MONGOL800×WANIMAインタビュー|愛の詰まった再タッグ作「愛彌々2」

MONGOL800とWANIMAのスプリット音源「愛彌々2」(アイヤイヤツー)が9月25日にCDおよび配信でリリースされた。

2組がタッグを組むのは2022年6月にリリースされたスプリット音源「愛彌々」以来。「愛彌々2」にはコラボ楽曲「ラズリ」「Summertime Blue」、それぞれへの書き下ろし提供曲「honne」「かなさんどー」、The BK Soundがリミックスを手がけた「愛彌々 -Ready fi Ready-」の計5曲が収録されている。前作と同様に郷土愛やお互いのバンドへの愛にあふれた1枚だ。

本作のリリースを記念して、音楽ナタリーではMONGOL800とWANIMAにインタビュー。「愛彌々2」の制作エピソードやMONGOL800も出演したWANIMA主催フェス「WANIMA presents 1CHANCE FESTIVAL 2024」の思い出などを聞いた。

取材・文 / 酒匂里奈

沖縄でのレコーディングは鳴りが違う

──「愛彌々」の発売から約2年半を経て、MONGOL800とWANIMAが再びタッグを組むことになりました。もう一度スプリット作品を作ろうという話はいつ頃から考えていたんですか?

KENTA(Vo, B / WANIMA) 僕個人としては「愛彌々」を出したときから、もう「愛彌々2」を作りたいと思ってました。

キヨサク(B, Vo / MONGOL800) スプリット作品で2年半ってなかなかのペースよね。だって「ワンチャンフェス」もやって、ツアーもやりながらでしょ? 順調すぎるくらいのスパンじゃないですかね。

KENTA そうですね。レコーディングするまではどうなるやろうと思ってたけど、いざスタジオに入ったらすぐに終わって、みんなさすがやなと思いました。やっぱり「愛彌々」を経てるから。

キヨサク ね。「愛彌々」のときは手探りな部分もあったけど、今回はデモのブラッシュアップも前回より早く終わったんじゃないかな。

「WANIMA presents 1CHANCE FESTIVAL 2024」よりMONGOL800×WANIMAのパフォーマンスの様子。(Photo by Yukihide "JON..." Takimoto)

「WANIMA presents 1CHANCE FESTIVAL 2024」よりMONGOL800×WANIMAのパフォーマンスの様子。(Photo by Yukihide "JON..." Takimoto)

──実際に制作を始めたのはいつ頃から?

キヨサク 去年くらいから構想を練っていて、現実的なスケジュールが見えてきたのは今年に入ってからだったかな。「島ツアー」(7月から8月にかけて行われた、MONGOL800が南西諸島の島々を巡るツアー「MONGOL800 tropical tour 2024 ~モンパチがやってくる イヤァ!サァ!サァ!~」)の途中で歌入れをしていました。

FUJI(Dr, Cho / WANIMA) しっかり動き始めたのは「LAST PARADISE TOUR」(2023年12月から2024年3月まで行われたMONGOL800のホールツアー「MONGOL800 25th LAST PARADISE TOUR 2023-2024」)が終わってからですかね。

──なるほど。前作に続いて、「愛彌々2」も郷土愛やお互いのバンドへの思いなど、愛にあふれた素敵な作品だなと感じましたが、レコーディングはいかがでしたか?

キヨサク WANIMAは特に楽しめたんじゃない? 沖縄でやれたので。

KENTA 1週間以上沖縄に行かせていただいて。

キヨサク 沖縄の空気感の中でRECできたのは、「愛彌々」と大きく違うところかもしれないですね。

KENTA ひと言で言うと最高でした。初めて1週間以上沖縄でゆっくりできたし。

高里悟(Dr / MONGOL800) 体重増えた?

KENTA 増えた!

キヨサク エンダー(沖縄で展開されているファストフード店・A&W)のアレ、ずっと飲んでたじゃん。

KENTA ルートビア、多いときは1日で8本飲んどった。

高里 糖分ヤバすぎでしょ(笑)。

KENTA めちゃめちゃハマりまくって(笑)。いろんな意味で沖縄にハマりまくりました。モンパチのお二人がおったから、より沖縄を深く知ることができたなと。

FUJI キヨサクさんとサッシさん(高里)がたくさんおもてなししてくれるんです。フライドチキンといなり寿司を差し入れしていただいたり。沖縄の方は一緒に食べるんですよね。

