ホリプロ初のボーイズグループ・WATWINGが9月22日にトイズファクトリーよりメジャーデビュー作品「Take off,」をリリースした。
2019年に行われたホリプロ主催のオーディション「Star Boys Audition」で結成されたWATWING。スラングで「何?」という意味の「WAT」と、「翼」を意味する「WING」を掛け合わせて付けられたグループ名には「誰に何を言われようと、自分達の想いを貫いて羽ばたいて行きたい」という思いが込められている。メジャーデビュー作にはそんな彼らの意思が宿った全5曲を収録。WATWINGの思いや物語を描いた楽曲であると同時に、勇気や希望に満ちたメッセージは多くのリスナーの背中を押すことだろう。
音楽ナタリーではWATWINGにインタビューを行い、グループのビジョンや信念に迫った。また特集の最後には、メンバーが1枚ずつセレクトしたインディーズ時代の思い出写真を掲載する。
取材・文 / 中川麻梨花撮影 / YURIE PEPE
メンバープロフィール
6人の始まり
──WATWINGは2019年に行われたホリプロ主催のオーディション「Star Boys Audition」で結成されたんですよね。
一同 そうです!
──このオーディションを受けようと思ったからには、音楽活動や芸能のお仕事に興味があったのだと思うんですが、それぞれどういう気持ちでこの世界に飛び込んだんでしょうか?
八村倫太郎 僕はダンスを始めるのが遅くて大学に入ってからなんですけど、それまでもずっと音楽が好きだったんです。特に洋楽が好きで、One Directionやジャスティン・ビーバーが大きな舞台に立って人を魅了している姿に憧れていました。大学のサークルでいざダンスを始めてみたら、すごく面白くて。でも、ダンスがうまい人も歌がうまい人もゴロゴロいるので、まさか自分がこれを仕事にできるとは到底思っていなかったです。芸能界に憧れがあったので、いろいろなオーディションを受けてはいたんですけど、そんな中で「Star Boys Audition」に出会って、選考が進んでいくにつれて「これはやるっきゃないな!」と覚悟を決めました。
──ライブやメジャーデビュー発表会見では、結成2年のグループとは思えないくらい八村さんのトークがとても上手で驚いたのですが、そのトークスキルはどういうところで身に付けたものなんですか?
八村 僕は目立ちたがり屋で、学生時代に“長”が付く役職を全部やってたんですよ。班長、応援団長、学級委員長……。
鈴木曉 すごい! 僕は絶対やりたくなかったなあ。
八村 (笑)。それで人前でしゃべるという経験が人よりも多かったんです。どうやってしゃべったら人が話を聞いてくれるのか、幼いながらに考えながらやっていたので、その経験は生かされているなと思います。ありがたいことにWATWINGでMCを任されて、ラジオのお仕事もいただけるようになりました。
鈴木 僕は単純に楽しいことを仕事にしたいなと思っていて。自分にとって、生きていく中で一番楽しいのが歌うことだったんですよね。
──鈴木さんはグループで髙橋さんとともにメインボーカルを担っていますが、歌うことが好きだというのはいつ頃自覚したんですか?
鈴木 小学生の頃ですかね。お母さんとお兄ちゃんと一緒によくカラオケに行ったり、車の中で音楽を流しながら歌ったりしてたんです。それがすごく楽しくて、これを仕事にしようと思って。それで高校を卒業してから上京して、バイトをしながら、ボイトレに通っていました。そんなときに「Star Boys Audition」があることをインターネットで知って。「世界に羽ばたく」というコンセプトが書いてあって、「応募してみよう!」と思ったんです。
──ダンス未経験で飛び込んだんですよね?
鈴木 そうなんです。でも、もともとボーイズグループは好きだったので、チャレンジしてみようと思いました。
古幡亮 僕は中学校の体育の授業で初めてダンスに触れて、面白いなと思って。それで、高校でダンス部に入ったんです。そんな中で、憧れのダンサーグループを見つけて……。
──どなたですか?
古幡 s**t kingzさんです!
鈴木 神だよね。
古幡 s**t kingzさんにダンスを習いたい、s**t kingzさんと仕事がしたいと思って上京して。大学に通いながらダンスをやっていたら、努力が実って、s**t kingzさんとついにつながることができたんです。そしたら、大学4年生のときに「Star Boys Audition」のダンスプロデュースをやっていたs**t kingzのNOPPOさんが「こういうオーディションがあるんだけど、興味ない?」と声をかけてくださって。僕はちょうどそのとき、就職のことを考えて何社かインターンに行っていたんですけど、やっぱりダンスを仕事にしたいなという気持ちがあって。人生一度きりだし、ダンスの魅力を世に広めるような活動をしたいと思って一歩踏み出しました。
──古幡さんにとってダンスの魅力はどういうところにあったんでしょうか?
古幡 ダンスを通して自分を表現できるというか、内なる感情をさらけ出せるところですかね。ダンスをやることによって、世の中に自分が存在していることを実感できるというか。今考えると、ダンスをずっと心の拠り所にしてやっていたような気はします。
桑山隆太 僕は中学2年生のときにK-POPの影響を受けて、ダンスを始めました。
──中学2年生の頃に聴いていたK-POPというと、どのグループになるんですか?
