モモコグミカンパニー(BiSH)、ネオ・トゥリーズ(BiS)、NOW EMPiRE(EMPiRE)、ミユキエンジェル(豆柴の大群)、ヤママチミキ(GO TO THE BEDS)、ナルハワールド(PARADISES)、サアヤイト(WAgg)、ユメカ・ナウカナ?がコロナ禍の2020年を振り返るWACK座談会2021&所属37名の直筆メッセージ

BiSH、BiS、EMPiRE、豆柴の大群、GO TO THE BEDS、PARADISES、WAggらが在籍する音楽事務所WACKにとって、2020年は試練の年だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、各アーティストはライブや事務所主催によるツアー、特典会などの中止を余儀なくされ、ファンと直接交流できる機会を奪われる。そんな中でも無観客ライブやオンラインイベントを企画し、9月以降各グループは一部公演の中止や延期がありつつも、徐々に有観客ライブでファンとの再会を果たした。

音楽ナタリーでは2度目の緊急事態宣言が出される直前、WACKメンバーによる座談会を実施。BiSHのモモコグミカンパニー、BiSのネオ・トゥリーズ、EMPiREのNOW EMPiRE、豆柴の大群のミユキエンジェル、GO TO THE BEDSのヤママチミキ、PARADISESのナルハワールド、WAggのサアヤイト、そして元CARRY LOOSEユメカ・ナウカナ?を迎え、1年を振り返ってもらった。また特集の後半にはWACK在籍37名の直筆メッセージを掲載する。

取材・文 / 田中和宏 撮影 / 中野修也

WACK座談会2021

キャプション

左からモモコグミカンパニー(BiSH)、ネオ・トゥリーズ(BiS)、ヤママチミキ(GO TO THE BEDS)、ミユキエンジェル(豆柴の大群)、NOW EMPiRE(EMPiRE)、ナルハワールド(PARADISES)、サアヤイト(WAgg)、ユメカ・ナウカナ?。

それぞれの2020年を振り返る

──今年で3回目になるWACK座談会なんですが、それぞれの1年を振り返っていただきたいと思います。2020年は大変な年になりましたね。

モモコグミカンパニー(BiSH) BiSHは昨年12月24日に332日ぶりの有観客ライブをしました(参照:BiSH再起動!聖夜の代々木ワンマンで332日ぶりに清掃員と再会)。普段からお客さんがいてこそのライブだとわかってたつもりでしたけど、無観客ライブでは心から笑えない自分がいて。やっぱりBiSHのライブは清掃員(BiSHファンの呼称)がいないと完全には成立しないんだ、と痛いぐらいに感じた1年でした。見てくれている人がいたからちゃんと笑えていたんだなとか、当たり前のことに気付けた年でした。

ネオ・トゥリーズ(BiS)

ネオ・トゥリーズ(BiS) コロナの話題に引っ張られがちだとは思うんですけど、実際はそれよりも印象に残る出来事が自分の中ではたくさんあった、すごく濃い1年でした。でも、いつも応援してくれているたくさんの人たちの悲しみに触れる1年でもあったので、悔しさもあります。私たち3期BiSは結成からコロナ禍になるまでの活動期間よりも長い期間、研究員(BiSファンの呼称)に会えなかったので、その分、研究員のことを考える時間が増えました。あと自粛期間中に気持ちがすごく落ちたこともあったんですが、メンバーと話し合う時間も以前より多くなりました。2020年は「CURTAiN CALL」のミュージックビデオ撮影を5時間ノンストップでしたり、プロモーションで選挙カーに乗って渋谷を回ったり、クレーンゲームの景品で新曲を発表したりとか、楽しいことを常に発信しようとしてました。そういうときにコロナのことを考えると気持ちが落ちていっちゃうので、常に楽しい気持ちでいたいっていうのがすごく強くあったのも確かです。あと12月の年納めライブを渋公(LINE CUBE SHIBUYA)でやったんですけど、ライブが終わったあと次にいつ研究員に会えるかわからない状況でもあって(参照:BiS感情爆発の2020年ラストライブ終幕、新ツアー「KiLLiNG IDOLS TOUR」開催を発表)。1月から「KiLLING IDOLS TOUR」があるんですけど、状況によってはできなくなるかもしれない。お客さんのことしか考えてないから、会えなくなるのは嫌だなって。でももしそうなったら、悲しいけどそれはそういう運命なのかな、とも思ってます。

