大人になっても歌っていける曲にシフトチェンジ
──星野さんがAKB48卒業後に始めたソロ活動は、ピアノの弾き語りでオリジナル曲を歌うスタイルでしたが、VIVID SOUNDから最初に出たシングル「い・じ・わ・る・ダーリン」はマイクロスター佐藤清喜さんの作・編曲によるエレポップでした。大きな方向転換でしたが、どう思いました?
星野 「エレポップだよ」と言われて「ん?」みたいな。でも聴かせていただいたら素敵な曲で、素直に「歌いたい」と思いました。
──そこから星野さんの音楽は佐藤さん、はせはじむさんの2人を軸にしたサウンドプロダクションで、洗練されたポップスを量産している印象があります。大きなくくりで言う“シティポップ”の系譜として評価されていますけど、ご自身の音楽の方向性についてはどう考えてるんですか?
星野 自分ではバラードしか作れないので、いろんな曲が歌えて楽しいです。「波の音がするー」とか「南国みたいになった」とか……それまではピアノの音しかなかったから。私が作った曲も、はせさんと佐藤さんに渡すと「これは何々風で、あんな感じにしてみようか」って話して、全然別物に仕上げてくれるんです。
──6月に発売された最新アルバム「黄道十二宮」はこれまでの流れも汲みつつ、より大人びた雰囲気になっていますね。
星野 はい。前のアルバム(2015年9月発売の4thアルバム「YOU LOVE ME ~more today than yesterday but not as much as tomorrow~」)がすごく好評だったので「超えなくちゃ」というプレッシャーもあって。いろいろ話し合う中で、今回は落ち着いた曲も増えて、大人っぽい感じになった気がします。私ももう三十代なので、だんだん大人になっても歌っていける曲にシフトチェンジしてるんですかね。
──将来的にこういうシンガーになっていきたいという目標や理想像はありますか? ……すごい勢いで首を振ってますけど(笑)。
星野 ホントに先のことは全然考えてないので。ただ1年1年積み重ねて歌い続けていければ。自分が歌いたいと思っているだけではいけないし、やっぱり聴きたいと思ってくれる人がいないと続けていけないし、クビだって言われたら終わっちゃうし(笑)。自分がちゃんと求められる人でいないとなって思ってます。
──星野さんの音楽活動をご両親はどう思ってるんですか?
星野 応援してくれてます。十代の頃、オーディションのときはお母さんがいつも付いてきてくれて。今は「こうして活動できているのは幸せなことなんだよ。だからもっと貪欲になりなさい」って。普段は実家でずっと座って暮らしてるんですけど……。
──ずっと座って(笑)。
星野 座って「今日休みなんだー」って言ったら、お母さんから「そんなときは『なんかないですか?』って聞いて行動しなさい」って言われるので「わかってるよ!」って。仕事のこと言われるとすごい怒っちゃう(笑)。
メロディ系とリズム系、白と黒
──脇田さんがソロでの活動再開を発表したのが昨年の9月1日だったので、ちょうど1年ほど経ちましたね。脇田さんがVIVIDでソロとして活動すると聞いたときは「これ以上ない適切な再就職口を見つけたな」と思いました。
脇田 見つけてしまいました(笑)。最初は1人で歌うことへの不安が本当に大きくて。グループのときはワンフレーズ歌ったらダンスをがんばるみたいな感じで、1曲を最初から最後まで1人で歌ったことがなかったし、MCも1人でやるなんて考えたことがなかったから「自分にできるのかな……」って思ってたんです。でも、みちるさんや西恵利香さんのようなソロの先輩を参考にしつつ、自分なりに考えていろいろと実践してみたら、ファンの方が私のMCで笑ってくれたりして、場数が増えるごとにだんだん慣れてきて、だんだん人に見られることに自信が付いてきました。いつの間にか緊張もいい感じにほぐれてきて、そしたら「歌がいい感じだね」と声を褒めてもらえることも多くなって。今はステージを楽しめるようになりました。
──星野さんや西さんのような身近なソロシンガーの先輩もいる中で、自分ならではの個性はどんなところにあると思いますか?
脇田 歌のうまさでは皆さんに到底かなわないけど、声がパワフルでリズミカルなところは自分の武器だと思います。
──スタッフの皆さんは、星野さんに続くソロシンガーとしての色分けは考えましたか?
ディレクターN澤氏 結果的にという感じでもありますが、そこはキッチリと分けました。メロディ系とリズム系、白と黒みたいな。
──それは分かりやすいですね。脇田さんの場合はブラックミュージック系の、ビートを主体とした音楽が基盤になっていて。
脇田 なんとなくわかります。みちるさんは聴かせる歌で、私は乗らせる歌みたいな。合ってます?