桑山 BTSですね。
──あっ、なるほど。桑山さんは今高校生なので、そんなに前の話ではないんでした(笑)。
桑山 そうなんです(笑)。BTSに影響を受けて、地元の友達とグループを作ってダンスカバーをずっとやっていました。地元のお祭りや小さなイベントに出演していて、そのときにグループでパフォーマンスをするのってすごく楽しいなと思ったんです。部活ではソフトテニスをやっていたんですけど、あまりにもダンスが楽しすぎて、本気でダンスをやりたいなと思って。中学3年生の頃には仕事にしたいと思うようになり、「まずは事務所に所属しないと」って自分で事務所を探し始めました。そんな中で「Star Boys Audition」の告知を見つけて、最初はLINEでの審査だったんですけど、自分で登録してオーディションを受けました。僕にとって、初めて自分で選んだものが“ダンス&ボーカル”だったんです。今までは親に「このスポーツやってみない?」と言われてやり始めることが多くて。
──オーディションを受けたのは初めてだったとのことですが、自信はありました?
桑山 いや、まったくなかったです(笑)。自分から行動するのは大事だなって、そこで思いました。
髙橋颯 僕は小さい頃に芸能界に入ったので、きっかけはあまり覚えてないんですけども……僕の家族は、お父さんもお母さんも弟も家で過ごすことが多かったんです。それで僕もなんとなくリビングでずっとテレビを観ていて。テレビに出ていた方々に憧れて、自然と芸能人になりたいと思っていたような気がします。実際に事務所に所属して、これまでいろんな活動をやってきて。このオーディションには当時お世話になっていた人に勧めてもらって参加したんですけど、今は単純にこのグループでこのメンバーと一緒に活動できているのがすごく楽しいです。
──やっぱりステージに立つのは好きですか?
髙橋 好きですね、はい。あっ……それです。ステージに立つのが好きだから、この仕事をやってます。それだ!
──ステージに立ったときの喜びって、どういうところに感じます?
髙橋 これは自分の中でもちょっとずつ変わってきていて、今言葉にするのがけっこう難しいんです。ちょうど昨日、ミュージカル「ジェイミー」の東京公演が終わったところで(取材は8月末に実施)。独りよがりでやるのは“表現”じゃないんだなと実感してきているというか……そういうふうに自分が変わっていくのも、またひとつの喜びですね。
福澤希空 僕は、もともとお兄ちゃんがダンスをやっていて。小学2年生のときにお兄ちゃんに「俺が考えた振り、一緒にやってみようよ」と誘われて、お兄ちゃんの周りにいる人たちと一緒に踊ったんです。そのときはお兄ちゃんが考えた振りを踊れなくて、悔しくてめっちゃ泣きました。でも、お兄ちゃんたちの踊ってる姿がカッコよくて、僕もダンスをちゃんとやりたいなと思って。ダンス未経験だったんですけど、きゃりーぱみゅぱみゅさんのミュージックビデオのバックダンサーのオーディションに応募してみたんです。そしたら通って、参加させてもらえることになって。
──そのあとも三浦大知さんやSuperflyさんのMVにも出演されていますよね。
福澤 そうなんです。それから、小学6年生のときに「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」に参加して。お母さんが勝手に動画を撮って応募したので、僕は最終審査までこのコンテストに参加していることを知らなかったんですけど……。
八村 えっ!?
桑山 新事実!(笑)
福澤 (笑)。そこでファイナリストになったことがきっかけで、ホリプロに所属しました。「ダンスをずっとやってきたので、ダンスを生かした仕事をやりたいです」と言っていたら、マネージャーさんから「こんなオーディションがあるよ」と勧められて、「Star Boys Audition」に参加したんです。
応援されるよりも応援したい
──それぞれバックグランドは違うようですが、この6人で集まって、通ずる思いやシンパシーを感じる部分はありますか?
八村 うーん、言葉にするのが難しいですね。でも、最初にこのグループを始めるにあたって「なぜこの活動をやるのか?」ということをそれぞれ考えて、会議で発表したんです。そしたら「応援されるよりも応援したい」という共通した思いがあることがわかって、それがグループのコンセプトにもなっていますね。
古幡 「自分たちのありのままの姿を出したい」という気持ちも共通していると思います。ありのままの姿でいることって、実は意外と難しかったりするんですよね。サウンド、リリック、音、どれも自分たちの「これが好きだ!」という気持ちに素直になってWATWINGの音楽を作っていきたいなと考えています。それは結成当初から今まで一貫してますね。
桑山 あと、僕たちには“東京ドーム”という目標があるよね。
鈴木 うん、そうだね。
──WATWINGは活動初期から「東京ドームに立ちたい」とずっと言い続けてきていますよね。
八村 はい。言い続けているうちに、その夢に対する思いもみんなの中でどんどん強くなっているなと感じます。最近はワンマンライブができるようになってきたし、会場もどんどん大きくなってきていて、来年はZeppツアーも控えている。この道がやがて東京ドームに続いていると信じています。
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