この歌をお守りに
──ここからはシングルの話を聞かせてください。まず1曲目「CHARM」はどうやってできたんでしょうか?
KENTA 僕が上京して10年、FUJIくんは12年、KO-SHINは8年経つんですけど、進学や就職で上京して新しいところでがんばる人、また、新しいところへ旅立つ人を見送る人の背中を押したくて。そういう人にこの歌をお守りにしてほしくて作った曲です。でも新生活だけではなくて、毎年毎年「ああ、変わらんなあ」と思ってる人たちにも……聴いた人全員にとってこの歌がお守りになればいいなと思って。
──どうして「お守り」というモチーフを?
KENTA ツアーで全国回って、子供から僕らより歳上の人までいろんな人と話したり、手紙をいただいたりしたんですけど、毎日寄り添っているのは僕らやなくて、僕らの曲なんだなって改めて思ったんです。直接会えたときには「がんばれ」って言ったり、「ああ、そうなんや、そうなんや」って話を聞いたりできるけど、それ以外のときは曲でしか応援ができないので。だから僕らの歌をお守りみたいに持っていてもらえたらいいなと思いました。あといろんなところで僕らが戦ってる姿を見て聴いていただいて「俺も、私もがんばろう」って感じてもらえたら。
──この曲には故郷の温かさや家族のぬくもりみたいなものも感じられました。皆さんにとってふるさとや家族とはどういう存在なんですか?
KENTA そうですね……僕は自分たちが育った町が嫌いやったんですよ。人口は3000人ぐらいで、何もない町で「早くこの町を出たい」と思って、東京に飛び出したところがあったんです。でも曲を作ってるとき、自然と地元の町の風景とかが思い浮かぶことに気付いて。「凹んだ心膨らみだして」って歌詞に書いたんですけど、地元に帰ったり、地元のことを思い出したりすると、凹んだ感情が膨らむ感じがするんです。
──熊本にはちょくちょく帰っているんですか?
KENTA ライブとか取材とか……あと地震のあとに。熊本戻ると「がんばらないかん」という気持ちにもなるんですよ。あれだけの地震があったのに、地元の方たち、友達や親しい人は「心配せんで、WANIMAはいろんな人に歌を届けて来んば!」って言うてくれたんです。やから「僕らはしっかり歌で応援したい」って。
──皆さんにとって故郷は心休まる場所であると同時に、自分たちを鼓舞してくれる存在でもあるんですね。KO-SHINさん、FUJIさんの熊本や家族への思いも教えてください。
KO-SHIN 僕は故郷が好きです。つまずいたときには、やっぱりじいちゃん、ばあちゃんや弟の顔が浮かびます。「家族を支えるために(東京に)出てきたのに、こんなことでくじけてどうするんやろう」っていう心のバネみたいなものになっています。
FUJI 今自分は30歳で、熊本には18年間いたので、人生の半分以上を過ごしてるんですよね。だから故郷は自分の体の一部みたいな感じです。熊本が嫌で東京に出てきたんですけど、帰れる場所があるから、東京でがんばることができているのかもしれないなと思うようになりました。
──WANIMAの皆さんにとっての故郷のように、聴いている人が凹んだときに思い出す存在や鼓舞してくれる存在がWANIMAになったらいいなという思いもあるのかなと思いました。
KENTA そうですね。WANIMAのライブだったり、WANIMAの音楽はそういうものであってほしいですね。やからライブしてるし、みんなに会いに全国各地に行ってるんだと思います。
カッコよさを追求した「ララバイ」
──2曲目に収録されている「ララバイ」はタウンワークのCMに使用されている曲です(参照:WANIMAの曲に松本人志が歌詞提案、4人でスタジオ入り / WANIMAに松本人志がさらなる提案「大丈夫だって、歌唱力あるんだから」)。
KENTA この曲は「カッコいいってなんだろう」って3人で考えて作りました。ギターのフレーズ、ドラムの疾走感、早口の歌詞だったりサビの跳ねてる感じとか、曲を作りながら「グッとくるかどうか」「感じれるか感じれないか」を判断していきました。
──これまでもカッコよさは求めてきたと思うんですが、改めて「カッコいいってなんだろう」を追求したのはなぜですか?
KENTA テレビに出させてもらったり、いろんなイベントに出させてもらって、いろんなジャンルの人たちと関わっていく中で、改めてバンドのシンプルさみたいなものがカッコいいなって思ったんです。バンドってヨカよねー!
