ナタリー PowerPush - Vijandeux
ジャマイカ×ジャパンの歌心 大型新人ユニットついにデビュー
ジャマイカの「J」とジャパンの「J」を掛け合わせた「J-Jポップ」
──ビジャンドゥを本格的に結成しようと思った決め手みたいなものは?
Willie うーん、たとえば言葉でこういう感じっていうのを他人に言っても、それが伝わらない場合って結構多いんですよね。でもそのフィーリングのようなものが、Noriくんには伝わるというか。たとえばファンクで、とか、こういう黒い感じとか言ったら伝わるんですよ。
Nori そう。なので、まずは2人で曲をためてみようって話になって。それからはWillieが僕の家に通って、曲を作る日々でしたね。
──その過程で、やっぱりこの2人だっていう確信ができていったんですか?
Willie うん、こういうポップスは他にはないだろうなっていうのは確信してます。あと僕はやっぱりジャマイカの血が入ってるので、それがどうしても音楽に出てくる。だからあえてジャンル分けをするなら、ジャマイカの「J」とジャパンの「J」を掛け合わせた「J-Jポップ」かなぁと(笑)。
Nori あ、Willieはそんなふうに言ってますけど、実はジャマイカとか、レゲエっぽい要素を特に狙っているわけではなくて。Willieが無意識にやってるところがいいんですよね。可能性が広がって。
Willie 僕が「イエーイ」って好き勝手にやってるのが、意外とイイね! って言われたりするんで(笑)。
音楽にポジティブな考えを見出して、現実に活かしてきた
──こうやって話していても、Willieさんはポジティブな感じがすごくしますよね。
Willie いや、でも昔は嫌なことがあって学校に行きたくないときもありましたよ。そういうときは地元のそごうの屋上でウォークマンを爆音で聴いてて「あー、気持ちいい! 俺、ずっとこの音楽の世界にいたい」って思ってたんです(笑)。
Nori ただのサボリじゃん!(笑)
Willie そうなんだけどさ、そのときに聴いてた音楽がカッコよすぎて、嫌だと思うことも全部オッケーになったりして。
Nori ああ、でもそれはあるよね。僕も親とか先生に言われたことよりは、好きだった音楽の中の重要な言葉を受けて、こんなふうに考えたほうがいいのかなって思って生活してきた感もありますから。
Willie そうそう。
Nori しかも、それはいまだに続いてたりして。音楽がそういうツールとしてずっとあるので、自分たちもそんなふうにメッセージを届けられるポジションになりたいというか。
──Willieさんは具体的にはどういうアーティストが好きだったんですか?
Willie えっと、ボブ・マーリー先生とか、マイケル先輩とか、プリンス先輩とか(笑)。あと、アース(Earth Wind & Fire)もそうなんですけど。で、 それに影響されて生きてみると物事をポジティブに考えられたり。辛いのも、自分が辛いと思ってるから辛いんじゃん、って考えに気付かされたりもして。
──悩みは音楽に救われてきた感じ?
Willie そうですね。たとえば僕の肌の色を他の人は持ってなくて、それを誰かに相談しても気持ちはわからないじゃないですか。だから人に相談はしなかったですね。昔は居場所がないって思うこともよくあって、そんなときに音楽を聴くとそこにすごい宇宙があるというか。現実はこれだけど、この曲を聴いて俺はハッピーになれるんだったら全然いいやっていう。
Nori しかもそれは現実逃避ではなくて、音楽にポジティブな考えを見出して現実に活かすっていうことで。僕とWillieは聴いてきたアーティストが結構似てて、ルーツミュージック的なものが多いですね。結局は歴史に名が残っている人にたどりつく感じで。
Nori (スティーヴィー)ワンダー先輩とかね。
──そもそもビジャンドゥという名前の由来は?
Nori これはすっごい話し合いました。全然決まらなくて、ノート2冊くらい候補を書いたんですよ。2人が見ているビジョンをひとつにするっていうイメージで、ジャマイカのパトワ語でビジョンをビジャンって言うんです。で、そこからもじった造語なんです。ドゥはフランス語で「2」の意味で。それを合わせてビジャンドゥにしました。
Willie ユニット名を決めるときのポイントが3つあって。キャッチーな響きで、インターネットには他に載ってない、あとは意味がちゃんとあるもの。ビジャ ンドゥは全部に当てはまってたし、字面もカッコいいと思います。
Vijandeux(びじゃんどぅ)
ジャマイカ人の父と日本人の母の間に生まれたWillie(Vo)と、日本人のNori(G,Cho)による2人組。ユニット名は2人で紡ぐ“未来のビジョン”、そしてジャマイカと日本の“2つのカルチャー”の意味が込められている。Willieの温かく明るい歌声と、Noriのオーガニックなトラックは新世代のJ-POPユニットとして話題。2009年5月、ゴダイゴの名曲を独自のテイストでカバーしたシングル「ビューティフ ル・ネーム」でメジャーデビュー。