キヨサク そうそう。軽食でフライドチキンといなりを食べる文化があって。その2つだけを売ってる店とかもあるんですよ。

KO-SHIN(G, Cho / WANIMA) レコーディングの話で言うと、沖縄でやってみて、WANIMAの曲も沖縄で録ったら音が変わりそうだなと思いました。ギターの音を録ったときのエンジニアさんは東京から来られた方だったんですけど、その方も自然とゆっくり、沖縄タイムになっていたというか。

KENTA なってないです(笑)。エンジニアさんが言っていたのは、「湿度が違うから鳴りが違う。同じ日本でも東京と沖縄でこれだけ違うんだね」って。そういうことを言いたかったんだと思います。

KO-SHIN そうですね。はい(笑)。

MONGOL800×WANIMA(Photo by Tetsuo Kashiwada)

MONGOL800×WANIMA(Photo by Tetsuo Kashiwada)

──沖縄ではどの曲のレコーディングをされたんですか?

キヨサク 「ラズリ」と「Summertime Blue」のベーシックを録りました。

高里 振り返ってみると、スムーズに、そして楽しくできましたね。FUJIくんがドラムの先生になってくれて。

FUJI 1回俺が覚えてサッシさんに教えるという形で進めたんです。

高里 勉強になりました(笑)。あとはWANIMA側のエンジニアさんが録り方を工夫してくれて。

FUJI 2階からドラムの音を録ったり、マイクを壁に向けて録ったり。それで音の鳴りが変わりました。

KENTA あとドラムに関しては、イヤフォンやヘッドフォンで聴くと右がFUJIくん、左がサッシさんのドラムの音が聴こえるんです。

高里 ということは……右だけで聴いたら俺のドラムは聴こえない?

FUJI うっすら聴こえると思います。そんなにゴリゴリ振ってないので(笑)。

KENTA そこも楽しんでほしいですね。

高里 右FUJI左サッシ。

沖縄の空気感が表現された「ラズリ」

──「ラズリ」は沖縄に関連するワードがふんだんに盛り込まれた、郷土愛にあふれた楽曲です。作詞作曲はKENTAさん名義ですが、どのように作っていったのでしょうか?

KENTA キヨサクさんの声の倍音やサッシさんのドラミングについて、音楽業界で僕の右に出るものはいないってくらい研究してるので、「キヨサクさんが歌うんやったら」「サッシさんが叩くんやったら」とイメージしながら作りました。モンパチに出会ったことで、沖縄について自分から学びに行ったし、沖縄の空気感を肌で感じることができたので、それが曲にも表れていると思います。

キヨサク 俺らは沖縄で生まれ育っている分、沖縄っぽい言葉を自分たちからは狙って出さなかったり、避けていたりするんですけど、この曲では自然に歌えて。最初にデモを聴いたときに、KENTAが沖縄を研究して書いた歌詞だから、そこは変えないほうがいいなと感じましたね。WANIMAが見た沖縄の景色が表現されていると思ったので。ワニパチの作品のリード曲として、こんなに沖縄に寄っていいのかなと、最初聴いたときはびっくりもしましたけど(笑)。

──KENTAさんは沖縄に寄った歌詞でいこうと、もともと思っていたんですか?

KENTA 最初から寄っていこうとは思っていなくて。実はこれまで沖縄に行くと、体調が悪くなることが多かったんですよ。でもキヨサクさんが住んでいるエリアに行ったときにすごく体調がよくなったというか、今までに感じたことのない沖縄を感じることができたんです。そのときに「自分のルーツはここにあったのかも」と思えて。

──実際に沖縄に足を運んで、そこで吸収したものが自然と曲になったという。

KENTA そうですね。

キヨサク もともとWANIMAも海や島にルーツがあるバンドだし、それが沖縄とリンクしてる部分もあるから、自然っちゃ自然なんですよね。こういうふうに沖縄のことを歌っていても。

──そしてこの曲は今年の「ワンチャンフェス」で初披露されました。

「WANIMA presents 1CHANCE FESTIVAL 2024」よりMONGOL800×WANIMAのパフォーマンスの様子。(Photo by Yukihide "JON..." Takimoto)

「WANIMA presents 1CHANCE FESTIVAL 2024」よりMONGOL800×WANIMAのパフォーマンスの様子。(Photo by Yukihide "JON..." Takimoto)

KO-SHIN ライブでやるのは初めてのはずなのに、お客さんたちが初めてじゃないかのような聴き方、楽しみ方をしてくれていたのが印象に残っています。一度聴いただけでも、体に染み込むような曲なんだなとうれしく思いました。

キヨサク いい意味でドキドキしました。前々日にリハで1、2回通しただけだったので。何年もやってる慣れたバンドだとなかなか出ない初々しい感じが出たんじゃないかな。