──さりげなくエロ要素が散りばめられているだけでなくて、発音としては一緒だけど1番と2番で意味が違うなど、歌詞も面白いですね。
KENTA そうですね。メロディと歌詞はすごい悩みました。でもこれからフェスシーズンですし、みんなで歌いたいなと思ったので、サビは「WOWOW」「YEAH」にしました。その光景を想像しただけで興奮してきた!
“みんなの歌”になりたい
──3曲目は「これだけは」です。
KENTA 「JUICE UP!!」では最後に作った曲が4曲目の「For You」やったんですけど、今回も「これだけは」が最後にできて。「For You」と同じく「これだけは伝えたい」ということを歌詞にしました。
──「CHARM」と「これだけは」は全体的にテンポも遅めで、普段パンクバンドの音楽を聴かない人にも聴きやすいんじゃないかなと思いました。
KENTA そういうわかりやすさはすごく追求しました。僕たちは「パンクだ!」「ロックだ!」とかそういうことは個々に感じるモノだと思うので意識はしないようにしていますが、とにかくたくさんの人に歌を届けて、“みんなの歌”にしたい、1人ひとりのそれぞれの歌に。
──それで言うと、auのCMソングとして突如発表された「やってみよう」もたくさんの人に届いたんじゃないですか?
KENTA そうですね!
──あの曲は歌詞を“三太郎シリーズ”CMの楽曲を手がけた篠原誠さんが付けて、WANIMAはアレンジと演奏、歌唱を担当してるんですよね。自分たちが作った曲ではないというのはカバー以外では初めてだったかと思いますが、どうでした?
KENTA 歌詞をいただいてメロディを付けるというのは初めてだったので、けっこう悩んだんですけど、やってよかったなって思いました。WANIMA節も入れられたし、いいバランスになりました。担当のスタッフさんたちもいい方でよかったです。
──今後の曲作りにも影響ありそうですか?
KENTA はい、今回の経験はかなり生きてくると思います。貴重な経験をBIGUP!
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ずーっと不安ですよ
- WANIMA「Gotta Go!!」
- 2017年5月17日発売 / unBORDE
-
[CD]
1296円 / WPCL-12663
- 収録曲
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- CHARM
- ララバイ
- これだけは
- WANIMA「JUICE UP!! TOUR FINAL」
- 2017年6月28日発売 / unBORDE
-
[Blu-ray Disc]
4860円 / WPXL-90160 -
[DVD2枚組]
4320円 / WPBL-90438~9
- 収録内容
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- Hey Lady
- 雨あがり
- つづくもの
- Japanese Pride
- 1CHANCE
- エル
- 昨日の歌
- 夏の面影
- BIG UP
- 切手のないおくりもの
- SLOW
- 終わりのはじまり
- ともに
- リベンジ
- Hey yo...
- 1106
- オドルヨル
- いいから
- THANX
- For you
- JUICE UP!! TOURドキュメンタリー映像
- uP!!!NEXT WANIMA~Gotta Go!! Release Party~
- 2017年6月3日(土)
東京都 潮風公園 太陽の広場特設ステージ
- WANIMA(ワニマ)
- 熊本出身のKENTA(Vo, B)、KO-SHIN(G, Cho)を中心に2010年初夏に結成されたロックバンド。2012年12月に同じく熊本出身のFUJI(Dr, Cho)が加入し、現在の編成となる。2014年にPIZZA OF DEATHとマネジメント契約。同年10月に同レーベルよりリリースした1stミニアルバム「Can Not Behave!!」はロングセラーを記録している。2015年には「SATANIC CARNIVAL」「京都大作戦2015 ~いっ祭 がっ祭 感じな祭!~」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」といった各地のフェスやイベントに多数出演。同年8月に4曲入りCD「Think That…」、11月に初のフルアルバム「Are You Coming?」をリリースした。2016年2月に「SPACE SHOWER MUSIC AWARDS」にて「BEST BREAKTHROUGH ARTIST」を、3月に「第8回CDショップ大賞2016」にて「Are You Coming?」で準大賞を受賞。同年8月、ニベア花王「8×4 ボディフレッシュ」のCMソング「ともに」と「カーセンサー」のCMソング「切手のないおくりもの」を収めたシングル「JUICE UP!!」をリリースした。2017年3月、「JUICE UP!!」のレコ発ツアーの最終公演として、初めてのワンマンライブを埼玉・さいたまスーパーアリーナにて開催。2万人のキャパシティに10万通の応募が集まった。同年5月に求人メディア「タウンワーク」のCMソング「ララバイ」を含むニューシングル「Gotta Go!!」をunBORDEから発売した。