N澤氏 そんな感じ、そんな感じ。作家さんによっては違うテイストで彼女の声に合う曲を作ってくれていますけど、基本は黒いリズム系ですね。
──1年でシングルを3枚発表し、7月には満を持して1stアルバム「I am ONLY」がリリースされました(参照:脇田もなり1stアルバム「I am ONLY」に豪華作家陣、福富ハウスをシングルカット)。早くもすごい充実作が完成しましたね。
脇田 言葉にならないうれしさで……何より「持ち歌が12曲に増えた」というのが大きいです(笑)。
星野 最初は「歌える曲が3曲しかない……」って言ってたもんね(笑)。
──脇田さんはここから先、どんな歌を歌っていきたいですか?
脇田 やっぱり私自身リズム系が好きなので、自然と体が踊ってしまうような、楽しい音楽ができたらいいなと思います。
──最近はライブでギターを弾いたりもしてますよね。
脇田 そうなんです。今はオケを作ってもらって、私は歌って伝えるだけという立場ですけど、ギターを持つとなんとなく……アーティスト感が強まると言うか(笑)。ずっとわちゃわちゃしながら歌うのも、みんなそろそろ飽きてきただろうなと思って。
星野 まだ始まったばっかりじゃん(笑)。
──楽器を覚えて、ゆくゆくは自分で作詞作曲も……という気持ちもあるんですか?
脇田 うーん。最初からすごい方々に曲を作っていただいているので、この中に私が作ったものが入ったら全体のクオリティが下がっちゃうかも(笑)。まあ、のちのち。
──ソングライターの先輩も身近にいるわけですし。
脇田 ホントに教えていただきたいです!
星野 歌詞は私、まず笑われるところから入りますから(笑)。「みちるちゃん、『裏の空き地に集まって』ってドラえもんじゃないんだから」って。空き地に集まって旅立つみたいな内容だったんですけど。「じゃあ変えるねー」って言って、結局全然違う歌詞になりました。そんな感じ。
脇田 あはは(笑)。私は言葉のセンスもないなって最近感じているので、もう歌うことに集中しようかなとも思うんですけど、いつかは自分で作詞作曲をしてみたいです。
少林寺黄帯と英検5級
──先ほどの撮影の際、脇田さんは子供の頃少林寺拳法を習っていたとおっしゃってましたが、詳しく聞かせてもらっていいですか?
脇田 はい。私は五島列島(長崎)の福江島に住んでたんですけど、小学校の近くに武道場があって、そこが少林寺拳法の道場だったんですよ。幼なじみとみんなで習いに行って、幼稚園の年中さんから小学1年生くらいまでやってました。楽しかったのが、先生の帯を取って回すんですよ。それが楽しみで通っていて。あとテストを受けると帯の色が変わるんですけど、ギリギリ合格して白帯より1つ上の黄色帯になりました。
──今まではなかったけど、プロフィール欄に「少林寺拳法・黄帯」と書けるわけですね。
脇田 でも小学生の頃の話ですよ(笑)。
──星野さんは何か習い事をしてましたか?
星野 ピアノとECCジュニアです。英検5級を取りました。キャンディって名前で。
──キャンディ?
星野 クラスでそう呼ばれてました。「ハイ、キャンディ」「ハイ、ミセス・ジンドウ」って。
──先生は普通に苗字なんですね(笑)。
星野 はい。神藤先生。
脇田 キャンディかわいいー。みちるさん、習い事が全部お嬢様みたいでいいですね。私はほかにやってたのも和太鼓とかだし、全然かわいくない(笑)。
- 星野みちる「黄道十二宮」
- 2017年6月21日発売 / VIVID SOUND
- 収録曲
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- Unstable Girl
- 鏡の中の私
- ONE-TIME LOVE
- キライよ
- 風を吹かせて
- 境界線上の二人
- 週一ロマンス
- 気がつけばLooking for your love
- もっともっともっと
- いつか Friends Again
- 亜熱帯都市
- 流れ星ランデブー
- 脇田もなり「I am ONLY」
- 2017年7月26日発売 / VIVID SOUND / HIGH CONTRAST
- 収録曲
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- IN THE CITY
- IRONY
- 泣き虫レボリューション
- ディッピン
- Cloudless Night
- 祈りの言葉
- Boy Friend
- I’m with you
- EST! EST!! EST!!!
