ナタリー PowerPush - ビジャンドゥ
みんなの音楽、みんなのうた。1stアルバム「Vijandeux」完成
ジャマイカと日本のミックスであるWillie(Vo)と、イギリスに音楽留学した経験を持つ日本人のNori(G, Cho)。そんな2人によるユニット・ビジャンドゥが、最高にピースで、思わず体がスウィングしてしまう楽曲を詰め込んだ1stアルバム「Vijandeux」を、いよいよリリースする。
ナタリー2度目の登場となる今回は、アルバムの制作秘話だけでなく、彼らの目指すビジョンについてもじっくりと語ってもらった。ビジャンドゥの音楽が、国境を超えて響くワールドワイドな音楽であることを、ぜひCDを手に取って体感してほしい。
取材・文/川倉由起子
制作期間は2週間! パワーのある曲が集まった
──ついに1stアルバム「Vijandeux」が完成しましたね。全曲を聴いて、改めてビジャンドゥは夏に聴きたくなるナンバーが多いなって感じました。
Willie そうですよね。なんか、夏男(ナツメン)っぽいすよね(笑)。
──今回のアルバムも、まさに夏ド真ん中のリリースで。
Willie はい。でもこれは5月ごろに「出そうか」って話が急きょ決まって……。
Nori そこから2週間で作ったんです。
──え!? アルバムをたった2週間で?
Willie 最初は僕らも「マジで?」って思いましたけど(笑)。
Nori そうそう。シングルやカップリング以外に、新曲4曲を作ることになって。相当試されましたけど、叩けば鳴るっていうか(笑)、いろいろ勉強になりました。
──前回のインタビュー時、「楽曲のストックはいっぱいあるので期待しててください」とおっしゃってたんですが、そのストックを利用したのではなく?
Nori はい。今回は新しい曲で。シングルはストックから作ったものが多かったので、新曲はバランスも考えて書き下ろしました。あまりサビサビしてない感じとか、あまり言葉をつめこんでない感じとか、収録楽曲に幅を持たせたくて。
Willie でもその期間は「自分たちがライブなどで得た経験が力になってたんだ」って思えたり、「こういうこともできるようになったんだ」っていう発見もあったりして。未来に向けて、また新しいことができそうな可能性が見えましたね。あとは、リミット(締切)があったり急かされたりすると集中力が出るんだなーとか(笑)。
Nori ま、ありがちなね(笑)。でも俺も、今回はいいものができたなって思ってて。Willieも言ったように、去年の夏はいろんな場所でライブをやらせてもらったんですが、そこで感じたことを、シングルだけじゃなくアルバムにも入れたいと思ったんですよ。ライブでアガる曲もあれば、もちろん普通に聴いて楽しめる曲もある。とにかく聴いてもらえれば、パワーのある楽曲が集まったって感じてもらえるんじゃないかな。
バラード曲「月」は実際に月の下で作った
──2週間の制作期間で、最初にできた新曲はどれですか?
Willie 最初にとりかかったのは「月」ですね。
──アルバム唯一のバラードですね。Willieさんのエモーショナルな歌声がすごく印象的でした。
Willie この曲はピアノとシンセだけのすごくシンプルな構成で、メロディはちょっと日本っぽいというか、リラックスして、心をフラットにできる感じ。そんなタイプの曲がアルバムに入ってたら聴く楽しみが増えていいんじゃないかなって思ったんです。
──とはいえ、歌詞では驚くほど深い恋愛観がつづられてます。いつもピースフルな雰囲気のWillieさんからは、ちょっと想像がつかなかったです(笑)。
Willie アハハハ(笑)。ただ“ピース”って言っても、どういうことがピースなのか? とか、僕も考えるときがあるし。いつも笑ってたとしても、実は全然笑えねーよってときもあるし。きっと同じような思いを抱えてる人もたくさんいると思うんです。この曲は“月”っていう普遍的なものをモチーフにしてて、月が僕たちにくれる愛や、そんな月に向かって僕たちが言えることについて書いてみたんです。
──しかも、実際に月の下に行って作ったそうですね。
Willie はい、そうなんです。アコギを持って海とか行っちゃって(笑)。
Nori 「月」はWillieが作った曲で初めてBメロがあるんですよ。
Willie 自分では最初この曲を客観的に聴くことがなかなかできなかったんですけど、友達や周りの人がすごく「いいね!」って言ってくれて。それがすごくうれしかったんです。
──私も絶対にアルバムに入って良かった曲だと思います。
Willie リスナーにもそう思ってもらえればうれしい。「月」を入れたことでアルバムに幅を持たせられたと思います。
CD収録曲
- LA TA TI TODAY YO!
- WAVE
- Voice in the Sun
- HERE WE GO!
- SMILE
- Beautiful Angel
- 月
- UNITE
- バーニン☆ダーリン~KOISEYO DANSHI~
- STAND
- ワンタッチしたいキモチ
- KING OF 片想い
- ビューティフル・ネーム
ビジャンドゥ
ジャマイカ人の父と日本人の母の間に生まれたWillie(Vo)と、日本人のNori(G,Cho)による2人組。ユニット名は2人で紡ぐ“未来のビジョン”、そしてジャマイカと日本の“2つのカルチャー”の意味が込められている。Willieの温かく明るい歌声と、Noriのオーガニックなトラックは新世代のJ-POPユニットとして話題。2009年5月、ゴダイゴの名曲を独自のテイストでカバーしたシングル「ビューティフル・ネーム」でメジャーデビュー。