ナタリー PowerPush - Vijandeux
ジャマイカ×ジャパンの歌心 大型新人ユニットついにデビュー
ジャマイカ人の父と日本人の母の間に生まれたWillie(Vo)と、日本人のNori(G,Cho)による2人組ユニット、Vijandeux(ビジャンドゥ)。Willieの明るく優しい歌声と、Noriの確かなトラックメイキングによって生み出される楽曲たちは、新たなムーブメントを予感させる、まさに刺激的な音楽体験だ。
ナタリーでは今回、そんな彼らにインタビューを敢行。結成に至るまでのヒストリーに加え、5月27日にリリースするメジャーデビューシングルについても、詳しく話を聞いてみた。
取材・文/川倉由起子
ドラムセットからもじゃもじゃの頭だけが見えてたんです(笑)
──まずは2人の音楽ヒストリーを教えてください。
Willie 僕は小さい頃からピアノとドラムをやってました。親父がソウルミュージシャンだったので、生まれたときから周りに音楽がある環境で。ドラムを始めたのは、帰国子女の友達が「今、ドラムっていうのが熱いみたいよ」っていう話をしてて、彼とクッキーの缶をドラムに見立てて叩いたのが最初。本格的に音楽教室で習い始めたのは中学からですね。
Nori で、その教室つながりでウチらは出会ってるんですよ。地元のセッション大会みたいなのに、当時14歳のWillieが出てて。
Willie そうだねー。
Nori ドラムセットより顔が低くて、「あれ? 誰がやってるんだ?」って(笑)。もじゃもじゃの頭だけが見えてたんです(笑)。
──(笑)。ちなみにNoriさんはどうしてその大会に行ってたんですか?
Nori 当時、僕はそこの生徒と一緒にバンドを組んでて。それで行ったらWillieが出てて、めちゃくちゃ上手くて。なんだコイツ、ヤバイぞ! って。
──じゃあ第一印象は、やたらドラムの上手い子って感じだったんですか?
Nori そうです。で、そのとき共通の友達を介して話もして。
──WillieさんにとってはNoriさんは9歳年上なわけですが、最初から友達感覚で?
Willie そうですね。先輩って感じでもないし、最初から敬語とかも使わずフレンドリーに話してたんですよ。俺、スカスカ(「○○ッスか?」の意)言わなかったしね?
Nori そうだね(苦笑)。
Willieの声にブラックミュージックの匂いを感じた
──なるほど。で、一方のNoriさんもお母さんが琴奏者という音楽家庭だったんですよね。
Nori はい、母が自宅で先生をやっていて。なんだかんだ弦モノに惹かれてしまうのは母親の影響があるかもしれないですね。
──学生時代はどんな音楽を聴いてたんですか?
Nori 小学校からハードロックみたいなものに目覚めて。兄貴が好きだったんですよね、千葉の柏なんで……まあヤンキーですよ(笑)。で、そういうのを聴いてギターを練習し始めて。バンドでライブ活動したのは高1から。でもボーカリストにはいろいろこだわりがあって、なかなか理想のボーカリストが見つからない状態でずっと曲だけを作ってたんです。
──で、そこで見つけたのがWillieさんだったと。
Nori そうですね。彼が19歳くらいのときにデモテープを聴いて、歌えるんだって知って。
Willie 僕は高校卒業してから、歌をやろう! と思って本格的に歌を習うためにNYに行ったんです。で、帰ってきてバイトをしてたジャズバーで適当にMDに歌 を録ったりしてたんですが、それを聴いた音楽関係の方に「本格的なレコーディングしてみないか?」って誘われてテープを作って。
Nori 僕はそれを聴いて「おお!」ってなって。当時はニュークラシックソウルな感じでマニアックな歌だったんですけど、それがバチッときちゃったんですよ。理想的な声質というか。僕はブラックミュージック好きだから、多重コーラスというか、あの一体になる感じが好きで。Willieの声にはそういう匂いがしたんですよね、これは広がるなって。
Willie それからNoriくんと少しずつ曲を作り始めて。気付いたら夢中になって、バイトとかも辞めちゃおうぜみたいな(笑)。
Vijandeux(びじゃんどぅ)
ジャマイカ人の父と日本人の母の間に生まれたWillie(Vo)と、日本人のNori(G,Cho)による2人組。ユニット名は2人で紡ぐ“未来のビジョン”、そしてジャマイカと日本の“2つのカルチャー”の意味が込められている。Willieの温かく明るい歌声と、Noriのオーガニックなトラックは新世代のJ-POPユニットとして話題。2009年5月、ゴダイゴの名曲を独自のテイストでカバーしたシングル「ビューティフ ル・ネーム」でメジャーデビュー。