ナタリー PowerPush - THE WAYBARK

初期衝動を詰め込んだ これぞロックンロールバンドの1stアルバム

THE WAYBARK(ザ・ウェイバー)が1stアルバム「THE WAYBARK」をリリース。これを受けて、ナタリーでは中心人物のだいち69(Vo)=成田大致にインタビューを実施した。青森唯一のロックフェス「夏の魔物 - AOMORI ROCK FESTIVAL -」の主催者としても知られる彼のロック観、そしてTHE WAYBARKのバンドとしての成長を、このテキストから感じてもらいたい。

取材・文 / 大山卓也 インタビュー撮影 / 中西求

4人とも今できること全部をやりきった

成田大致

──アルバム「THE WAYBARK」聴かせてもらいました。ストレートな、いいロックアルバムですね。

良かった(笑)。去年自主制作で出したアルバムもあの時期なりのベストだったとは思うんですけど。今回はもっと4人の個性というか、この4人でしかできないTHE WAYBARKっていうものをちゃんと出せたかなって。ロックンロールバンドの基本になる「せーの!」での一発録りで、ライブの勢いや爆発力を、そのままCDにパッケージングできたと思います。

──で、今回“1stアルバム”と銘打ってますけど、これはなぜですか?

なぜってどういうことですか?

──いや、自主制作で1枚作ってるなら、これは2ndアルバムになるはずですよね。“1stアルバム“って言い切ってるのはなぜ?

ああ、やっぱいいとこ突いてきますね(笑)。あの、去年のはぶっちゃけデモの延長線上というか、録音状態も良くなかったし、やっぱりちゃんとした状態で録ったこれを1stアルバムって呼びたいんですよね。

──だからタイトルもズバリ「THE WAYBARK」にして?

はい、ロックンロールバンドの1stアルバムはやっぱセルフタイトルが定番だと思うんですよ。前回あえてそうしなかったっていうのはこれを見込んでたからなんです。次はちゃんとした環境でちゃんとしたアルバムを作りたいっていう思いがあって、前作はある意味そこへ向かっていくための1枚で。すごく悩んだんですけど「今はそのときじゃねえな」と思って、こないだのは「マイ・ジェネレイション」ってタイトルにしたんです。

──前作は、まだまだ途中経過だったということ?

ちょうど自分で曲を書き始めた時期だったし、今の4人になる前に作った曲が多いんで。やっぱこの4人で6年間くらいやってきて、そこを見せたいっていう気持ちが強かったから。

──じゃあ今回のアルバムの仕上がりには満足してますか?

今回は4人とも今できること全部をやりきったので、悔いはひとつもないですね。(プロレスラーの)橋本真也じゃないけど、「時は来た!」って感じです。

俺は“1stアルバム”が作りたかったんです

──今回オフィシャルサイトにも資料にも“1stアルバム”と書いてあって「2ndアルバムの間違いでしょ?」と思ってたんです。でも実際に音を聴いてみたら確かにすごく“1stアルバムっぽい”内容なんですよね。

そうなんです! 俺は“1stアルバム”が作りたかったんですよ。バンドの一番核になる部分をパッケージにしてるのが1stアルバムなはずなのに、前作ではそれができてなかったんで。「マイ・ジェネレイション」を録り終えて、ライブをやる中でそれが見えてきた。前作を作ってから、バンドが変わった気がします。

──具体的には何が変わりましたか?

姿勢、じゃないですかね。

──どんなふうに?

もっと俺の色を出していこうと決めたんですよ。俺が今まで聴いてきたアルバム、観たライブ、映画、マンガ、アニメ、特撮、プロレス、ゲーム……。自分が影響を受けたモノのエッセンスをぎっしり詰めたかったというか、俺の今までの人生すべてを反映させた作品が作りたくて。OASISの「俺は俺自身でいなきゃならない 他の誰かにはなれやしないんだから」って歌詞じゃないけど、俺自身とTHE WAYBARKをもっとリンクさせて、成田大致の色を強くしていきたいって思ったんです。

──これまでTHE WAYBARKのライブを観るたびに、すごく楽しそうにやってるバンドだなあと思ってたんです。コール&レスポンスをビシッとキメたり、フロアに降りてきたり。でも今思えば、そこに大致くん自身のメッセージはあまり入っていなかったということ?

そうなんですよね。フロア走り回ったりとか、ほふく前進したりとか、尋常じゃないくらいすごい高いところから飛んだりとか。いろいろやってたんですけど、なんかそういうの違うなと思えてきて。

──単なるパーティロックバンドではいられなくなったと。

そうですね。このアルバム録る前に全部セットリストも変えたし。イロモノ路線に走らないで、ちゃんとしたロックで勝負しようって。それまでは派手なパフォーマンスで「とにかく爪痕残してやろう」って思ってたけど、今はもっと、聴いてくれる人に1曲1曲をちゃんと届けたいんですよね。

1stアルバム「THE WAYBARK」 / 2011年9月7日発売 / 2500円(税込) / GARURU RECORDS / GRRC-30001

  • Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. さらばライトマン
  2. 太陽を忘れた男
  3. I don't know
  4. 笑えよマリー
  5. 恋の暴走列車
  6. ライムキャバレー
  7. ジュノ・サマー・ローラ
  8. 思い出のハイ・フィデリティ
  9. happy happy ~僕らの町の冬~
  10. アイデン&ティティ(69Ver.)
  11. ANGRY MAMA
  12. Rock to the Future
THE WAYBARK(うぇいばー)

2002年6月9日結成。だいち69(Vo)、Johnny(G, Vo)、おっくん(B)、ブラック斎藤(Dr)の4名からなるロックンロールバンド。「猪木イズムの継承者」「明るい青少年のロックンロールバンド」をキャッチフレーズに掲げ活動を続ける。2008年3月には毛皮のマリーズ、THE BOHEMIANS、Mr. Freddie & The Mercury devilと東北サーキットを決行。ボーカルのだいち69は青森唯一のロックフェス「AOMORI ROCK FESTIVAL 夏の魔物」を主催。THE WAYBARKも毎年出演を果たしている。2010年7月に自主制作アルバム「マイ・ジェネレイション」、2011年9月には1stアルバム「THE WAYBARK」をリリース。