NOW EMPiRE(EMPiRE)

NOW EMPiRE(EMPiRE) EMPiREはこれまでスタッフさんに 「いいライブができたね」と言ってもらえることが少なくて、「何かが足りない」と言われ続けてたんです。コロナ禍でライブができない、エージェント(EMPiREファンの呼称)に会えない期間が続いて、秋に有観客ツアー「ERROR ERROR ERROR TOUR」でステージに立った瞬間、6人それぞれが「楽しい!」って気持ちを素直にぶつけることができました。メンバー全員、「私たちにはこういう気持ちが足りなかったんだね」とやっと手応えを感じて。コロナ禍でデメリットもたくさんあった中で、気付けたことがたくさんあってよかったと思える1年になりました。

──国際フォーラムでのライブは全39曲を披露するというタフな内容でしたが、メンバー同士が信頼し合っていることがパフォーマンスからも伺えました(参照:EMPiRE、39曲披露で限界突破!3時間におよぶノンストップライブで2021年幕開け)。

NOW ライブの前、ひと通り練習したあとにMAYUちゃんが声を枯らしちゃったんです。でも全曲やるからには誰かが倒れてもおかしくないし、誰かが声を潰してもおかしくないから、そういうときに自分がいつでもカバーできる体制を整えてました。ライブ後にMiDORiKOちゃんが「メンバーとの距離が近くなった気がした」って言っていて、私も心からそう感じた国際フォーラム公演でした。

ミユキエンジェル(豆柴の大群) 豆柴の大群はデビューしてからすぐにコロナ禍のご時世になってしまったので、ライブができない時期が長かったです。でも10月にやっとワンマンライブ(東京・昭和女子大学人見記念講堂で開催された「豆柴の大群のりりスタート」)ができて、そのあとに「実力をしっかりとつけるツアー」があって、結成から時間が経って、やっとライブの楽しさを知れたという感じです。「こんなに大勢の人が観てくれるんだ」とステージに立って驚いたし、お客さんは声を出せない中で一緒に踊ってくれたりして、一体感を感じられて楽しかったです。あと初ワンマンの前、メジャーデビュー直後には東京ドームで運動会をやったんですけど、東京ドームは大きかったですね(笑)。人数を絞って、数百人のお客さんが応援しに来てくれて、スタンドにいる豆粒(豆柴の大群ファンの呼称)が本当にちっちゃく見えました。いつかはライブで東京ドームに立てるように実力を身に着けたいです。

ナルハワールド(PARADISES)

ナルハワールド(PARADISES) 2020年は一番変化のあった年でした。まずGANG PARADEが2つに分かれて、PARADISESっていう新しいグループができました。そしてキラ・メイちゃんが新メンバーとしてPARADISESに入ったのも2020年。私が山田なる名義で個人での活動を始めたのも2020年でした。コロナ禍でなかなかうまくいかない年ではあったんですけど、その中でも何かを発信したり伝えたりできるのはライブだけじゃないんだなと感じた1年でもありました。あとWAggメンバーがPARADISES昇格を目指すオーディション企画「PARADISESの素晴らしき未来」ではサアヤイトとペア(ナルハがトレーナー役)になって。私は人に何かを教える立場になったのが初めてで、その経験がいろいろ考えるきっかけにもなりました。このオーディションではサアヤイトががんばってくれたこと、PARADISESに入るためにどうしたらいいかを前向きに考えてくれていたことがすごくうれしかったです(参照:PARADISESにウタウウタ昇格!WAggにYUiNA EMPiRE加入、月ノウサギがレンタル移籍)。

