ナタリー PowerPush - WEAVER
神戸出身の新鋭3ピースピアノバンド Twitterドラマ主題歌で一気に全国区へ
亀田さんからは、音楽を楽しむという姿勢を改めて学んだ
──今作は亀田誠治さんがプロデュースを手がけていますが、亀田さんはどのようなかたちで制作に関わられたんですか?
杉本 この曲に関しては、すべてにおいて二人三脚という感じでしたね。実は最初、自分たちの持っている世界観とドラマの方々が考えるイメージが結構食い違う部分があって。それをうまく中間でつないでくれたのが亀田さんでした。亀田さんは僕らの世界観もちゃんとわかっててくれてて、それも残せるように、いい方向へ導いてくれたんですよね。
──亀田さんの制作スタイルで一番学んだことは?
杉本 やっぱり音楽を楽しむってことですかね。スタジオ作業はどんどん内に入っちゃうこともあるんですけど、亀田さんは場の空気をいつも盛り上げてくれて。今まで経験したことのない、ほんまに楽しい作業でしたね。
奥野 亀田さんは椅子に座ってるんじゃなくて(立ちあがって、指を鳴らしてノリノリの仕草)もうこんな感じなんですよ! 本当に音楽が好きな方なんだなっていうのも伝わってきましたね。
──河邉さんは、作詞の面でもタッグを組まれたんですよね。
河邉 はい。ドラマ側からのオーダーも僕が書きたいものも残しつつ、それをどこに着地させるかで、すごく助けてもらいました。
──とても21歳が書いたとは思えない大人っぽい歌詞だと思いました。
河邉 今回はより多くの人に聴いてもらえるということで、「わかりやすい言葉で、それでいて平易な曲にならないためにはどうしたらいいんだろう?」ということに気を配りました。でもそれはすごく難しくて、“わかりやすく深く伝わる表現”というのを悩んで悩んで生み出しましたね。
──サウンド面に関しては、今回初めて3人だけじゃない音も入れたということで。
杉本 はい。僕らはより良い曲になるためなら自分たち以外の新しい楽器を入れることにも抵抗はなくて。なので今回は、全体的にストリングスを入れてみたり、曲の軸となるパーカッションを入れてみたりしました。そこはスピード感を出す重要なポイントになっていると思いますね。
奥野 ベースも今までのWEAVERにはなかったリズムを取り入れてて。新しい面を出しつつ、なおかつベースの音が埋もれてしまわないようにと思って演奏しました。
杉本 そういう新しい挑戦も、早い段階から亀田さんが僕らの音楽をわかってくれていたので信頼してできたんです。精神的にもすごく支えてもらいましたね。
──カップリングの2曲「つよがりバンビ」と「旅立ちの唄」は、「Hard to say I love you ~言い出せなくて~」とはまた違うタイプの曲ですね。
杉本 そうなんです。でも、この2曲は今までのWEAVERの延長上にある曲というか。1曲目がだいぶ振り切れた仕上がりなので、この3曲を並べて聴くことで、今までの僕らを知っている人にも「やっぱりWEAVERやな」って思ってもらえると思います。
──逆に、ドラマから入って知った人にも3曲分のいろいろな面も知ってもらえそうですしね。
杉本 はい、そうなったらいいなと思います。
──皆さんはまだ上京してきたばかりとのことですが、「旅立ちの唄」は、まさにそんなタイミングで生まれた曲ですか?
杉本 そうですね。まさに上京する前の2月くらいに。今までは何かに対しての願望とか、みんなで明るく楽しく暮らせたらいいなっていうところから曲を作ることが多かったんですけど、これは本当に、今感じてる愛だったりを素直に表現したくて作りました。
「音楽で人を幸せにしたい」という気持ちは3人がずっと持っている
──今年の夏はライブやイベントの出演も目白押しですね。私、青空の下でピアノを弾いてる人って見たことがないんですけど、野外フェスのWEAVERのステージではそれが見られるのでしょうか。
杉本 あぁ、確かに野外でピアノってあんまり見ない光景ですよね。去年フェスに出たときはちょっと曇ってたんですけど、今年は青空の下で弾けたら気持ち良さそうだなって思ってます。
──それも含めて、今作のリリース後、下半期もますます忙しくなりそうですね。
奥野 今はこのシングルでWEAVERの新しい一歩を踏み出せたかなと思っていて。でも自分らでも見つけられてない可能性ってまだまだあると思うんですよ。そういうところをこれから広げて探求していきたいですね。
河邉 いろいろと挑戦していく中で迷うこともあると思うんですけど、どんなことがあってもブレないように、3人でやっていくっていうことを大事にしていきたいです。あとはやっぱりライブですね。ほんまに大事にしてるので、ぜひ観に来てください!
杉本 忘れたくないのは、例えばどんなに舞台が大きくなっても、一人ひとりに歌を届けるんだっていう気持ち。規模が大きくなるとつながりも薄くなってしまいがちですが、「音楽で人を幸せにしたい」という気持ちは3人がずっと持っていることなので。曲作りもライブも、一つひとつを大切にしながらこれからもやっていきたいですね。
CD収録曲
- Hard to say I love you ~言い出せなくて~
- つよがりバンビ
- 旅立ちの唄
- Hard to say I love you ~言い出せなくて~ (Instrumental)
- Piano Instrumental of the upcoming tune (Bonus Track) ※初回プレスのみ収録
WEAVER(うぃーばー)
杉本雄治(Vo,Pf)、奥野翔太(B)、河邉徹(Dr)の3人からなるピアノロックバンド。2004年に高校の同級生同士で結成され、2007年に現在の編成となる。神戸を中心に活動を展開し、ライブ会場限定で自主制作盤を発表。2009年3月には神戸VARIT.にて初ワンマンライブを敢行し、大成功を収める。同年8月には夏フェス「SUMMER SONIC 09」にも出演。10月にはA-Sketchより配信限定シングル「白朝夢」」でメジャーデビューを果たし、デビュー翌日にはflumpoolの日本武道館公演でフロントアクトを務めた。メンバーの卓越した演奏テクニックと、ピアノの音色が印象的なメロディアスな楽曲が魅力。2010年2月にはメジャー1stミニアルバム「Tapestry」をリリースし、その低価格(980円)を含め話題となった。