね。
うん、そうですね。何年頃だったかは忘れちゃいましたけど、「SCRATCH LIVE」というPCDJソフトが出てきたときにデジタルへ移行しました。アナログレコードやCDのようなフィジカルメディアではなく、PCに入っている音源データを使ってDJができたら便利なのかなと思ったのがきっかけでしたね。
──あくまでアナログレコードにこだわるDJの方も少なからずいらっしゃるかと思うんですが、KOOさんはそういうタイプではないと。
新しいものはどんどん試してきましたよ。時代とともに新たな技術がどんどん開発されていく中で、DJ機材の進歩と一緒に自分もずっとアップデートされてきたような感じがします。
──慣れ親しんだ機材だけに固執するのではなく。
やっぱりDJが実際にプレイするとき、一番大事なのは来ているお客さんに楽しんでもらうことですから。その日の客層や雰囲気を見ながら、その場で「次はこのくらいのテンポで、だったらこの曲」というふうに選曲をしていくわけですけど……昔のディスコでは、お店に置いてあるレコードを使って全部やっていたんですよ。お店ごとにレコードの置き場所も違えば分類法も違うので、本来であればプレイ中はお客さんのほうを見ていたいのに、それよりもレコードを探す時間が多くなってしまったりもしたんです。もちろん、だからこそ「ジャケットだけをパッと見てすぐプレイできる」みたいなスキルは、その時代にずいぶん鍛えられましたけどね。
──ただ、そのスキルを披露することが目的なわけではないですもんね。
どういうテクニックを使っているかじゃなくて、お客さんに一番いい形で音を提供することが第一なので。カッコつけるわけじゃないけど、それが礼儀だと思ってますね。だからCDの時代になったときは製品版のCDをそのまま使うんじゃなくて、あらかじめBPMやジャンルごとに分けて焼いたCD-Rを持って行きました。フロアのお客さんとコミュニケーションを取りながらやるのが僕のスタイルですから、なるべく視線が手元に行かずに済むようにしたいんです。今、DJの現場ではPCを開いてプレイするスタイルが主流なのかなと思うんですけど、それだとどうしてもPC画面に目が行っちゃうんですよね。僕はPCを使わず、DJコントローラにUSBを挿すスタイルに今は落ち着いています。
──楽曲データを保存したUSBドライブを直接挿して使えるタイプのDJコントローラが、今はけっこうあるみたいですね。
Pioneerさんの「CDJ-3000」とかね。あれはディスプレイがタッチパネルになってるので、PC画面みたいに凝視しなくてもパパッと直感的に選曲できるんですよ。そんなふうに、シンプルな操作でプレイできることを今は重視しています。
音に信頼感がある
──KOOさんは現在、その楽曲データを持ち運ぶ用途に「サンディスク Slim ポータブル SSD」を愛用されているそうですね。
最初はSSDではなくて、同じ形のUSBメモリをずっと使ってたんです。そのシリーズで同じ形状の「Slim ポータブル SSD」が出たときに使い始めた、という流れですね。やはりこの小さな「Slim ポータブル SSD」で大量の楽曲データを持ち歩けるというのはすごくいいですよ。昔はレコードにせよCDにせよ、とにかく荷物が多かったですから。
──シンプルにその問題は大きいですよね。サンディスクの製品を選んだ理由は?
USBドライブって、DJ用のアイテムとして作られている製品がないじゃないですか。「DJ用途に使うならコレ」というような定番が存在しないので、最初はいろんなメーカーのものを試しました。仲間や後輩たちと一緒になって「あれはどうだ、これはどうだ」と試行錯誤していった中で、たどり着いたのがサンディスクさんのこの「サンディスク SlimポータブルSSD」でした。
──他社製品とどういうところに違いを感じました?
まず読み込み速度、それから耐久性、信頼度。そのあたりが総合的に優れているのがサンディスクさんでしたね。DJの現場って、意外と過酷な状況になることもあるんですよ。特にこれからの季節は野外でプレイする機会も多くなるし、DJは多少の悪天候でも機材にカバーをかけてやったりするので、防水加工とまではいかなくても熱と湿気にある程度耐えてもらわないといけない。例えば僕の場合は盆踊り会場でDJをやる「BON DANCE」というものを毎年やっていて、実際に雨の中でプレイしたこともあるんですけど、「サンディスク SlimポータブルSSD」を使っていてトラブルに見舞われたことは一度もないですね(※編集部注:防水機能はありません)。
──実際に使っていて、作りの堅牢さを実感できているわけですね。
それが音の安定性にもつながっていると思いますね。転送速度が速い、エラーが起きないというところで、音源データの処理に安定感があります。ぶっちゃけ「このUSBドライブは音が抜群にいいね」という製品はなかなかまだないんですけど、音質そのものの違いというよりは情報処理能力の安定性でサンディスクさんは強いですね。音に信頼感がありますよ。
──例えば転送速度が遅いと容量の大きい音源データなどは読み込みが間に合わなかったり、作りが粗雑だと酷使によってデータが壊れたりするケースもあり得そうな気がしますが、その心配がないと。
昔はデザインで製品を選んだりもしてましたけど、結局はその安心感が一番重要ですね。僕は実際にこの「サンディスク SlimポータブルSSD」1本でどんなイベントにも行きますから、これがダメになったら終わりなんですよ。だから前に一度、試しに自分のスタジオでこれを挿したまま、まるまる1日、1曲を延々ループさせてみたことがあるんです。もちろん熱を持って熱くはなりましたけど、一切止まることなく動き続けてくれました。
──そんな耐久テストのようなことを、自主的に。
それによって信頼が確実なものになりましたね。あとは、お値段がある程度ちゃんとしているのも安心感があっていいです(笑)。こんなこと言ったらアレだけど、あんまりお安い製品はちょっと心配になっちゃうじゃないですか。同じ規格、同じ容量でも値段に差があるということは、高いものはそれだけしっかりコストをかけて作っているということなので、僕はそこもすごく大事だと思ってますね。
──ちなみに、USBドライブを使い始める前はサンディスクブランドにどんなイメージを持っていましたか?
小室(哲哉)さんのマニピュレーター(レコーディングやライブにおいて電子楽器やコンピュータをコントロールする役割)をやっている方がデータのバックアップ用途に、サンディスクと同じくウエスタンデジタルのブランドであるSanDisk ProfessionalのSSDやHDDをずっと使っていて、「安定してますよ」という話はよく聞いていました。「速度も速いし、音もいい」と。なので“プロが選ぶブランド”というイメージはありましたね。