音楽ナタリー PowerPush - WANIMA
気鋭メロディックパンクバンドが名門レーベルで新たなシーンを築く
3人の共通項としてハイスタがあった
──この3人がそろった時点で、現在のメロディックパンクを軸にしたスタイルは完成していたんですか?
西田 そうですね。
松本 ……光真、メロディックパンクやりたいと思った?
西田 うん。
松本 へえ。
──えっ、松本さんはそう思ってなかった?
松本 いや、ジャンルのことはあんまり考えてなかったんで。
──じゃあメロディックパンクに対して、そこまでこだわりはなかったと。
松本 あんまなかったですね。光真はメロディックパンクが一番好きだけど、僕と藤くんはそれ以外にもいろいろ聴いてたので。
──でもいろいろ聴いてきた中で、出てくるのがこの音というのは何かあるわけですよね。
松本 あるんですかねえ……。
藤原 やっぱり共通項としてハイスタがあるからじゃないですかね。
──皆さんにとってハイスタの存在は大きかったと。
藤原 大きかったよね。
──でも皆さんがハイスタを聴き始めた頃って、すでに活動休止してた時期ですよね?
松本 そうです。「AIR JAM」も行ってなかったし。
藤原 自分が小学生くらいのときはまだ活動していて、ちょうど中学に上がるくらいのときに「MAKING THE ROAD」(1999年にリリースされたHi-STANDARDのアルバム)が出たんで。だからライブは観たことないですね。完全に後追いです。
──1990年代後半から2000年代前半までと比べると、今はメロディックパンクシーンってそんなに大きくないですよね。そんな中でWANIMAの楽曲がお客さんにどう響いてるのか、皆さんはどのように捉えてますか?
松本 俺らは日本語詞なんで、わりとわかりやすいというのはあると思うんですよ。あと、俺らのライブは特に決めごともなく、初見のお客さんとも一緒に盛り上がれると思うし……実際、初見のお客さんとどれだけ仲良くなれるかというのはすごく気にしてるので、そういうところがお客さんに響いてるのかもしれないですね。
──僕はWANIMAのライブを観たとき、どこか往年のメロディックパンクシーンを感じさせる懐かしさがありつつ、「そうそう、最近足りてなかったのって、これだよね!」というかゆいところに手が届く感じもあって、思わずニンマリしてしまったんですよ。
西田・藤原 うれしい!
松本 そう言っていただけるのは素直にうれしいですね。
2人が「もう1回バンドやりてえ」と思わせてくれた
──今回、憧れだったハイスタの横山健さんが社長のPIZZA OF DEATHとマネジメント契約をして、しかもそこから自分たちの作品が出ることに対しては、皆さん思いますか?
西田 正直この話が来たときは全然実感がなくて。事務所に行ってみんなで話したときですら実感がなくて、こういう取材を受けるようになってやっと、「今、すごいところにいるんだな」っていうことを少しずつ感じられるようになりました。
松本 PIZZAの人たちはライブにもよく来てくれてたんですけど、ぶっちゃけマネジメント契約って言われてもピンと来なかったよね。俺、最初は誰がPIZZAの人か知らなくて、打ち上げで隣に座ったときもずっとポテトチップスを潰してましたからね(笑)。
──(笑)。
松本 「なんで打ち上げで隣にお客さんが座って、ずっと俺に話しかけるんだろう?」って思ってたら、最後に名刺を渡されて。しかもその名刺を失くすっていう(笑)。でも事務所に遊びに行かせてもらったり健さんと一緒にツアーを回らせてもらったりして、スタッフの人と意識を共有できたから、今こうやって一緒に仕事することができてるんだと思います。
──これまでにもライブ会場で手売りしていたデモ音源は何作かありましたが、全国流通盤は今回リリースするミニアルバム「Can Not Behaved!!」が初めてですよね。
藤原 ってことは、日本中どこでも手に入るわけですよね……今まではなかなかWANIMAのことに気付いてもらえてなかったんで、地道に活動していくしかなかったんですけど、こうやってメディアに出させてもらえるようになるっていうのは、やっぱりそれまでとは大きく違いますね。
──地道に続けていく中で、モチベーションを保つために皆さんの中で何が原動力になっていたんでしょうか?
松本 俺はやっぱり光真を自衛隊辞めさせて東京に引っ張ってきてるんで、中途半端には地元に帰れないっていう気持ちが大きかったですね。
藤原 俺はWANIMAに入るまでいろんなバンドを経験したんですけど、どれもことごとくダメだったんで、もうバンドを辞めよう、実家に帰って就職しようと思ってたんです。そんなときに2人に出会ってライブを観て衝撃を受けて、「もう1回バンドやりてえ」と思わせてくれた。そういう意味ではこの2人が俺の原動力かもしれないですね。
──それぞれにそういう熱い思いを胸に秘めてたからこそ、ここまで続けてこれたわけですね。
全員 そうですね。
藤原 濃厚な2年でした。
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- 1stミニアルバム「Can Not Behaved!!」2014年10月22日発売 / 1728円 / PIZZA OF DEATH RECORDS / PZCA-69 / Amazon.co.jp
- 「Can Not Behaved!!」
収録曲
- Hey Lady
- 雨あがり
- 昨日の歌
- BIG UP
- つづくもの
- HOME
- 1106
WANIMA(ワニマ)
熊本出身の松本健太(Vo, B)、西田光真(G, Cho)を中心に2010年初夏に結成されたメロディックパンクバンド。2012年12月に同じく熊本出身の藤原弘樹(Dr, Cho)が加入し、現在の編成となる。Ken YokoyamaやHOTSQUALL、FOUR GET ME A NOTSなどさまざまなバンドのツアーに参加し、各地で知名度を高める。これまでに制作したデモ作品3枚は、現在までに手売りで4000枚を突破。2014年にPIZZA OF DEATHが、レーベルとして初めてマネジメント契約をしたことを発表。同年10月、同レーベルより1stミニアルバム「Can Not Behaved!!」をリリースした。