生音を知るための新編成
──ライブでは今年に入ってからメンバー編成を変更し、ボーカル、ギター、ベース、ドラムのスタンダードなバンドスタイルになりました。DJや打ち込みを除いた編成にしたのはなぜ?
活動初期はクラブでライブをやることが多くて、ほかのメンバーもDJだけだったんです。だから音に対しては、メンバーに任せている部分が多くて。でも、生音だからこそ生まれるグルーヴを感じ取る作業をやりたかったし、その感覚を覚えたかった。演奏のミスだったり、テンポの速さや遅さだったり、人間が醸し出すものがあるからこそ愛着が湧くだろうし。この感覚をしっかり極めてから、音を増やしていきたいと思って、デジタルなサウンドは一切排除したんです。
──実際に編成を変更してみて、いかがでしたか。
これまでは打ち込みに合わせていたから、決められた時間内でしか演奏できないっていう制約があったんです。でもバンドなら、そのときのテンションに合わせてアドリブを入れて、もっと長く演奏できる。その楽しさは新しい発見でした。自分も焦らないで冷静にパフォーマンスができたし、なんでもできそうな気分になりましたよね。その分、ライブの尺を守るのが難しいけど(笑)。
──現体制のライブでは楽器の数が少なくなった分、それぞれの音が際立った気がします。生音のグルーヴが強調されて、ライブならではの音作りになったというか。
まだまだ練習は足りないですけどね。徐々によくなっている感触はあるんで、もう少しライブの回数を重ねれば、いい感じになりそうです。
──ちなみに演奏メンバーはWATARUさんとギタリスト以外全員変更となりましたが、どのように決めたんでしょうか。
今回は改めてオーディションを行いました。せっかくお客さんが来てくれても、身体を揺らすことのできないライブじゃ意味がないし、自分も気持ちよく歌えなくなっちゃうから。ちゃんといい音を届けられるよう、こだわりたかったんです。
戦い続け、太陽のある方向に突き進むだけ
──アルバムリリース後にはTSUTAYA O-nestのワンマンが決定しています。
早くやりたいぐらいですよね。がんばってぶちかましたいです。開催が6月なので、夏の始まりをこのライブで感じてもらいたい。
──今後はさまざまなアーティストとの競演も増えると思います。WATARUさんが今、意識しているアーティストはいますか?
全然いないです。誰かと競うために音楽をやっているわけではないし、自分の思いを知ってもらいたい、というのが根本的な目的だから。あと、好きなアーティストに執着しすぎるのもよくないと思う。俺は小っちゃいときからミックスCDを作るのが好きだったんですけど、そういう音楽の聴き方が染み付いているから、アーティスト単位ではあんまり聴かないんです。中にはアーティスト名とか、曲名がわかんないのもあるし。誰の音楽かは意識しないで、楽曲自体からヒントを受け取っているんです。
──なるほど。では、これからの目標は?
とにかく太陽のある方向に突き進むだけです。難しいのは、楽曲を作り続けていくことだと思うんですよ。「作り続けよう」っていう気持ちがあっても行動に表さなければ意味がないし、何年か経ってみないとどうなるかわからない。できるかできないかは自分次第だから、俺はそれをちゃんとやっていきたい。そういう意味では、常に戦い続けることが目標なのかもしれないです。
- WATARU「太陽」
- 2017年4月26日発売 / OCEAN'S RECORD
-
[CD]
2300円 / OCS-1002
- 収録曲
-
- 本能
- Hey Girl
- 上を見よう
- 一番星
- 海に
- 愛してる
- My hometown
- I'm Alone
- かくれんぼ
- WATARU ONEMAN LIVE "Sunrise"
-
- 2017年6月24日(土)
東京都 TSUTAYA O-nest
- 2017年6月24日(土)
- WATARU(ワタル)
- 1989年東京生まれ。幼少時から空手やサーフィンなどのスポーツに親しみ、高校時代に音楽活動を開始。ハワイアンレゲエやヒップホップ、R&B、カントリーの影響を受け、千葉・外房でサーファーとしての活動を行いつつ、自身の音楽スタイル“アイランドミュージック”を確立する。2016年より都内を中心にライブ活動を積極的に行い、7月に1stミニアルバム「おしえて神様」を発表した。2017年4月26日には自身初のフルアルバム「太陽」をリリース。6月24日には東京・TSUTAYA O-nestでワンマンライブ「Sunrise」の開催を控えている。