「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス」特集|仮想空間の渋谷に40万人が集結 新時代の幕開け飾ったハロウィンイベントをレポート

10月26日から31日にかけて、バーチャルハロウィンイベント「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス」が開催された。

ハロウィン文化が日本に定着し、2015年頃からは10月末に東京・渋谷のスクランブル交差点を中心としたエリアに仮装した若者が集まることが一大ムーブメントとなった。しかし2020年に入ってからの新型コロナウイルス感染拡大により、人々が密集する事態を避けることは必須の世情に。これを受けKDDI株式会社、一般社団法人渋谷未来デザイン、一般財団法人渋谷区観光協会を中心とした参画企業による「バーチャルハロウィーン実行委員会」は自宅でも渋谷のハロウィン気分が楽しめるバーチャルイベントとして、この「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス」を開催した。ニューノーマルの時代に即して行われた今回のイベントには世界中から約40万人が参加し、さまざまなコンテンツを楽しんだ。

この特集では「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス」の全貌を振り返り、今後のバーチャルイベントのあり方を探っていく。

文 / Jun Fukunaga
写真・画像提供:KDDI・au 5G / バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス

KDDI株式会社、一般社団法人渋谷未来デザイン、一般財団法人渋谷区観光協会を中心とする参画企業で組成する「バーチャルハロウィーン実行委員会」が、渋谷区公認配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」内で、10月26日から10月31日の6日間にわたり「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス」を開催した。

同フェスは、新型コロナウイルス感染症の影響や予防観点に伴い、2020年のハロウィン期間中、渋谷区内への来街自粛を要請するとともに、#StayVirtualを合言葉にした新しい時代に沿ったバーチャルイベントとして開催されたもの。ジャック・オー・ランタンが浮かぶなど特別なハロウィン仕様の“バーチャル渋谷”が舞台となり、プラットフォーム内にはNHK人気番組のキャラクター「チコちゃん」や「どーもくん」、VTuberのミライアカリと記念撮影できるフォトブース、隠れキャラを探すゲーム「トリック・オア・トリート ハント」、フェス限定グッズが購入できるショップ、そして貞本義行デザインによるバーチャル渋谷区長「HACHIKO」が秘密の区長室へ招待する謎解きゲーム「バーチャル渋谷区長室への招待状」といったコンテンツがフェス期間限定で常設。参加者がアバターを使い、仮想空間にある渋谷を自由に散策する姿が見られた。

「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス」開催中の“バーチャル渋谷”の風景。

現実の世界にある渋谷は多くの人にとって見慣れた場所だ。しかし、仮想世界に作られたバーチャル渋谷でも、スクランブル交差点やSHIBUYA109、渋谷駅など多くの渋谷のランドマークが精巧に再現されており、アクセスすることでこれまでに実際の渋谷で行われてきたハロウィンのムードを味わうことができた参加者も多かったことだろう。

またフェス期間中は日替わりのイベントも実施され、音楽アーティストをはじめ、ダンサー、お笑い芸人、世界各国の名だたるDJらが参加。さらにNHK「ビットワールド」、「キッザニア」のコラボイベントが実施されるなど、大人から子供まで楽しめるダイバーシティな内容になっていた。

1028 バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス オープニングレセプションきゃりーぱみゅぱみゅ バーチャル Mini LiveSpecial Dance Performance Kento Mori

「きゃりーぱみゅぱみゅ バーチャル Mini Live」の様子。

10月26日に行われる予定だったオープニングレセプションは、世界中からバーチャル渋谷へのアクセスが殺到したため、当日の実施はやむなく中止され、28日に仕切り直して行われた。このイベントにはきゃりーぱみゅぱみゅ、KENTO MORIの2組が登場。きゃりーぱみゅぱみゅのミニライブではハロウィン時期にぴったりの「Crazy Party Night~パンプキンの逆襲~」が披露されたほか、KENTO MORIがARシステムを使った最先端パフォーマンスを披露し、参加者を沸かせた。

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ネトフリシネマ in バーチャル渋谷

「ネトフリシネマ in バーチャル渋谷」の様子。

プラットフォーム内の特設スクリーンを使って、Netflixオリジナルアニメシリーズ「攻殻機動隊 SAC_2045」を上映。参加者はグループビューイング機能を使って、現実世界と同じように友人同士で誘い合わせて作品を楽しんだり、コメント機能を使って感想をリアルタイムで共有するなど、バーチャルならではの映画鑑賞体験を楽しんだ。

1029 キッザニア presents バーチャルハロウィーンパレードau 5G Presents BiSH バーチャル Live in association with Apple Music

「キッザニア presents バーチャルハロウィーンパレード」の様子。 「au 5G Presents BiSH バーチャル Live in association with Apple Music」の様子。

「キッザニア presents バーチャルハロウィーンパレード」では、子供たちに向けた特別なハロウィンパレードが行われ、参加者が仮想の渋谷の街を練り歩く姿が見られた。また同日の「Eテレ『ビットワールド』presents バーチャル Live」ではアバター化したセイコー、ヨコヤマン、マーメイドちゃんなど人気キャラクターたちが登場。にぎやかなライブや息の合ったトーク、子供たちが考えたゲームで参加者を盛り上げた。

同日の「au 5G Presents BiSH バーチャル Live in association with Apple Music」ではBiSHがライブを行い、28日にリリースされたばかりの新曲「STORY OF DUTY」などを披露。幽霊が飛び交うハロウィンらしいバーチャルステージ演出も参加者の目を奪った。

