音楽ナタリー Power Push - WATARU

これが俺の“アイランドミュージック”

千葉・外房でサーファーとしての活動を行いつつ、音楽制作を続けてきたシンガーソングライター・WATARU。今年からはライブ活動も積極的に実施し、7月20日には自身初のミニアルバム「おしえて神様」をリリースする。音楽ナタリーではミニアルバムの発売を記念し、WATARUへのインタビューをセッティング。音楽的ルーツをはじめ、各楽曲に込めたメッセージ、自身の音楽スタイルを表す“アイランドミュージック”とは何かなど、大いに語ってもらった。

取材・文 / 高橋拓也 撮影 / 後藤倫人

ボコボコにされて泣きながら練習

──プロフィールを見ると空手やサーフィンなど、さまざまなスポーツをされていたそうですね。

WATARU

小さい頃からよくやってました。幼稚園のときは体操教室に通ってて、5歳からは空手、小学校の頃は水泳も野球もやって。それから部活でバスケもやってたし。

──バリバリのスポーツマンですね。その中でも空手は特に長く続けていたそうで。

気付いたら道場に入れられていたんですけど、小学生の頃からは自主的にやってましたね。あと親父も熱心に教えてくれて、1年で1日休めるかどうかってレベルで稽古をつけられて。

──家でもトレーニングをしていたということですか?

そうです。学校から帰ってきてランドセルを下ろした瞬間から、親父が「道着に着替えろ」って(笑)。もう泣きながら着替えてました。

──それだけつらかったと。

いや、友達と遊べなくなるので。だから玄関にそっとランドセルを置いて、パッと遊びに行ってたんですよ。でもいつも近所の児童館か駄菓子屋にいたから、親父が自転車で迎えに来て、帰ってボコボコにされて泣きながら練習するっていう(笑)。その繰り返しでした。道場はある程度プログラムが決まってるんですけど、親父は別に空手の先生でもなんでもなかったんで自己流でした。家での稽古は毎日3、4時間ぐらいやってたかな。

──どんなメニューでした?

もうハンパないっすよ。ホースがあるじゃないですか? あれを40センチぐらいに切って2本用意して、俺が壁際に立たされるんです。で、親父が顔面に向かってホースを打ち付けてくるから、それを避けるっていう。普通蹴りを避ける練習ってデカめのミットでやるんですけど、ホースだとめっちゃしなるから腕で止めても絶対顔に当たっちゃって。もう泣きながら「こんなん避けられないよ!」って言うと、親父が「馬鹿野郎! 蹴りはしなるんだよ!」って怒鳴るんですよ(笑)。あと庭にあったテーブルを飛び蹴りで越えるとか、よくわかんないトレーニングをやってました。

──組み手も?

それもありました。いっつもぶっ飛ばされてて。最初は「なんで親父のことを殴らないといけないんだ?」って気持ちが強かったから、本気でスパーリングができなかったんです。でも親父はそれはダメだって言って、火をつけるためにまず俺をぶっ飛ばして「本気で来い!」って煽ってくるんですね。今だと納得できるけど、小さい頃だったらわかんないじゃないですか。相当キツかったです。

将来は「空手じゃねえな」

──その分成績もよかったそうですね。

WATARU

全日本大会だといつも上位に入ってたし、通ってた道場では日本代表の選抜選手をやってました。ただ高校に入ってからはやんちゃなこともしてたんで、今思えばもうちょっとがんばれたんじゃないかな。

──時期的にはどのぐらいまで空手をやってたんでしょう?

高校の頃まででした。特別きっかけがあったわけではなかったんですけど、空手に対する熱が薄れてきた時期があったんです。そのとき将来的に空手を続けていくべきか考えたんですけど、「これじゃねえな」って思って。

──けがなど肉体的なものではなかったと。

もちろんけがも絶えなかったんですけどね。でも空手をやってればそれは当たり前なんで。あとはグレてたとき、空手はいい子が通うものだと思っていたから隠したかったし。それで空手を辞めてから音楽の道に進んでいったんです。

おしえて神様、真夏のライブ3本勝負!

2016年7月21日(木)東京都 GARRET udagawa
<出演者>
WATARU / アツヤキブルー / P*ROCK / セットラウンドリー
2016年8月16日(火)東京都 GARRET udagawa
<出演者>
WATARU / キャラメルパンチ / FRUITSEXPLOSION / RICHARDSON ZILLIS / tape me wonder
2016年8月17日(水)東京都 下北沢CLUB251
<出演者>
WATARU / 真田暎人 / sWan / and more
WATARU(ワタル)
WATARU

1989年東京生まれ。幼少時から空手やサーフィンなどのスポーツに親しみ、高校時代に音楽活動を開始。ハワイアンレゲエやヒップホップ、R&B、カントリーの影響を受け、千葉・外房でサーファーとしての活動を行いつつ、自身の音楽スタイル“アイランドミュージック”を確立する。2016年より都内を中心にライブ活動を積極的に行い、6月には大阪・東京で無料招待制のワンマンライブを実施。7月に自身初の全国流通盤にあたるミニアルバム「おしえて神様」をリリースした。