- 赤いスカート
- あのね、、、
- 夜明けのVIEW
星野みちる ツアー情報
- 星野みちるの“星降る街角”ツアー
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- 2017年7月2日(日)栃木県 岩下の新生姜ミュージアム
- 2017年7月8日(土)宮城県 ガブ/チカ
- 2017年7月9日(日)岩手県 CLUB FACES
- 2017年7月17日(月・祝)愛媛県 松山サロンキティ
(※イベント「GOLDEN MANIAXXX!!! vol.9」出演) - 2017年7月17日(月・祝)愛媛県 堀江港広場
(※イベント「堀江港祭り」出演) - 2017年7月29日(土)愛知県 Dt.BLD
(※イベント「iDOL BUNCH vol.14」出演) - 2017年7月30日(日)愛知県 spazio-rita
※イベント「iDOL BUNCH JOINT『Rendezvous』」出演) - 2017年8月5日(土)福井県 福井中央公園
(※イベント「FBC SUMMER FESTA」出演) - 2017年8月6日(日)石川県 puddle/social
- 2017年8月10日(木)埼玉県 hisomine
(番外編「埼玉 対 千葉」競演:西恵利香) - 2017年8月18日(金)千葉県 Cafe Line
(番外編「埼玉 対 千葉」競演:西恵利香) - 2017年9月1日(金)大阪府 BERONICA
(※イベント「BERONICA SHOWTIME」出演) - 2017年9月2日(土)岡山県 BLUE BLUES
(※イベント出演) - 2017年9月3日(日)広島県 音楽食堂ondo
(※イベント出演) - 2017年9月15日(金)長崎県 OhanaCafe
- 2017年9月16日(土)福岡県 Kieth Flack
(※イベント「マンゾク★メガロポリス」出演) - 2017年9月17日(日)大分県 ホテルニューツルタ
- 2017年9月23日(土)北海道 musica hall cafe
- 2017年9月24日(日)北海道 Zepp Sapporo
(※イベント「LIVE PRO FESTIVAL2017」出演) - 2017年9月30日(土)群馬県 高崎WOAL
(※イベント「Lonesome City Pop ~星野みちる & ホテルマシマロ 特大号!~」出演) - 2017年10月8日(日)岐阜県 OPUS
(※イベント出演) - 2017年10月14日(土)大阪府 Corner Stone Bar
(※イベント出演) - 2017年10月20日(金)新潟県 DJ BAR 88(※イベント「HOMS」出演)
- 2017年11月21日(火)東京都 ヤマハ銀座スタジオ
「星野みちるの“星降る街角”ツアー・ファイナル」ヤマハ銀座スタジオ(※予約情報等は後日発表)
脇田もなり ライブ情報
- マシュマロ・キッス
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- 2017年10月7日(土)沖縄県 Output
※オールナイト(START 23:00)
- 2017年10月7日(土)沖縄県 Output
- ARAKEMO。× 申し訳ないと20周年TOUR
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- 2017年10月8日(日)沖縄県 沖縄熱血社交場
※オールナイト(START 22:00)
- 2017年10月8日(日)沖縄県 沖縄熱血社交場
- 秋のYOIMACHI
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- 2017年11月5日(日)東京都 大塚Hearts+ / 大塚Deepa / 大塚MEETS / 都電ステージ(都電荒川線車両内)
- "WINGSCAPE" Release Live with Band
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- 2017年12月15日(金)東京都 六本木VARIT.
(※予約情報等は後日発表) - 2018年1月7日(日)大阪府 北堀江club vijon
(※予約情報等は後日発表)
- 2017年12月15日(金)東京都 六本木VARIT.
- 星野みちる(ホシノミチル)
- 1985年11月19日、千葉県生まれのシンガーソングライター。2005年12月よりAKB48の1期生メンバーとして活躍し、2007年6月のグループ卒業後はシンガーソングライターの道へ。2009年4月には初のミニアルバム「卒業」、2011年12月にはMichiru名義でのミニアルバム「Bitter&Sweet」を発表した。2012年10月には名義を星野みちるに戻し、VIVID SOUNDよりシングル「い・じ・わ・る・ダーリン」をリリース。その後はコンスタントに作品を発表し、2017年5月には17thシングル「鏡の中の私」と18thシングル「流れ星ランデブー」、6月には6枚目のオリジナルフルアルバム「黄道十二宮」を発表した。
- 脇田もなり(ワキタモナリ)
- 1995年1月28日、長崎・五島列島出身のシンガー。2012年にEspeciaのメンバーとしてアーティストデビューを果たし、4年間の活動を経て2016年2月にグループを卒業。その後9月にソロでの活動再開を発表して話題を集めた。11月にソロでの1stシングル「IN THE CITY」をリリース。2017年2月には2ndシングル「Boy Friend」、6月21日には3rdシングル「I'm with you」を発表し、7月には1stフルアルバム「I am ONLY」がリリースされた。