1030 au 5G Presents「みんなの5G」 和牛の超高速ライブ Supported by よしもとau 5G Presents SPECIAL∞LIVE supported by よしもと

「au 5G Presents『みんなの5G』和牛の超高速ライブ Supported by よしもと」の様子。

「au 5G Presents『みんなの5G』和牛の超高速ライブ Supported by よしもと」では、 お笑い芸人の和牛、相席スタート、ななまがりが登場し、今ある5Gを最大限活用した5G初のお笑いライブを実施。ライブでは和牛が5Gと透過ディスプレイを利用した”ホログラム漫才”を行い、お互いが離れた場所にいるにもかかわらず違和感を感じさせない漫才で“5G時代のお笑いの可能性”を感じさせた。

「au 5G Presents SPECIAL∞LIVE supported by よしもと」では河合ゆずる(アインシュタイン)がMCを務め、ヨシモト∞ホールで活躍する人気芸人のインディアンス、男性ブランコ、ラフレクラン、ダンビラムーチョ、レインボーらが登場。ネタやコーナーによるお笑いライブでバーチャル渋谷に集まった参加者の笑いを誘った。

1030 GOOM STUDIO Presents ミライアカリ バーチャル TALK

「GOOM STUDIO Presents ミライアカリ バーチャル TALK」の様子。

人気VTuber・ミライアカリによるスペシャルトークショーが行われ、バーチャル渋谷の感想や、109など渋谷のお気に入りスポットについてトーク。さらにトークショーの途中にはミライアカリが審査員を務めるアバター仮装コンテストの結果発表も行われ、最優秀賞はハロウィンらしさがとても出ていたこと、ハチ公区長との相性のよさ、写真の撮り方のセンスなど総合的な評価が高かった魔女っ子風アバターが受賞した。また、ショーの最後には新曲の「Fly to NEW WORLD」も披露され、参加者は拍手やサイリウムのエモーションを表示するなどして楽しんだ。

1030 au 5G Presents Rin音 バーチャル Liveau 5G Presents NULBARICH バーチャル Live

「au 5G Presents Rin音 バーチャル Live」の様子。

「au 5G Presents Rin音 バーチャル Live」ではRin音がバックDJとともに登場した。「バーチャルの中でも楽しんでいきましょう!」とファンに呼びかけたRin音は「sleepy wonder」「箒星飴店」に加え、ゲストのasmiを招き「earth meal feat. asmi」など人気曲を披露。「バーチャルLiveかっこいい」など参加者の盛り上がりを実感させるコメントも数多く寄せられた。

「au 5G Presents NULBARICH バーチャル Live」の様子。

「au 5G Presents NULBARICH バーチャル Live」にはNulbarichが登場。「Twilight」「super sonic」「luck」など人気曲が披露されたライブではJQ(Vo)が「バーチャルでのライブは初めてだけど、存分に皆さんといい雰囲気を作っていけたら」と呼びかける場面も。ファンのアバターがその場で飛び跳ねてバンドの演奏に応えるなど、リアルライブさながらの盛り上がりも見られた。

1030 DJ IN THE MIRROR WORLD SUPER DOMMUNE

「DJ IN THE MIRROR WORLD SUPER DOMMUNE」の様子。

エレン・エイリアン、サージョン、ダーシャ・ラッシュ、KEN ISHIIら4組の世界的DJが世界各地から国境を超えてバーチャル渋谷のスクランブル交差点に集結。アバターによるDJプレイが披露されると共に、特設ライブステージに設置されたモニターには現実世界でプレイするDJたちの姿も映し出され、リアルとバーチャルが重なり合うミラーワールドで参加者をイマーシブな体験へと誘った。

あらかじめ決められたライブ時間にアクセスすることや、ライブの合間に会場周辺を歩き回ることは、リアルの世界でもこれまでに我々が体験してきたことだ。そういった”現実世界の追体験”が、今回のフェスの醍醐味であり、物理的に多くの人が集まることが難しいコロナ禍においては参加者が特に魅力的に感じる部分だったろう。

また、現実と同じようにバーチャル空間の中に集まった国内外のアーティストのライブを楽しめるという体験は、今後のエンタメの可能性を感じさせるものだったが、そこにはこれまでも世界のあらゆるカルチャーとつながることで新しいエンタメ体験を生み出してきた渋谷らしさが強く表れていた。

今回のプロジェクトをリードしたKDDI革新担当部長の三浦伊知郎氏は「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス」を終えての手応えや今後について、次のように語った。

開催してみての感想や手応え

40万人のフェスを渋谷のド真ん中で開催するなんてバーチャルの世界ならではの出来事だと思います。
しかも大人から子供まで、世界中から多種多様な来場者をお迎えすることができました。
今回のイベントはエンタテインメントのためだけでなく、コロナ禍において渋谷という街が抱える問題を解決するのに一役買えたと思います。
街と連携できたことはいい結果ですね。

今回のイベントを踏まえての5Gを駆使したこの先の展望

今後、バーチャル渋谷のようなミラーワールドが特別なものではなく、世の中のスタンダードになっていけばいいと思っています。
ほかの都市に広げていくことを考えています。
現在の取り組みは5G時代の幕開けです。近い将来5Gが広がってくると、「バーチャル渋谷」のような取り組みがもっと気軽に楽しめると思います。

「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス」開催中の“バーチャル渋谷”の風景。