ヤママチミキ(GO TO THE BEDS)

ヤママチミキ(GO TO THE BEDS) ギャンパレが分裂してまだ1年も経ってないとは思えないぐらい、すごく濃密な1年を過ごしました。ニコ生で配信された無人島脱出企画もそうですし、WACKのグループの中でもいろんなライブやイベントに参加させていただけて。やっぱりお客さんに救われた1年だったなと振り返ってみてすごく思います。私たちは自分たちが生きるので精一杯だったけど、ファンの方々は「GO TO THE BEDSの曲を聴くと生きていける」とか、必要としてくれているという思いをSNSや手紙で伝えてくれて、自分が思いがけないところで誰かの助けになっているんだと感じました。お客さんからの言葉が生きる糧になってましたけど、それに対して2020年の1年間でお客さんに何も返せてなかったなという気持ちもあって。なので2021年は少しでも2020年にもらったものを返していけるようになりたいとずっと思っています。去年はいろいろありましたが、正直無人島はしんどかったです(笑)(参照:GO TO THE BEDSの過酷な無人島サバイバル生活を振り返る)。

ユメカ・ナウカナ? 無事でよかったですよ本当に! 誰もケガなく!

モモコ ニコ生で観てたら、電波がたまに途切れるんですよ。映像が途切れるたびにすごい不安になった(笑)。

ヤママチ みんながニコ生を観てくれてたのはすごくうれしかったですね。知識もないまま火を起こそうとしたり、パンツを燃やしたり、しょうもないことばかりしてたのに(笑)。「WACKの子たちもツイートしてたよ」って視聴者がコメントで教えてくれることもあって、すごく励みになりました。私たち5人だけだったら2日目ぐらいで脱落しちゃってたと思うので、本当に助かりました。

──WAggの2020年はこれまででもっとも存在感を示した1年だったと思いますが、いかがでしたか?

サアヤイト(WAgg) 6月に無観客ライブ、10月にお客さんを入れてのワンマンライブをさせていただいたんですけど、正直言うと無観客ライブってすごく疲れるんです。ライブをやっていて、途中で「ああ……」と元気がなくなっちゃって。10月の有観客ライブでお客さんから元気をいただいていることがわかりました。あと2020年は「WACK合同オーディション」と「PARADISESの素晴らしき未来」という2つのオーディションに参加させていただいて、とても勉強になった1年でした。PARADISESのメンバーさんとお話させていただく機会が多くて、普段の意識の高さとか、1つひとつの練習の大切さにも気付けました。

ユメカ・ナウカナ?

──ユメカさんはCARRY LOOSE解散を経験して、どんな心境でしょうか?

ユメカ ずっとファンの皆さんに会えないまま、CARRY LOOSEメンバーの共同生活(メジャーデビューを目指す生配信企画「CARRY OF MAJOR」)を7月に始めたんですけど、3カ月経ったところで解散してしまって。ファンの方々を悲しませてばかりだな、あのチャンスをプラスに変えられなかったなという点で後悔しています。でも解散してしまったからには前を向いて、終わりもあれば始まりもあると信じて2021年もがんばります!

──ほかのグループから見てユメカさんは元気そうですか?

モモコ 元気です(笑)。BiSHは人見知りのメンバーが多くて話しかけにくいオーラが出てると思うんですけど、夏に「SCHOOL OF WACK」で全員撮影があったとき、それを打ち破って話しかけに来てくれたので、すごくいい子だなって(笑)。

ユメカ ありがとうございます! 皆さんがファンの方々にライブで再会しつつある中で、私はかれこれ1年ぐらいファンの方々にワンマンライブで会えてない状況なので、自分はずっと止まったままというか、すごく虚しさを感じることもあるんです。でも2021年は駆け抜けて行きますので、皆さんには待っていていただけたらうれしいです!